地球環境

平成28年6月20日

1 3Rとは

 天然資源の消費が抑制され、環境への負荷が低減される循環型社会(sound material-cycle society)の構築に向けて、資源の有効利用を通じて環境と経済の両立を図る取り組みであり、廃棄物の発生抑制(Reduce)、資源や製品の再使用(Reuse)、再生利用(Recycleを指したもの。
 我が国は他国に先駆けて3Rの考え方を政策に取り入れ、循環型社会形成推進基本計画(以下「循環基本計画」という。)において循環の入口、中間、出口に各対応した数値指標(資源生産性、循環利用率、最終処分量)を定め、循環型社会の構築に向け取り組みを進めてきた。2013年5月の第3次循環基本計画では、中間(循環利用率)及び出口(最終処分量)の指標の達成が報告されるとともに、入口にあたる廃棄物等の発生及び資源投入量についての更なる抑制、有用金属の再生利用による資源確保、安全・安心の確保等、循環の質に着目した取り組みを一層進める必要性が指摘されている。
 国際社会においても、我が国の提案を受け2004年6月のG8サミットで採択された行動計画(次項で詳述)を皮切りに、現在では「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2015年9月、国連総会において採択。)にも反映されるなど3Rの考え方は広く普及し、持続可能な開発等に密接に関わるイニシアティブとして取り組まれている。

2 我が国と3Rイニシアティブとの関わり

(1)G7/G8等における取り組み

 2004年6月のG8シーアイランドサミットにおいて、小泉総理(当時)の提唱により「3R行動計画」(参考1)が採択され、これを受けて我が国が2005年4月に東京で開催した「3Rイニシアティブ閣僚会合」において3Rイニシアティブが正式にスタートした。
 その後2006年7月のG8サンクトペテルブルクサミットにおいて、3Rイニシアティブが資源のより効率的な使用の促進を通じたエネルギー効率の向上に資するとの考え方が確認され、2008年G8北海道洞爺湖サミット、2015年G7エルマウサミット等においても取り上げられてきた(参考2~5)。
 こうした長年の議論と活動を基礎に、2016年5月のG7富山環境大臣会合では、資源効率性及び3Rの一層の推進に向けたG7共通ビジョン及びG7各国による野心的な行動を示した「富山物質循環フレームワーク(PDF)別ウィンドウで開く」が採択された。G7伊勢志摩首脳宣言では、同フレームワークへの支持が表明されている。(参考6)

(参考1)シーアイランドサミットで採択された「3R行動計画」

  • 経済的に実行可能な限り、廃棄物の発生を抑制し(Reduce、資源及び製品を再使用(Reuse)、再生利用する(Recycle
  • 既存の環境及び貿易上の義務及び枠組みと整合性のとれた形で、再生利用・再生産のための物品及び原料、再生利用・再生産された製品、並びによりクリーンで効率的な技術の国際的な流通に対する障壁を低減する。
  • 自発的な活動及び市場における活動を含め、様々な関係者(中央政府、地方政府、民間部門、非政府機関及び地域社会)の間の協力を奨励する。
  • 3Rに適した科学技術を推進する。
  • 能力構築、啓発、人材育成、及び再生利用事業の実施等の分野で途上国と協力する。

(参考2)サンクトペテルブルクサミットで採択された「世界のエネルギー安全保障・行動計画」

19.我々は、全体的な資源循環への一体的な取組みの一部として、3Rイニシアティブ(発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)及び再生利用(リサイクル))において資源循環を最適化するための包括的な措置に対する我々のコミットメントを再確認する。この努力を更に進めるために、我々は、資源生産性を考慮して、適切な場合に目標を設定する。我々はまた、各国の及び国際的な努力を通じて、エネルギー効率及び環境保護の重要性に関する認識を高める。

(参考3)「神戸3R行動計画」

 以下の3つの目標を定め、その達成に向けてG8各国が連携してとるべき行動を盛り込んだもの。

  • 「目標1」3R関連政策の優先的実行及び資源生産性の向上
  • 「目標2」国際的な循環社会の構築
  • 「目標3」開発途上国の能力開発に向けた連携

(参考4)北海道洞爺湖サミットで採択された環境・気候変動の首脳宣言(3R関連部分の概要)

  • 資源をそのライフサイクルを通じて使用する方途の重要性を認識。
  • 神戸3R行動計画を支持。
  • 資源生産性を考慮しつつ、適切な場合には、目標を設定。
  • 情報共有、利害関係者間のパートナーシップ及びプロジェクトの策定と投資において3Rの観点を包含することの重要性を認識。
  • WTOドーハ・ラウンドにおける再製造品の貿易自由化の提案を支持することの重要性を認識。
  • バーゼル条約と整合的で環境上適正な方法による再使用または再生利用可能な原材料と資源の国際循環を支持。

(参考5)エルマウサミットで採択された首脳宣言(3R関連部分の概要)

 資源効率性の項目において、「『神戸3R行動計画』その他の既存のイニシアティブの礎のもと、持続可能な資源管理と循環型社会の推進に向けた戦略の一環として資源効率性を改善するための意欲的取り組みを継続していく。そのための知識を共有し任意の情報ネットワークを創設するためのフォーラムとして、資源効率性に係るG7-Alliance on Resource Efficiencyを設立する。このフォーラムは、産業界、中小企業その他関連するステークホルダーの協力を得ることとする。」旨を記載。

(参考6)伊勢志摩サミット首脳宣言(英語)(PDF)別ウィンドウで開く

(2)アジア地域における3Rの推進

 我が国は、2006年及び2008年にアジア各国を対象に3Rに係る情報共有のための事務レベル会合「アジア3R推進会議」を開催したが、2009年11月、これを更に発展させる形で「アジア太平洋3R推進フォーラム」を設立した。
 このフォーラムは、3Rに関し、ハイレベルの政策対話の促進、各国における関連事業の実施促進、制度・技術に係る情報の共有、関係者間のネットワーク化等を目的としたものであり、2009年11月の第1回会合(東京)以降2012年を除き毎年開催され、我が国環境省他が主催者を務めてきている。
 2015年8月の第6回会合(モルディブ)にはアジア太平洋地域から39か国の政府、国際機関、民間団体、研究機関、NGOなど300名超が参加し、「3R産業-アジア太平洋地域における資源効率社会及び持続可能な慣行開発に向けた次世代3Rの方向性」をテーマに議論を行った。

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