
日米核セキュリティ作業グループ(概要と成果)
平成24年3月
外務省軍縮不拡散・科学部
(英文(ファクトシート))
1 日米核セキュリティ作業グループ(概要)
- (1)2010年4月にワシントンDCで開催された核セキュリティ・サミットの後,2012年ソウル核セキュリティ・サミットに向け,日米間で核セキュリティ分野での協力を推進するための作業グループを設置することについて米国から提案。
- (2)2010年11月の日米首脳会談に際し,同作業グループの設立を公表。第1回会合を2011年1月(於:東京),第2回会合を同年8月(於:米国サバンナリバー),第3回会合を2012年2月(於:東京)にて開催。
- (3)日本側からは,外務省,内閣官房,内閣府,警察庁,文科省,経産省(エネ庁及び保安院),国交省(国交省及び海保庁)及び防衛省(計8府省庁10機関)が参加。
米国側からは,国家安全保障会議(NSC),国務省,国防省,国土安全保障省,連邦捜査局(FBI)及び原子力規制委員会(NRC)(計6機関)が参加。
2 これまでの成果
同作業グループは,以下の9つの分野において協力を推進し,具体的成果を挙げてきている(日米両政府共同発表ファクト・シートにつき別添参照)。
(1)核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)の中での協力
2010年12月に我が国の日本原子力研究開発機構(JAEA)内に設立されたISCNにて,両国が協力し,核不拡散・核セキュリティ強化のための人材育成事業(主にアジア諸国を対象)を実施。
(2)核鑑識,核物質の検知及び測定に係る技術の研究開発並びに捜査の良好事例の共有
- ア 核鑑識等の情報共有及び共通理解を深めるワークショップ等を開催。
- イ ウラン年代測定,核鑑識のための核燃料の特徴分析手法及び国家核鑑識ライブラリーの開発といった3つの共同研究プロジェクトを推進。
(3)保障措置の実施に係る協力
日本原子力研究開発機構(JAEA)と米国エネルギー省(DOE)が協力して,効果的でより強化された保障措置の実施のための協力を推進。
(4)新規施設の設計における核セキュリティに関する良好事例の共有
- ア 両国関係者は相互に六ヶ所村及びサバンナリバーに所在する建設中のMOX(ウラン-プルトニウム混合酸化物)施設を見学。
- イ JAEAとサンディア国立研究所(SNL)はセキュリティ・バイ・デザインに係るハンドブックを第三国向けに共同で作成中。
(5)盗取又は妨害破壊行為の機会を減少させるための輸送のセキュリティに係る協力
本年3月に両国の専門家が輸送セキュリティに係る机上演習を行う。
(6)高濃縮ウランの利用を低減し希釈作業を完了させるための原子炉の転換
- ア 東京大学の弥生炉や産業技術総合研究所(AIST)が有している高濃縮ウランの希釈のための準備作業を推進。
- イ 京都大学は,DOE及びアルゴンヌ国立研究所と共同で,臨界集合体から低濃縮ウランの使用への転換のための実現可能性に関する調査を実施。
(7)INFCIRC/225/Rev.5の実施
ISCNは,DOE等の協力を得て,IAEAによる核物質及び原子力施設の防護に関する核セキュリティ勧告(INFCIRC/225/Rev.5)の国内規制への取り入れに係る国内向け及びアジア地域向けのワークショップを開催。
(8)施設における盗取及び妨害破壊行為に対処する対応部隊の統合
- ア 2010年11月,米国側は,警察,海上保安庁及び事業者が共同参加した六ヶ所再処理工場での核物質防護訓練を視察,東京での武力対抗演習ワークショップに参加。
- イ 2011年11月,日本側は,米国のクーパー原子力発電所での武力対抗演習を視察,米・原子力規制委員会本部でのワークショップに参加。
(9)高濃縮ウラン及びプルトニウムの管理に係る共同研究:物質の誘引の減少
HEU(高濃縮ウラン)等の物質の核テロ誘引の低下に関する共同報告書の編集等,共同研究を推進。