
2012年ソウル核セキュリティ・サミット
ソウル・コミュニケ(骨子)
(仮訳,英文)
I.前文
- 核テロリズムは,国際の安全にとって最大の脅威の一つ。
- ワシントン・サミット以来,参加国により政治的なコミットメントについて実質的な進捗が得られつつあることを歓迎。
- 核物質その他放射性物質を悪意のある非国家主体が取得することを防ぐことの基本的な責任は国家にある。また,地域的及び国際的な協力の重要性を強調。
- 2011年3月の福島の事故を受けて,原子力安全及び核セキュリティの問題に取り組むため,持続的な努力が必要。
II.本文
グローバルな核セキュリティの体系
- 改正核物質防護条約,核テロ防止条約等核セキュリティに対処する多数国間の法的文書の重要性を認識するとともにIAEAの核物質及び原子力施設防護に関する核セキュリティ勧告(INFCIRC/225/Rev.5)等を,国内実施に反映させるよう努力。
- 「核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ」や「大量破壊兵器及び関連物質の拡散に対するグローバル・パートナーシップ」等の貢献を認識し,参加国の拡大を歓迎し,2012年以降の延長を評価。
IAEAの役割
- 国際的な核セキュリティの枠組みにおけるIAEAの重要な責任及び中心的な役割を再確認。
核物質
- 高濃縮ウラン及び分離プルトニウムは特別の注意を要することを認識。
- 技術的・経済的に実行可能な場合における高濃縮ウランの使用最小化を奨励。
放射性源
- 放射性源は産業,医療,農業分野等において広範に利用されることに留意しつつ,国家がこれらの物質を管理することを求める。盗取される等した放射性源を回収するための国内措置・国際協力を奨励。
核セキュリティ及び原子力安全
- 核セキュリティ及び原子力安全の双方に対処する形で,緊急事態への効果的な備え,対応及び緩和能力を維持する必要性を確認。
輸送セキュリティ
- 国内及び国際輸送における核物質その他放射性物質のセキュリティを向上させる取組を継続し,各国がベスト・プラクティスを共有することを奨励。
不正取引への対抗
- 核の不正取引防止のための国内能力の構築や国際協力の必要性を確認。
核鑑識
- 核鑑識は,核物質その他放射性物質の出所を特定し,不正取引・悪意のある行為に関する証拠を提供する効果的な手段。核鑑識を前進させるための国際協力の重要性を強調。
核セキュリティ文化
- 政府,規制機関,産業界,学術界,非政府組織及びメディアを含む全ての利害関係者が核セキュリティ文化を強化することを奨励。また各国が人材育成を促進することを奨励。
情報セキュリティ
- 非国家主体が,悪意のある目的のために核物質を取得又は使用したり,原子力施設における情報技術をベースとした管理システムを妨害するために必要な情報,技術,専門知識を得ることを防ぐことの重要性を認識。
国際協力
- 国際協力を増進させ,適切な場合,二国間,地域及び多数国間のレベルで必要な支援を行うよう国際社会に奨励。市民の意識を向上させるためのパブリック・ディプロマシー及びアウトリーチの努力の必要性を再確認。
III.末文
- ワシントン・サミット以降の核セキュリティ分野における各国の進捗に関する情報を歓迎。
- 次回核セキュリティ・サミットは2014年にオランダで開催。