平成20年9月9日
インドとの民生用原子力協力に関する米の声明案につき議論を継続するため、原子力供給国グループ(NSG)臨時総会が9月4日から6日までウィーンで開催され、同声明案に関する参加国間の協議を経て、我が国も含めたコンセンサスで「インドとの民生用原子力協力に関する声明」を採択した。
(1)我が国としては、
(イ)NPTに加入していないインドへの原子力協力が国際的な核不拡散体制に与え得る影響、
(ロ)アジア最大の民主主義国家であり、新興市場経済国でもあるインドの重要性や、同国の原子力の平和的利用が、地球温暖化対策に貢献し得るという意義、
といった観点を踏まえて、特に唯一の被爆国として、インドによる核実験モラトリアムの継続を重視しつつ、議論に参加した。
(2)NSG臨時総会において、参加各国による厳しい議論・交渉の結果、
(イ)例外化決定は、5日に発表されたムカジー印外相の声明においても改めて述べられたように、インドの核実験モラトリアムの継続をはじめとして、民生用の原子力施設へのIAEA保障措置の適用、NSGガイドラインの遵守を含む厳格な輸出管理の実施を含むインドのコミットメント及び行動に基づくものであることが明確にされ、
(ロ)また、これらのコミットメント及び行動を通じて、インドに対する不拡散措置が現在より強化され、同国の原子力活動の透明性が高まるとともに、国際的な核不拡散体制の外にいるインドによる更なる不拡散への取組を促す契機となると考えられた。
(3)以上の交渉等の結果を踏まえ、我が国としては、大局的観点から、ギリギリの判断として、コンセンサスに加わった。その際、我が国は、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとしては例外化措置を失効ないし停止すべきであること、また、NSG参加各国は各国が行っている原子力協力を停止すべきであることを明確に表明した。
(4)以上のように、今回の決定は、国際社会がインドのかかるコミットメント等を重視した結果であり、我が国としては、インドが、この決定の趣旨を重く受け止め、国際的な核不拡散体制の維持・強化のために責任ある行動をとるよう引き続き強く求めていく。また、インドに対し、非核兵器国としてのNPTへの早期加入、CTBTの早期署名・批准等を求めるとの我が国の立場には変わりはない。