
2010年NPT運用検討会議:最終文書(行動計画)の概要
平成22年5月29日
1 核軍縮
[核軍縮一般・2000年合意「明確な約束」の再確認]
- すべての国は「核兵器のない世界」の実現という目標と整合性のとれた政策を追求。(アクション1)
- 核兵器廃絶の明確な約束の実施において,核兵器国は一方的,二国間,地域,多国間の措置を通じ,あらゆる種類の核兵器を削減し,究極的には廃絶するために更に努力。(アクション3)
[核兵器の数と役割の低減(核兵器国による核軍縮の具体的措置)]
- 核兵器国は2000年NPT運用検討会議の最終文書に含まれる具体的核軍縮につながる措置の進展の加速にコミット。
- あらゆる種類の核兵器削減
- 核兵器の役割の更なる低減
- 核兵器システムの運用状態の低減 等
2014年の準備委員会で締約国に報告するよう核兵器国に要請。2015年NPT運用検討会議で評価し,次のステップを検討。(アクション5)
[消極的安全保証]
- すべての核兵器国は消極的安全保証に関する既存のコミットメントを尊重。(すべての)締約国に対する供与を奨励。(アクション8)
[CTBT]
- すべての核兵器国はCTBTの早期批准を約束。特にNPT非締約国を含む,未批准国による批准奨励に関する核兵器国の特別な責任を確認。(アクション10)
- 条約発効までの間,すべての国は,核実験実施及び新しい核兵器技術の使用に関するモラトリアムを維持。(アクション11)
[FMCT]
- CD(軍縮会議)において核分裂性物質生産禁止条約の交渉を直ちに開始すべきことに合意。(アクション15)
- 核兵器国により,軍事目的のためには不要とされたすべての核分裂性物質のストックを,IAEAに申告することを約束するよう奨励。(アクション16)
[信頼醸成・軍縮不拡散教育]
- すべての国は,核兵器のない世界の達成に向け,政府,国連,その他の国際・地域機関,市民社会の間の協力を支持することの重要性に合意。(アクション19)
- すべての国による,軍縮・不拡散教育に関する国連事務総長報告に含まれる勧告の実施を奨励。(アクション22)
2 核不拡散
[保障措置]
- 追加議定書の未締約国に対し,速やかな締結及び発効を奨励。(アクション28)
- 追加議定書の締結及び発効促進ためのIAEAによる支援を奨励。(アクション29)
[IAEA]
- IAEAの政治的,技術的,財政的基盤の確保。(アクション33)
- 各国の国内計量管理体制整備に対するIAEAの支援を奨励。(アクション46)
[輸出管理]
- 多国間で合意されたガイドラインの活用を奨励。(アクション36)
[核セキュリティ]
- 核物質防護条約の早期の批准及び未締約国による締結を奨励。(アクション42)
- 核テロ防止条約の未締約国に対し,速やかな締約を奨励。(アクション45)
[北朝鮮]
- 北朝鮮に対し,2005年の六者会合の共同声明のコミットメントを履行することを強く要請。NPT及びIAEAセーフガードに復帰することを強く要求。北朝鮮及び締約国に対し,不拡散及び軍縮の義務の履行を求める。(「他の地域問題」)
3 原子力の平和的利用
[原子力の平和的利用と保障措置]
- 原子力技術の移転及び国際協力を推進するにあたっては,第3条(IAEAとの保障措置協定の締結)等に従って促進することの確認。(アクション51)
[IAEAの役割の重要性]
- IAEAの活動に対し,今後5年間で1億ドルの追加拠出を奨励。(アクション55)
[3Sの確保]
- 原子力発電を含む原子力エネルギーの開発にあたり,保障措置,原子力安全及び核セキュリティ(3S)へのコミットメント及び実施の確保。(アクション57)
[核燃料サイクルに関する多国間アプローチ]
- 核燃料供給保証メカニズムを創設する可能性を含めて,核燃料サイクルに関する多国間アプローチについての議論をIAEAの場で継続。(アクション58)
4 中東決議
- 国連事務総長及び中東決議共同提案国(米英露)の召集による,すべての中東諸国が参加する中東非大量破壊兵器地帯設置に関する国際会議の2012年開催を支持