平成17年6月8日
6月7日、標記セミナーが、日露非核化協力委員会と米国戦略国際問題研究所(CSIS: Center for Stragetic and International Studies)の共催及び当省等の後援により、赤坂プリンスホテルにおいて開催されたところ、その概要と評価は次のとおり。
(1)本セミナーには、我が国及びロシアの他G8各国、非G8のドナー国ないし関係国(ノルウェー、豪州、韓国)の政府関係者に加え、NGO、プレス等も含め約70名が参加した。また、我が国の民間企業関係者を中心に約50名がオブザーバーとして参加するなど非常に盛況であった。
(2)セミナー冒頭、河井大臣政務官が開会挨拶を行い、その後、サム・ナン元米上院議員(米国における対露非核化協力に関連するナン・ルーガー法の提唱者であり、議員引退後も民間の立場でG8GP等を積極的に推進。)が基調講演を行い、G8GPの成功のためには我が国のリーダーシップと行動が極めて重要である等述べた。
(3)その後、日露非核化協力委員会のそれぞれの総務会代表である野村駐露大使及びアンチーポフ連邦原子力副長官から、日本及びロシアそれぞれにおける現状を説明した。
(4)セミナーにおける二つのパネル・ディスカッションを通じて、G8GPのこれまでの成果や現状とその将来の展望に関する議論が行われた。前者では、G8GPはこれまで一定の成果を挙げているが、各国のプレッジ額が目標に達していない、原潜解体は北西ロシアに比べて極東での協力が遅れている、協力の実施に当たって免税、免責、サイト・アクセス等の問題も依然として存在する、ロシアによる「冷戦の負の遺産」に協力することの意義を日本国民に十分説明する必要がある等の意見があった。また、後者では、極東における原潜解体により多くのドナーが参加することが重要である、日本を含むドナー国のプレッジ額を増額する必要がある、ドナー間での情報交換やG8各国と非G8諸国との情報・意見交換を活性化させる必要がある等の意見が出された。
(5)さらに、セミナーでは、実際に原子力潜水艦の解体に関与している各国の専門家が、それぞれの経験等を説明したり、G8GPの主要分野の一つである余剰プロトニウムの処分についての意見交換も行われた。
(6)なお、昼食会において、野呂田芳成・日露非核化推進議連会長が挨拶を行った。
(1)本セミナーは、我が国においてG8GP及びロシアの原潜解体事業等をテーマとして初めて開催した国際セミナーであり、我が国の関係者や一般市民にこれらの問題の現状及び今後の課題等を理解してもらう機会を提供した。
(2)サム・ナン元米上院議員、G8各国の代表、G8以外のG8GP参加国、米国戦略研究所関係者、NGO等が一堂に会し、G8GP及びロシアの原潜解体事業等を中心に意見交換・情報交換できた。また、我が国政府にとっては、参加国に対し、G8GPや原潜解体にかかる我が方の実績、現状、今後の方針等について説明できるよい機会であった。
(3)本セミナーにおいて、我が国及びロシアが極東ロシアの原潜解体が北西ロシアに比べ遅れていることを指摘したことは、セミナー参加国・機関等にロシア極東の原潜解体問題への関心を喚起することに資したものと考えられる。