平成23年8月9日
潘事務総長は,高橋副大臣,佐藤福島県知事及び佐藤福島県議会議長と朝食を交えながら意見交換を行った。高橋副大臣より,潘事務総長の訪日を歓迎した後,佐藤福島県知事より,震災,津波,風評被害,原子力発電所事故などに見舞われているが,新しい福島に向けて取り組んでいる旨述べた。潘事務総長からは,今回の訪問は国連として被災者に対して連帯の意を表するのが目的,日本は予測不可能な大災害を経験したが,日本人の規律精神と献身をもってすれば必ず復興するだろうと激励。
潘事務総長は,避難所を訪問し,被災者を激励。避難所では,潘事務総長より,それぞれの家族に対して,国連及び世界は被災者を応援していると日本語で話しかけた。被災者家族からサインを求められるなど終始和やかな雰囲気であった。
潘事務総長は,福島南高校を訪問し,福島の高校生と交流した。高校生からの英語でのスピーチが行われた他,事務総長と質疑応答,記念撮影を行った。対話の中で,高校生からは,東日本大震災の経験や生活への影響,国連への期待などについて意見・質問が寄せられた。潘事務総長より,早期に日本が復興できるよう応援すると連帯のメッセージが伝えられた中,世界に視野を拡げることの重要性が指摘された。
潘事務総長は,相馬市を訪問し,津波の被災現場で立谷相馬市長,佐藤新地町副町長他とともに被災者と対話。被災で犠牲になった方々に対して黙礼した後,立谷市長他から,相馬市の被災状況や取り組みについて説明を受けた。最後に,ぶら下がり取材に応じ,福島県訪問で学んだこと,原子力安全への取り組み等について質問を受けた。
菅総理より,被災地訪問及び被災者のお見舞いに感謝するとともに再任を歓迎したところ,潘事務総長より,今回は日本の国民との連帯を示すために訪日した,日本が復興に向かっているとの希望の光を見たと述べた。また,潘事務総長より,9月の原子力安全等に関する国連ハイレベル会合への総理の出席招待がなされたのに対して,菅総理より,日本として積極的に貢献したい旨述べた。更に,菅総理より,「核兵器のない世界」に向けて国連と協力していきたい,安保理改革についても,改革の早期実現に向けて協議協力していきたい旨のべた。これに対して,潘事務総長より,二期目の任期における重要課題として,持続可能な成長及び安保理改革を含む国連改革に触れた上で,ソマリア・アフリカの角の人道状況に関する追加的支援,南スーダンについてPKO派遣についての要請がなされた。
会談冒頭,松本大臣より訪日を歓迎したところ,潘事務総長より,被災者の方々から復興に向けた強い意志を実感した,人々は必ずや平常の生活を取り戻し,復興に向けて立ち上がると確信している旨述べた。潘事務総長より,原子力安全等に関するハイレベル会合への日本の積極的な貢献への期待が表明されたところ,松本大臣より,しっかりと貢献していきたい旨述べた。アフリカの角における人道状況を踏まえた日本の追加的な支援及び南スーダンへの施設部隊の派遣の可能性についての検討についての要請に対し,前者については,今般5000万円の支援を決定したことを説明し,後者については具体的な協力は検討していきたい旨説明。その他,北朝鮮問題,MDGsや人間の安全保障を含む地球規模課題についての国連と日本政府の協力・連携の可能性について意見交換した。
鳩山前総理大臣,北澤防衛大臣,岡田民主党幹事長,近衛国際赤十字連盟総裁との会談が行われた。これらの会談を通じて,グローバルな課題への対応において国連との協力関係を深めた。
潘事務総長が被災地である福島市及び相馬市を訪問し,被災者に対して連帯の意を示したことにより,被災者のみならず日本国民が勇気付けられた。また,福島県知事との意見交換,相馬市長や被災者とのやりとりを通じ,潘事務総長は震災の経験や復興に向けた歩みについて強い印象を受けた。滞在中に潘事務総長が発出した「日本が復興に向かっている希望の光を見た」,「復興に向けた強い意志を実感した」,「日本は必ず立ち上がる」というメッセージが国内外のメディアを通じて全世界に発信された。
6月に潘事務総長再任が決定した後,初の訪日。潘事務総長の菅総理表敬,松本大臣との会談・夕食会に加えて鳩山前総理,岡田民主党幹事長等要人との会談を通じて,再任が決定した潘事務総長と今後5年間,核軍縮・不拡散,PKO,原子力安全,防災,MDGs,環境問題などについて日本と国連の連携を一層推進していくことを確認した。