国連

潘基文国連事務総長訪日(概要と評価)

平成24年7月9日

  • 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は,7月7日から9日まで,外務省賓客として訪日。滞在中,7月8日に開催された「アフガニスタンに関する東京会合」に出席し,開会セッションでスピーチを行うとともに,野田総理大臣,玄葉外務大臣と意見交換し,地域情勢やグローバルな諸課題の解決にあたっての日本と国連の協力関係を確認した。
  • その他,潘事務総長は,東京会合に参加していたヴェスターヴェレ独外相,カルザイ・アフガニスタン大統領,緒方外務省顧問,カル・パキスタン外相,サーレヒ・イラン外相ほかとの会談等を行った。

1 主要行事の概要

(1) 「アフガニスタンに関する東京会合」への参加

 7月8日の「アフガニスタンに関する東京会合」の開会セッションで,野田総理,カルザイ・アフガニスタン大統領に続いてスピーチを実施した。国際社会がアフガニスタンへの支援を継続していくことの重要性を改めて訴えた。

(2) 野田総理表敬

 7月8日に行われた野田総理への表敬において,潘事務総長から,アフガニスタンに関する東京会合を開催した日本政府のイニシアティブに感謝し,南スーダン及びハイチへの自衛隊施設部隊派遣に言及しつつ,日本の多大な貢献が国際社会に対する前向きなメッセージとなっている旨述べた。これに対して,野田総理より,アフガニスタンについて,日本政府として引き続き支援を継続するとともに,治安権限移譲後,益々役割が増す国連と緊密に協力していきたい旨述べた。

 また,地域情勢については,シリア情勢の現状に対する憂慮を共有し,北朝鮮については更なる挑発行為を防ぐために国際社会が一致して確固たる姿勢を示すことが重要である旨,拉致問題について北朝鮮人権状況決議を含め,協力していくことを確認した。

 更に,野田総理から,潘事務総長の国連のマネジメント改革に敬意を表した上で,安保理改革について,柔軟性を持って現実的な改革を目指したく,連携していきたい旨述べた。最後に,潘事務総長から9月の国連総会への野田総理の出席招待がなされ,これに対して野田総理から,出席については今後検討したい旨述べた。

(3)玄葉外務大臣との会談・共同記者発表・夕食会

 7月8日夕刻に行われた玄葉大臣との会談・共同記者発表・夕食会において,玄葉大臣より,訪日を歓迎するとともに,アフガニスタンに関する東京会合の結果に言及した上で,治安権限移譲後,益々役割が重要となる国連と協力していきたい,二期目の優先課題への取組に敬意を表したい旨述べたところ,潘事務総長からは,日本政府の東京会合開催のイニシアティブを評価した上で,南スーダン及びハイチにおける日本の貢献を高く評価するとともに,TICADVに向けた取組を含め,アフリカに対する日本の貢献に感謝する旨述べた。

 また,地域情勢については,ソマリア,ミャンマー,南北スーダン,東チモール及びリビアに関して,意見交換し,北朝鮮については,玄葉大臣より,問題解決のためには北朝鮮の具体的な行動が必要であるとし,拉致問題については北朝鮮人権状況決議を含めて国連と協力していきたい旨述べた。潘事務総長からは,シリア情勢認識の説明もあった。

 更には,国連マネジメント改革,安保理改革,国連持続可能な開発会議(リオ+20),人間の安全保障,防災,法の支配にも話が及んだ。また,玄葉大臣より,9月に予定されているNPDI会合及びCTBTフレンズ外相会合,来年6月のTICADVへの事務総長の出席を要請した。

(4)単独記者会見(日本記者クラブ)

 7月8日午後に行われた単独記者会見において,潘事務総長より,冒頭,国連における日本の貢献,「アフガニスタンに関する東京会合」を主催したことへの謝意が表明された。更に,南スーダンやハイチへの貢献,ミャンマーへの取組に加えて,軍縮,防災,平和構築,紛争予防,貧困削減,人間の安全保障,持続可能な開発といった分野で,日本はコミットメント及びリーダーシップを発揮していると述べ,また,持続可能な開発に対する政治的コミットメントの強化というリオ+20の成果において日本が中心的な役割を果たしたと評価した。

 また,北朝鮮については,更なる緊張状況の高まりを防ぐための日本政府の努力を称え,拉致問題を解決する重要性への同意を表明した。シリアについては,紛争の拡大を防ぐために安全保障理事会及びアクション・グループが圧力をかけることが不可欠であるとし,国際社会はコフィ・アナン国連・アラブ連盟共同特使の下団結する必要がある旨述べた。国連シリア監視団については,潘事務総長が安全保障理事会に対して当事者が政治的解決に向かう状況にも対応可能なミッションを維持するよう勧告した旨述べた。最後に,効率的で迅速な国連とすることが潘事務総長のビジョンであると述べた。

 質疑応答では,アフガニスタン,シリア,安保理改革等についてやりとりが行われた。

(5)その他

 アフガニスタンに関する東京会合に出席していたヴェスターヴェレ独外相,カルザイ・アフガニスタン大統領,緒方外務省顧問,カル・パキスタン外相,サーレヒ・イラン外相他と会談を行った。

2.評価

 2期目に入った潘事務総長と今後優先的に取り組むべき課題や方向性について意見交換し,認識の共有を図ることができた。野田総理及び玄葉大臣の意見交換を通じて,地域情勢,持続可能な開発,人間の安全保障,防災,法の支配を含むグローバルな課題,国連マネジメント改革や安保理改革等国連の強化について幅広く日本と国連の協力の強化を確認した。

3.日程

7月7日(土曜日) 到着
玄葉外務大臣主催
「アフガニスタンに関する東京会合レセプション」出席
7月8日(日曜日) アフガニスタンに関する東京会合(開会セッションでのスピーチ)
ヴェスターヴェレ独外務大臣との会談
野田総理大臣への表敬
カルザイ・アフガニスタン大統領との会談
単独記者会見(日本記者クラブ)
緒方外務省顧問との会談
カル・パキスタン外務大臣との会談
サーレヒ・イラン外務大臣との会談
玄葉外務大臣との会談・共同記者発表・夕食会
7月9日(月曜日) 帰国
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