8月4日(水曜日)、午後6時30分から約20分間、菅総理大臣は、訪日中の潘基文国連事務総長と、総理官邸において共同記者発表を行ったところ、概要以下の通り。
今回、潘基文国連事務総長に訪日いただいた。国連事務総長として初めて広島平和記念式典に出席されることについて、私から国民を代表して心からの歓迎の意を伝えた。また、長崎にも訪問いただけると聞いている。国連事務総長としての初めての出席・訪問ということで、特に大きな意味を持っていると考えている。今回はルース駐日米国大使も出席されると聞いており、核廃絶に向けて大きな期待をもたらすものである。
本年9月の国連総会の際にミレニアム開発目標(MDGs)に関する首脳会合が開催されるということで、出席要請をいただいた。国内政治上の問題はあるが、できる限り出席したい。
それ以外に、ODAの問題をはじめとする多くの課題について、日本の国連に対する支援に事務総長から感謝の意が伝えられると同時に、今後も継続してほしいとの希望が表明された。財政状況は厳しいが、日本の繁栄は世界の平和の中で維持されるものであり、できるだけの協力をしていきたい。また、世界基金の第三次増資についても検討したいと申し上げた。
PKOについては、事務総長から、ハイチPKOへの派遣に対する感謝の意とともに、他の地域へのヘリコプターの派遣に対する期待が表明された。これに対し、難しい地域もあり、できないことはあるが、これから検討したいと申し上げた。
韓国の哨戒艦事件について、我が国としてもこれに対処し、安保理議長声明も出されたが、事務総長の協力に感謝を伝えた。事務総長からは、高須国連大使が良い仕事をしたことについてお礼のことばがあった。
北朝鮮の核と拉致の問題についても申し上げたところ、事務総長からは、国際社会ではこれらの問題について十分に知られているとの認識が示された。また、北朝鮮と日本の関係が改善することが、この地域の平和につながるとの指摘もいただいた。
このような機会を持てたことに、改めてお礼を申し上げたい。
今般、菅総理が就任して間もない時期に訪日できたことを大変嬉しく思う。総理には、就任をお祝いするとともに、その指導力で大きな成功をおさめることを期待していると申し上げた。また、日本が国連との協力を推進するためにも、日本が経済面での諸課題を解決することを期待している。
日本と国連のパートナーシップは、国連が成功裏に機能するため重要な柱である。日本は国連通常予算及びPKO予算の第二位の分担金拠出国である。また、日本の開発途上国、特にアフリカに対する開発協力に感謝している。困難な経済状況にもかかわらず、現在の水準のODAを維持するよう、心からのお願いを申し上げた。全ての国が経済的な困難に直面しているが、国際社会は世界第二位の経済大国である日本のコミットメントに期待している。
会談の内容については総理が雄弁に述べられたが、私は日本がこれまで以上に重要な役割を、平和、安全保障、開発、人権といった分野で担っていくことを期待している。日本は今も、平和維持、平和構築、人間の安全保障、気候変動といった分野で主導的な役割を果たしている。
例えば、気候変動について、2020年までに温室効果ガスを25%削減するとの目標は、先進国の中でも重要かつ模範となる役割である。
日本はミレニアム開発目標でも重要な貢献を行っている。日本を含む世界の指導者が10年前に合意した青写真を実現するまでに、5年間しか残されていない。この実現を促進することが、今回訪日した理由の一つである。
日本は最初で最後で唯一の武器被爆国である。核兵器のない世界は野心的な目標に思われるかもしれないが、世界が政治的意思があれば達成可能である。今回の広島平和記念式典への出席で、世界に向けて強力なメッセージを発信したい。また、この出席が、多数の被爆者の持っている苦痛と懸念に応えるための幾ばくかの機会になれば嬉しく思う。彼らの生きている間に核兵器のない世界を実現することは、我々の政治的かつ道義的な責任である。菅総理をはじめとする世界の指導者が、固い決意を持って取組を継続していくことが重要と考える。