
「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」第5回(最終)会合について
平成22年7月6日
- 川口順子元外相及びギャレス・エバンス元豪外相が共同議長を務める「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」の第5回(最終)会合が7月3日~4日,ウィーンにおいて開催されたところ,右議論の概要以下のとおり。同会合の結果を踏まえ,同委員会の目的と成果が,今後どのように引き継がれ,発展していくかについての勧告をとりまとめた「ウィーン・コミュニケ」が採択された。
- (1)委員会の報告書(「核の脅威を絶つために」)の発表(昨年12月)とその後の広報活動を評価。また,報告書の発表後の国際情勢の進展の中で,報告書の勧告の達成状況につき検討した。
- (2)その結果,委員会の勧告のすべてが達成されたわけではないが,委員会として,NPT運用検討会議の結果,新START条約の合意,核セキュリティ・サミットの成果を,将来の重要な課題に対する取り組みのための強固なプラット・フォームを提供するものとして歓迎した。
- (3)他方,主要国によるCTBT及び追加議定書の未批准,FMCT交渉が始まらない状況,引き続き解決をみない北朝鮮とイランの核問題,等に懸念を表明し,さらなる努力の必要性を強調するとともに,その報告書が今後の進展のための圧力を提供し続けることを希望しつつ,各委員がその勧告を引き続き強く唱道していく意志を示した。
- (4)委員会は,核不拡散・核軍縮に関する「グローバル・センター」の設立を勧告した。その主要な役割は,2010年NPT運用検討会議の行動計画と委員会勧告に関する核武装国・非核武装国双方の実施状況を評価する「成績表」(レポート・カード)を毎年発表することである。また,モデル核兵器禁止条約案を改善し,発展させるための国際的な研究を主導することも重要な役割となろう。
- 本会合の終了後の5日,川口・エバンズ両共同議長は,シュピンデルエッガー・オーストリア外務大臣,国際原子力機関(IAEA)及び包括的核実験禁止条約(CTBT)機関準備委員会を表敬し,本会合の成果につき説明した。