保健・医療

保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベル・フォーラム
(概要と評価)

平成17年6月22日

 6月21日及び6月22日、我が国は、アジア開発銀行、世界銀行(ADB)、世界保健機関(WHO)の協力の下、「保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベル・フォーラム」を東京(三田共用会議所)で開催した。その概要及び評価は以下のとおり。

1. 概要

(1)参加者

 アジア太平洋地域の24ヶ国から、11名の閣僚(副首相1名、保健大臣7名、財務大臣2名、天然資源環境大臣1名)を含む、保健または財務/開発省関係者が参加した。また、アジア太平洋地域のODAの約8割を占める、13の主要ドナー国・機関から高官が出席した。本ハイレベル・フォーラムは、逢沢一郎外務副大臣、西博義厚生労働副大臣、尾身茂WHO西太平洋事務所事務局長の冒頭挨拶の後、佐藤重和外務省経済協力局長が議長を務めた。(逢沢一郎外務副大臣冒頭挨拶

(2)「保健と開発」に関するイニシアティブ

 我が国は、2000年の九州・沖縄サミットの際に発表した「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」が本年3月をもって終了したことを受け、逢沢外務副大臣による本ハイレベル・フォーラムの冒頭挨拶において、今後は、IDIの後継として保健MDGs達成により焦点を当てた『「保健と開発」に関するイニシアティブ』を推進し、IDIの下での実績(5年間で30億ドルの表明額に対し、2003年度までの4年間で既に40億ドル超の協力を実施)を踏まえつつ、保健MDGs達成に向けた協力を一層拡充していく考えである旨表明した。

(3)議論の概要

(イ)世界の貧困人口の3分の2を占めるアジア太平洋地域においては、MDGs達成に向け一定の進展が見られるものの、域内・国内における格差の問題、心臓病・高血圧などの感染症以外の病気、SARS・鳥インフルエンザなどの新興感染症の問題など、引き続き多くの課題が存在することが確認された。

(ロ)1)能力開発を通じた保健システムの強化、2)分野横断的取組、3)資金の確保および効果向上、4)保健サービスへの衡平なアクセスの4つの主要テーマに沿って、課題を克服するための各国における成功事例、教訓が紹介され、参加国間で情報の共有がなされた。また、保健MDGs達成に向けた今後の取組として、南南協力を含む地域協力の強化が必要であることについて共通の認識が得られた。

2. 評価

(1)保健MDGs達成に向けた取組推進のための知見の共有及びアジア太平洋地域の視点の発信

(イ)参加各国における保健MDGs達成に向けた進捗状況、取組の成功例・失敗例及びその教訓について紹介がなされ、知見が共有された。こうした知見は、成功例から学び、同じ失敗を繰り返さないという意味において、今後各国が保健MDGs達成に向けた取組を進める上で非常に有益な情報となりうる。

(ロ)保健MDGs達成に向けた取組を進める上で、我が国が重視する、1)成長を通じた貧困削減、2)インフラも含めた分野横断的取組の必要性、3)南南協力、4)人間の安全保障、5)女性のエンパワメントとリプロダクティブ・ヘルス・サービス普及の重要性が議長総括に盛り込まれた。

(ハ)議長総括は、国連ミレニアム宣言中間レビュー首脳会合やWHO等に対してアジア太平洋地域の視点を発信するための材料となる。本フォーラムを通じてアジア太平洋地域の視点を発信することにつき、参加国から高い評価があった。

(2)我が国のMDGs達成に向けたコミットメントのアピール

 本年は、7月のG8グレンイーグルズ・サミット、9月の国連ミレニアム宣言に関する首脳会合を控え、MDGs達成に向けた各国の取組が議論の焦点となることが予想される。MDGsの中でも中核的な目標である保健MDGsに関する本ハイレベル・フォーラムの開催及び「保健と開発」に関するイニシアティブに基づき保健MDGs達成に向けた協力を一層拡充していく考えである旨表明したことにより、我が国のMDGs達成に向けたコミットメントをアピールすることができた。(「保健と開発」に関するイニシアティブ及び保健MDGs達成に向けた我が国の貢献策

(3)我が国の保健医療分野における協力に対する評価と期待

 多くの参加国から、これまでの我が国による保健医療分野における協力に対する評価・謝意の表明がなされた。同時に、「保健と開発」に関するイニシアティブの下での、保健MDGs達成に向けた今後の一層の取組の強化・拡充に対する強い期待感が表明された。

(参考)

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