軍縮・不拡散

我が国主催PSI海上阻止訓練「Pacific Shield 07
(概要と評価)

平成19年10月18日

1.訓練全体の概要

(1)訓練日程・場所

(イ)日程:10月13日(土曜日)~15日(月曜日)(10日、12日にも関連行事を実施。)

(ロ)場所:伊豆大島東方海域(13日)、横須賀港(14日)、横浜港(15日)

(2)訓練参加主体

(イ)我が国: 外務省、警察庁、財務省(税関)、海上保安庁、防衛省・自衛隊等

(ロ)装備・人員派遣国:オーストラリア、フランス、ニュージーランド、シンガポール、英国、米国

(3)オブザーバー参加国(上記装備・人員派遣国を除く。)

アジア大洋州:ブルネイ、インド、ラオス、マレーシア、マーシャル諸島、モンゴル、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、ベトナム、北米:カナダ、中南米:ブラジル、チリ、エルサルバドル、パナマ、中東:バーレーン、イスラエル、ヨルダン、オマーン、カタール、トルコ、アラブ首長国連邦、欧州等:デンマーク、ドイツ、イタリア、カザフスタン、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、スロベニア、スペイン、ウクライナ

参加国(装備・人員派遣国及びオブザーバー参加国)合計:40カ国

2.木村外務副大臣主催歓迎レセプション(12日)

(1)出席者:訓練参加国関係者、国会議員、政府関係者、横須賀市・横浜市関係者、東京海洋大学(訓練用船舶を提供)関係者等約200名

(2)木村副大臣挨拶:今回の訓練を通じ、国際社会が不拡散に取り組む強い意思と決意を示すことができるとともに、PSIの目的と活動に対する理解を深め、各国及び関係省庁間の協力を促進することができる旨表明。

  • (写真)挨拶する木村外務副大臣

    挨拶する木村外務副大臣

  • (写真)レセプション参加者との懇談

    レセプション参加者との懇談

3.各日訓練の内容

(1)第1日目(13日):洋上における捜索・発見・追尾/乗船

(イ)場所:伊豆大島東方海域

(ロ)参加主体

我が国:防衛省・自衛隊(艦艇、哨戒機、早期警戒機、乗船チーム)

その他の国:豪、仏、英、米(艦船・乗船チーム(英はヘリコプター含む))、シンガポール(乗船チーム)、ニュージーランド(哨戒機)

(ハ)内容:洋上において、各国艦船がそれぞれ容疑船を捜索・発見・追尾。その後、乗船チームが容疑船に対し乗船を実施。

  • (写真)接近するシンガポール乗船チーム

    接近するシンガポール乗船チーム

  • (写真)容疑船を追尾する豪艦船と乗船艇

    容疑船を追尾する豪艦船と乗船艇

(2)第2日目(14日):乗船・立入検査訓練

(イ)場所:横須賀新港岸壁

(ロ)参加主体

我が国:防衛省・自衛隊(乗船チーム)

その他の国:豪、仏、シンガポール、英、米(乗船チーム)

(ハ)内容:埠頭に係留中(洋上を想定。)の容疑船に対し、各国乗船チームが船内捜索・容疑物資の発見を実演。

(写真)海上自衛隊乗船チームによる乗船

海上自衛隊乗船チームによる乗船

(3)第3日目(15日):港における船内立入検査・貨物検査等

(イ)場所:横浜港(大さん橋)

(ロ)参加主体

我が国:警察庁(検査チーム、警備艇、NBCテロ捜査隊)、財務省・税関(検査チーム、X線検査車両)、海上保安庁(巡視艇、検査チーム)、防衛省・自衛隊(陸自化学防護部隊)

その他の国:豪(税関法執行チーム)、シンガポール(陸軍CBRE防護群)、米(国土安全保障省税関国境保護局)

(ハ)内容:各国が港における拡散阻止活動(船内立入検査・貨物検査、除染等)の展示訓練を実施。

(ニ)我が国(警察・税関・海保合同チーム)の訓練想定

 我が国政府は、神経ガスの開発に使用可能な「シアン化ナトリウム」が横浜港にて拡散懸念国行船舶に積み替えられるとの情報を入手。関係機関が連携し、港にて容疑貨物への検査を実施し、物質を特定・押収。

  • (写真)警察・税関・海保合同検査チーム※船舶は東京海洋大学「青鷹丸」

    警察・税関・海保合同検査チーム
    船舶は東京海洋大学「青鷹丸」

  • (写真)警察NBCテロ捜査隊による検査活動

    警察NBCテロ捜査隊による検査活動

  • (写真)陸上自衛隊第101特殊武器防護隊

    陸上自衛隊第101特殊武器防護隊

4.外国海軍艦艇オープンシップ(14日)

概要:PSI訓練のため来日した豪(HMAS「パース」)、仏(FS「ヴァンデミエール」)、英(HMS「モンマス」)各国海軍及び海上自衛隊艦船(護衛艦「まきなみ」)の一般公開を実施し、約1,200名が来場。草の根レベルでの国際交流の促進とPSIの取組に対する一般の理解の向上に貢献した。

  • (写真)公開された英、豪、仏艦船(左より)

    公開された英、豪、仏艦船(左より)

  • (写真)艦船乗組員との交流

    艦船乗組員との交流

5.評価

(1)拡散阻止に向けた力強いメッセージの発出

 我が国として2回目となるPSI訓練の主催(注)を通じ、大量破壊兵器及びその関連物資の拡散阻止に向けた我が国及び国際社会の力強い意思を内外に表明することができた。また、すべての訓練プログラムをオブザーバーやメディアに公開し、PSIの目的や内容、その重要性等についての理解向上に努め、成果があった。

(注)平成16年10月、我が国として第1回目のPSI海上阻止訓練「チーム・サムライ04」を主催。

(2)各国の多彩な訓練内容、関係機関相互の連携の強化

 今回の訓練は、全体を通して各国が拡散阻止に係る技量を相互に展示する形で実施され、各国の関係機関間の相互理解と交流、関係強化を通じて、拡散阻止のための措置の実効性向上に貢献した。

 前回訓練で実施した洋上での追尾・乗船、船内立入検査等に関する訓練のほか、港における船内立入検査・貨物検査に係る訓練を初めて実施。我が国については、法執行に携わる警察、財務省(税関)、海上保安庁相互の連携強化が、訓練を通じて達成された。また、陸上自衛隊化学防護部隊も除染に関する展示訓練を行った。

(3)幅広い国々からの積極的な参加

 我が国主催PSI訓練としては初めて、ニュージーランド、シンガポール及び英国から装備・人員が参加。また、アジア大洋州諸国、中東諸国、PSI未支持国を含む幅広い国々からオブザーバーが参加し、参加国数は「チーム・サムライ04」に比べ大幅に増加(注)した。

 各国からのオブザーバー参加者は、3日間の訓練及び関連行事の間、積極的に交流し、PSI及び不拡散一般に対する取組の重要性や各国の政策についての理解を深めた。

(注)「チーム・サムライ04」には、装備・人員を派遣した3カ国(豪、仏、米)を含め、21カ国が参加。

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