本年2月26日~28日,東京において,41か国・地域・機関から120人超の参加を得て,第20回アジア輸出管理セミナーが経済産業省及び外務省の協力の下で一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)の主催により開催された。
1.セミナー開催の背景
- (1) アジア諸国・地域,特にASEAN諸国においては,経済発展に伴い,大量破壊兵器の開発に転用可能な物資・技術の生産能力を獲得してきていることに加え,中継貿易地として発展を遂げているところもあり,これらの国・地域が拡散者による違法な調達活動に意図せずして関わる危険性が高まっている。
- (2) 本セミナーは,このような状況の中,アジア地域の不拡散体制を整備していくためにはこれら諸国・地域の協力が必要不可欠との認識の下に1993年から毎年開催されており(今回で20回目),アジア地域の輸出管理当局者が集まるセミナーとしては最大規模。人的ネットワークを拡大しつつ,輸出管理の重要性に対するアジア諸国・地域の共通認識を高め,その輸出管理制度を強化することにより,アジア地域及び国際的な不拡散への取組の強化に資することを目的としている。
2.今次セミナーの概要
- (1) 今次セミナーでは,各国・地域の代表(トルコ及びメキシコが初参加)に加え,4の国際輸出管理レジーム,ASEAN事務局,EU,金融活動作業部会(FATF),国連安保理1540委員会,同1718委員会及び同1737委員会専門家パネル,世界税関機構(WCO)といった国際機関や,米国ジョージア大学等の学界の参加も得て,これらの関係者との間でも有意義な情報交換が行われた。
- (2) 最近の国際情勢,各国・地域の取組,輸出管理制度導入・執行のための課題,アジア地域全体の不拡散に向けた取組について活発な議論が行われた。また,東京税関及び独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)への視察も行われた。
- (3) 特に,(1)国内法令の整備,(2)産業界との連携,(3)国内の関係機関との連携というテーマに焦点を当て,各国の取組や課題について参加者同士の活発な議論が行われ,アジア諸国・地域における輸出管理強化の観点から包括的輸出管理法の導入,輸出管理に対する認識の改善,中小企業による輸出管理制度の整備,仲介・通過規制の導入,当局関係者の能力向上,地域間協力の強化等についての議論が交わされた。
- (4) 今次セミナーでは,アジア地域において輸出管理強化の重要性についての共通認識及び担当者間のネットワークが一層深まり,地域における輸出管理の強化につながっていることがうかがえた。今後とも我が国としてこれらアジア諸国・地域に対する働きかけを継続していく方針である。
3.参加国・地域・機関
豪,バングラデシュ,ブルネイ,カンボジア,仏,独,香港,インド,インドネシア,韓国,ラオス,マレーシア,メキシコ,ミャンマー,パキスタン,フィリピン,シンガポール,スリランカ,台湾,タイ,トルコ,UAE,米国,ベトナム,ASEAN事務局,EU,金融活動作業部会(FATF),国連安保理1540委員会,同1718委員会及び1737委員会専門家パネル,原子力供給国グループ(NSG),オーストラリア・グループ(AG),ミサイル技術管理レジーム(MTCR),ワッセナー・アレンジメント(WA),世界税関機関(WCO),インド防衛研究所,ストックホルム国際平和研究所(SIPRI),英国キングス・カレッジ,米国ジョージア大学,米国ニューヨーク州立大学,日本