軍縮・不拡散

第17回アジア輸出管理セミナー(概要)

平成22年2月

 1月26日~28日、東京において、27カ国・地域の参加により、第17回アジア輸出管理セミナーが開催された。

1.セミナー開催の背景

(1)アジア諸国・地域、特にASEAN諸国においては、経済発展に伴い、大量破壊兵器の開発に転用可能な物資・技術の生産能力を獲得してきていることに加え、中継貿易地として発展を遂げているところもあり、これらの国・地域が拡散者による違法な調達活動に意図せずして関わる危険性も高まっている。

(2)本セミナーは、このような状況を踏まえ、アジア地域の不拡散体制整備のためにはこれら諸国・地域の協力が必要不可欠との認識の下、1993年から毎年開催してきているものであり、人的ネットワークを拡大しつつ、輸出管理の重要性に対するアジア諸国・地域の共通認識を高め、その輸出管理制度を強化することにより、アジア地域及び国際的な不拡散への取組の強化に資することを目的としている。

2.今次セミナーの概要

(1)大量破壊兵器の拡散と輸出管理を巡る最近の動向、アジアにおける輸出管理の最近の動向と課題、効果的な輸出管理に向けての課題(輸出管理制度の導入及び強化のためのマイルストーン、産業アウトリーチ、通過)、輸出管理社内規定(ICP)導入の取組、無形技術移転(ITT)規制の取組、日本安全保障貿易学会との意見交換、輸出管理普及のためのアウトリーチ活動、及び国際協力につき活発な議論が行われた。

(2)今次セミナーでは、国連安保理制裁委員会専門家パネルからも参加を得て、関連国連安保理決議と輸出管理の関係につき説明がなされたのに加え、初めて仏及びEUの参加を得た。これにより、本セミナーの参加国・地域は、第1回の8か国・地域から、27カ国・地域に拡大し、アジアでは最大規模のセミナーとなった。

(3)今次会合では、安保理決議第1874号の採択に伴って急速に関心が高まっている「通過規制」、ICP、学術機関による輸出管理等、各国の輸出管理が進展する中で新たに生じつつある論点についても扱われ、各国が国際社会の輸出管理の最新動向について理解を深める貴重な機会となった。

(4)今次セミナーでは、参加国・地域において輸出管理強化の重要性の認識がこれまでにも増して深まっていることが伺えた。今後とも我が国としてこれら諸国・地域に対する働きかけを継続していく方針である。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る