平成21年11月19日
1. 11月16日から18日午前までの2日半にわたり、イタリアのローマにおいて、国連食糧農業機関(FAO)主催による「世界食料安全保障サミット(World Summit on Food Security)」が開催された。FAOが主催するサミットとしては3回目。
2. 今次サミットは、昨年の食料価格高騰とその後の経済危機の影響により栄養不足人口が今年末までに人類史上初めて10億人を突破すると見込まれる状況を受けて、食料安全保障を重要な政治的課題に掲げ続けるとのコンセンサスを各国間で得ることを目的に、FAO加盟国の代表のほか、パン・ギムン国連事務総長、ジャック・ディウフFAO事務局長、ジョゼット・シーラン国連世界食糧計画(WFP)事務局長、カナヨ・ヌワンゼ国際農業開発基金(IFAD)総裁を始めとする国際機関や関係非政府組織(NGO)の代表他が参加した。首脳クラスの主な出席者としては、ベルルスコーニ伊首相(議長)、ルーラ・ブラジル大統領、エルドアン・トルコ首相、ムバラク・エジプト大統領等のほか、ローマ法王ベネディクト16世が出席し、演説を行った。我が国からは、政府代表として、安藤裕康駐イタリア大使が出席し、演説(【参考1】参照)を行った。
3. 開会直後に「世界食料安全保障サミット宣言」(【参考2】参照)が全会一致で採択されたのに続き、各代表による演説が16日午前から18日午前までの間に順次行われた。ディウフFAO事務局長より、現在、世界の6人に1人が栄養不足の状態にあり、このため6秒間に1人の子供の命が失われている旨の紹介があり、多くの代表からは、政策を直ちに行動に移すことの必要性が強調された。また、各代表より、農業及び食料安全保障と気候変動問題との関連性を指摘する発言や、農業分野への投資を増大させる必要性を訴える発言等が多くなされた。
4.また、本会議場において一般討論演説が行われている間、以下の4つのテーマ別会合が並行して開催され、それぞれ活況を呈した。
1)「食料、経済、金融危機の世界食料安全保障への悪影響を最小化する」
2)「食料安全保障に関するグローバルガバナンスを改革する」
3)「気候変動への適応と緩和:農業と食料安全保障に向けた課題」
4)「世界の食料安全保障の強化方策:農村開発、小規模農家及び貿易配慮」
安藤裕康駐イタリア大使は、18日午前中に一般演説(別添1)(PDF)を行ったところ、演説のポイントは、次のとおり。
(2)責任ある国際農業投資の促進等
今次サミット開会時に採択された「世界食料安全保障サミット宣言」 (別添:英文(PDF)及び仮訳(PDF)
においては、本年7月のG8ラクイラ・サミットで合意された食料安全保障に関する5原則が発展し、以下の「持続可能な世界の食料安全保障のためのローマ五原則」として、全てのFAO加盟国によりエンドースされたことが主要な成果としてあげられる。
原則1:良く設計された、成果重視の計画及びパートナーシップに資源を結び付けることを目指し、各途上国が主体的に取り組む開発計画に投資する。
原則2:ガバナンスを向上し、資源配分の改善を促進し、取組の重複を避け、対策の乖離を特定するための、国、地域及び世界レベルにおける戦略的調整を発展させる。
原則3:食料安全保障に対する包括的なツイントラック・アプローチに向け努力する。これは次により構成される:1)最も脆弱な人々の飢餓に直ちに取り組む直接的な行動、2)飢餓と貧困の根本的原因を除去する中・長期的な持続可能な農業、食料安全保障、栄養及び農村開発の計画、これは適正な食料の権利の漸進的実現によるものも含む。
原則4:多国間機関の効率、対応、調整及び有効性の持続的向上による、多国間システムの強い役割を確保する。
原則5:複数年にわたる計画及びプログラムを意図して、必要とされる資源の適時のかつ信頼性のある供与を通じた、農業、食料安全保障及び栄養に対する全ての投資パートナーによる持続的で十分なコミットメントを確保する。
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