平成25年3月1日
(英語版)
2月28日(木曜日),外務本省において,外務省主催,経済産業省・環境省共催により,在京大使館,国際機関,関係企業等の参加のもと,国際セミナー「世界とともに歩むTOHOKUのまちづくり-世界と取り組み,世界へ広がるスマートコミュニティー」が開催されました。
本セミナーは,東日本大震災から2年後,平成24年3月2日に福島市で開催された国際エネルギー・セミナー「被災地復興へ向けたスマートコミュニティ提案」(注)の開催から1年後の機会を捉えて,被災地におけるまちづくりの取組やその発信に関するフォローアップを行っていくこと,さらには,被災地や世界の都市が直面する持続可能なまちづくりという共通の課題を,国際社会が連携してどのように取り組んで行くべきか議論することを目的として開催されたものです。
(注:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/energy/seminar120302_gaiyo.html)
国際セミナーにおけるIEA及びIRENAからの3名のパネリストが,同セミナーに先立ち,福島県南相馬市で外務省が主催した国際ワークショップに出席し,桜井勝延市長を始めとする南相馬市や企業の方々と意見交換を行いました。この訪問は,昨年,上記国際エネルギー・セミナーの機会を捉えて南相馬市を訪問した,IEAやIRENAからの具体的な支援の申し出を踏まえて実現したものです。桜井市長からは,「まちづくりのキーワードは『ヒト』,人の気持ち・心を大切にしながら,人が中心となってまちを変えていく必要がある」との力強い発言がありました。また,宮城県仙台市では,視察や,東北大学の「東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクトシンポジウム」で講演する等,まちづくりに携わる関係者等と意見交換を行いました。
名越一郎岩手県宮古市副市長が,「宮古市版スマートコミュニティ」や,「宮古市ブルーチャレンジプロジェクト(電気・熱・水素エネルギーを生産する木質バイオマス施設の整備を中核とした復興モデル事業)」について,官民一体となった取り組みの経過や今後の方向性について講演されました。
福島県南相馬市及び宮城県の復興状況や,具体的なスマートコミュニティ事業について紹介し,IEAからは,エネルギーを含む統合型のシステム構築やエネルギー源の多様化の重要性に加え,もっとも安定的なエネルギー源としてエネルギー・ロスの削減に着目すべき旨提案がありました。
また,IRENAからは,南相馬市を1年ぶりに訪れて,現場での明らかな進展が見られたとしつつ,被災地を含めた日本での再生可能エネルギーの導入加速に関する潜在性やその実現手段について助言がありました。その後,まちづくりの次なるステップとその課題,及びその解決方法について,意見交換が行われました。
田路 和幸 東北大学大学院環境科学研究科長
ジーン・フランソワ・ガニエ IEAエネルギー技術政策課長
ドルフ・ギレン IRENAイノベーション・テクノロジー・センター長
名越 一郎 岩手県宮古市副市長
早川 尚樹 株式会社奥野翔建築研究所会長(南相馬市スマートコミュニティネットワーク共同事業体)
堀籠 洋一 宮城県環境生活部環境政策課環境産業振興班 技術主査
鈴木外務副大臣から,本セミナーの背景・趣旨,そして被災地復興に対する思いや外務省の果たすべき役割について,挨拶(PDF)を行いました。
第II部の前半は,米国及びデンマークが,被災地のまちづくりに関する2国間協力について紹介しました。被災地からは,諸外国の支援に対する感謝が述べられるとともに,小さな集落の再建や高齢化への対応等も含め,諸外国のまちづくりを模範にしていきたいとの発言がありました。また,参加者した大使館や国際機関より,被災地の経験や取組は国際社会にとっても重要であり,引き続き共有してほしいとの希望が述べられました。
後半は,世界の未来のまちづくりのためにどのように英知を共有していくべきかに関し,UNEP及びUNIDOからリオ+20等で議論された世界のまちづくりの諸課題,我が国や国際社会のコミットメント等の紹介があり,北九州市からは,同市における先駆的な取組及びその成果のアジア地域への共有について紹介されました。また,IEAを始めとするパネリストの間で,英知を共有する際に重要な視点や,現在の取組やその課題について意見交換が行われました。
望月 洋介 日経BPクリーンテック研究所長
ジェシカ・ウェブスター駐日米国大使館経済・科学部公使参事官
トムセン駐日デンマーク大使館次席公使
マシュー・ガブ国連環境計画国際環境技術センター(UNEP/IETC)所長
古谷 毅 国連工業開発機関(UNIDO)東京投資・技術移転促進事務所長
柴田 泰平 北九州市環境局環境未来都市推進室スマートコミュニティ担当課長
名越 一郎 岩手県宮古市副市長
早川 尚樹 株式会社奥野翔建築研究所会長
堀籠 洋一 宮城県環境生活部環境政策課環境産業振興班 技術主査
ドルフ・ギレン IRENAイノベーション・テクノロジー・センター長
ジョン・デュラック IEAエネルギー政策・技術専門官
パネルディスカッションIの総括として,田路東北大学環境科学研究科長からは,何よりもユーザーである住民にとって『魅力的なまちづくり』を行うことが重要であるが,何が魅力かは地域によって大きく異なること,したがって,様々なまちづくりを行っている諸外国の支援・協力を活かしながら,まちづくりを進めていき,その成果をもって世界のまちづくりを先導していくべきことが提案されました。
また,望月所長からは,パネルディスカッションIIの総括として,今後は,北九州市の事例のように『知見の共有』から『体験・経験の共有』へと進化させることが重要であるとともに,共有にあたっては,ITの発展を活用して(言語等による)情報アクセスの障害を解決していくべきとの提言がありました。
最後に,小見山・経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課新産業社会システム推進室長及び神谷・環境省地球環境局地球温暖化対策課調整官から,被災地復興におけるスマートコミュニティの重要性や,その実現にむけた国内政策や諸外国との協力について紹介しつつ,引き続き,被災地におけるまちづくりを支援していきたいとの表明がありました。
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