経済

G8エネルギー大臣会合(2006年、於:モスクワ)
(概要と評価)

平成18年3月16日

 3月15-16日、モスクワにおいて、フリステンコ・ロシア連邦産業エネルギー大臣の議長の下、G8エネルギー大臣会合が開催され、日本より西野経済産業副大臣、遠山外務大臣政務官が出席した。我が国より、現在のエネルギー情勢を踏まえ、気候変動問題への対応とエネルギー政策の両立、エネルギー市場安定のための投資・生産国等におけるその環境整備、エネルギー源の多様化、クリーン・コール・テクノロジー、省エネルギーの重要性を訴え、各国が認識を共有したところ、概要及び評価は以下のとおり。

1.概要

(1)セッションの構成

(イ)会合は、「グローバルなエネルギー安全保障に対する国際機関の視点」、「グローバルなエネルギー安全保障に対する挑戦」、「市場効率化の促進」、「世界のエネルギーシステムの安全性向上」の4つの議題について議論し、ロシアが議長声明を発表。

(ロ)G8以外には、インド、中国、ブラジル、メキシコ、南アフリカが、国際機関からは、世界銀行、石油輸出国機構(OPEC)、国際エネルギー・フォーラム(IEF)、国際原子力機関(IAEA)、国際エネルギー機関(IEA)が招待され、世界のエネルギー情勢に対する見方、および取組を紹介した。

(2)各セッションの概要

 冒頭、議長より、世界的なエネルギー需要の増大に伴い、地球規模でのエネルギー安全保障の確保にむけ、各国が協調して取り組む必要性が指摘された。

(イ)第一セッション(グローバルなエネルギー安全保障に対する視点)では、国際機関からは、世界的なエネルギー需要の増加、および石油価格が高水準で推移した場合の世界経済へ影響に対する懸念が示されるとともに、その解決策として、(a)エネルギーの生産国、消費国間の対話促進、(b)エネルギー分野の投資環境整備、(c)エネルギー源の多様化(d)省エネルギーの推進、の必要性を指摘した。

(ロ)招待国(メキシコ、インド、中国、ブラジル、南アフリカ)からは、エネルギー情勢およびその展望につき説明を行った。各国とも化石燃料の需要は増加傾向にあるが、経済成長と環境保護を両立させる必要性も認識しており、これに対応するため、エネルギー・ミックスの最適化、エネルギー利用効率の改善、クリーン・コール・テクノロジー等新技術の導入、再生可能エネルギーの導入促進策等、具体的な政策が紹介された。

(ハ)第二セッション(グローバルなエネルギー安全保障に対する挑戦)では、西野経済産業副大臣より、エネルギー安全保障を確保が最重要課題であると述べた上で、そのためには、(a)石油・天然ガス分野の投資促進、(b)省エネルギーの推進、(c)原子力の重要性の確認(d)クリーン・コール・テクノロジーの開発・普及、が重要であると指摘した。

(ニ)第三セッション(市場効率化の促進)では、エネルギーの生産国・消費国の対話促進、エネルギーデータの透明性向上、適切かつ安定的なインフラの整備、エネルギー部門への投資促進につき議論され、各国から、エネルギーの上流投資促進、投資条件の安定・緩和、石油市場の透明性、予測可能性を向上させるため共同石油データ・イニシアティブ(JODI)の活用等の意見が示された。

 また、世界のエネルギーシステムの安全性向上についても議論され、多国間の枠組みの評価、エネルギー需要増加を抑制するため、エネルギー効率の向上、エネルギー供給多様化の促進、クリーンなエネルギー技術の開発等につき各国が意見を交換した。我が国からは、遠山外務大臣政務官より、エネルギーシステムの安全性向上に必要な策として、(a)国際エネルギー機関(IEA)等の多国間の枠組の活用、(b)環境に優しい新エネルギー、再生可能エネルギーの技術開発促進、(c)途上国の特性に応じたエネルギー協力を提示した。また、エネルギー憲章条約に対するロシアの批准の重要性も指摘した。

2.評価

議長声明において特に以下の諸点についてG8の共通の認識が表明されたことを評価。

(1)エネルギーの生産国、消費国の対話強化が重要。

(2)埋蔵量・需要、供給、在庫、生産能力等のエネルギー関連データの透明性確保に向けたイニシアティブを支持。

(3)エネルギーの安定的な供給のため、エネルギー資源の生産、輸送、加工の投資、およびその環境整備の必要性を認識。

(4)昨年のG8サミットで首脳が採択した、技術革新の促進、エネルギー効率の改善等への措置を含むグレンイーグルズ行動計画の実施を支持。

(5)エネルギー源の多様化、再生可能エネルギー等クリーンなエネルギーの開発、革新的な技術開発及び導入が、エネルギー安全保障上のリスクを軽減することを認識。

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