
第12回国際エネルギー・フォーラム(IEF)閣僚級会合
(概要)
平成22年4月
1. 会議概要
(1)3月30日及び31日、第12回国際エネルギー・フォーラム(IEF)閣僚級会合がメキシコの主催によりカンクンで開催され、我が国からは、直嶋経済産業大臣及び武正外務副大臣が出席した。今次会合には、63か国の主要なエネルギー産出国及び消費国から閣僚級を含む代表が出席したほか、IEAやOPECなど14の主要なエネルギー関連国際機関から事務局長等が出席した。
(2)会合における議論の結果を踏まえ、IEFを通じた産消対話の構造の強化およびエネルギー市場の乱高下の抑制を目的とするカンクン閣僚宣言(英文(PDF)
・和文(仮訳))が採択された。次回のIEF閣僚級会合は2012年にクウェートで開催されることとなった。なお、本会合後に開催された理事国選挙において、我が国は次期理事国に再任された。
(注)本会合の議論は発言者を対外的に言及しないとのチャタムハウス・ルールに則って行われた。
2. 主な討議の内容
(1)開会式 (30日午後)
- カルデロン・メキシコ大統領、ケッセル同エネルギー大臣、ゴンザレス州知事(キンタナ・ロー州)及びフルストIEF事務局長から、各国からの今次会合への積極的な参加を歓迎するとともに、開かれた産消対話を通じた相互理解の更なる深化進展を期待する旨発言があった。
- 産業界から、同日午前中に開催された第4回国際エネルギー・ビジネス・フォーラム(IEBF)の議論の結果として、エネルギー価格の乱高下に伴う不確実性の増加はエネルギー分野における投資の決断に大きな影響を与えるものであり、産消双方による相互投資の促進を通じた産消対話の強化の重要性が指摘された。また、国営石油企業(NOC)と国際石油企業(IOC)の更なる協力が必要である旨、さらに今後増加するエネルギー需要への対応のために、NOC及びIOCの積極的な協力により相互の優位性を最大化し、新規の探鉱・開発や人材育成の促進に取り組むことが重要である旨指摘があった。
(2)第1セッション 人間開発の促進におけるエネルギーの役割 (30日午後)
- エネルギー貧困の軽減を通じたエネルギー安全保障の強化は国境を越えた課題であり、先進国と途上国がそれぞれの知識と経験を最大限活用する必要がある旨発言があったほか、各国の具体的な取組が紹介された。また、エネルギー効率の改善及び再生可能エネルギーの開発・普及が、エネルギー貧困を軽減するために果たす役割の重要性について指摘があった。
- 武正外務副大臣からは、近代的なエネルギーサービスの欠如が成長、雇用、医療及び教育の機会を奪うと同時に、環境に大きな負荷をかける人間の安全保障上の重要な課題となっていることを指摘の上、インフラ整備と人材育成の双方を重視し、エネルギー貧困の撲滅のためにアフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)のような地域機関やイニシアティブを活用しつつベストプラクティスの共有と普及を行い、各国が自らのオーナーシップの下に取組を進めていくことが重要である旨発言した。
(3)カンクン閣僚宣言の承認 (31日午前)
- アブドルアジーズ・サウジアラビア石油・鉱物資源副大臣(殿下)、ホワイト・英エネルギー気候変動省局長及びフルストIEF事務局長から、エネルギー価格の乱高下へ対処するためのIEFの強化の重要性に言及しつつ、カンクン閣僚宣言の内容を説明した後、各国による承認が求められ、66か国(今次会合不参加国を含む。カンクン閣僚宣言参照(英文(PDF)
)により閣僚宣言が採択された。
(4)第2セッション グローバルなエネルギー市場:過度の価格変動と不確実性の抑制 (31日午前)
- エネルギー市場における不確実性の減少、特に石油市場の安定性のためには、市場参加者へのより良い情報の提供が重要である旨発言があり、この点、とりわけグローバルなエネルギー対話の具体的成果である共同石油データイニシアティブ(JODI)の更なる拡大・強化の必要性が指摘された。また、過度の乱高下を抑制するために、各国が協調して規制を行うべきとする意見も出された。
- 直嶋経済産業大臣からは、石油の価格変動が世界経済に及ぼす影響を指摘の上、石油価格の安定化に向けて、産消国が世界経済や石油市場の状況に関する認識を共有し、建設的な対話を行うことが必要である旨述べるとともに、地域的な産消対話の主催など我が国の最近の積極的な取組を紹介した。
(5)第3セッション 需給の持続可能性と安全保障との調和 (31日午後)
- エネルギー政策と気候変動対策の両立の観点から、エネルギー効率の改善が求められるとともに、炭素隔離・貯留(CCS)や再生可能エネルギー、バイオ燃料原子力などクリーンなエネルギー技術などに関する各国の具体的な取組が紹介された。
- 直嶋経済産業大臣からは、我が国の具体的な取組を紹介しつつ、気候変動対策における省エネルギー、再生可能エネルギーの普及及び化石燃料のクリーンな利用の重要性を指摘するとともに、省エネルギー政策に関するワークショップの開催を提案した。これに対し、複数の国の代表から我が国の取組を賞賛する発言があった。
(6)第4セッション グローバルなエネルギー対話:今後に向けて(31日午後)
- 今次会合の総括として、JODIを通じたエネルギー市場の透明性の向上、エネルギー貧困の軽減やクリーンなエネルギー技術の活用の重要性が指摘されるとともに、これらの活動を更に促進するためのエネルギー産消対話の強化について意見の一致をみた。
- 武正外務副大臣からは、産消対話の促進に向けた我が国のこれまでの貢献に言及しつつ、唯一の閣僚レベルの常設産消対話フォーラムであるIEFの強化が重要であり、主要な産消国を含む多くの国が強化された産消対話に財政面を含めて積極的に参加することを求める旨述べた。また、IEFがエネルギー関連国際機関と役割・機能の重複を排除しつつ密接に協調・連携すること及びJODIの一層の充実が重要である旨指摘し、閣僚宣言で決定されたIEF憲章の作成に建設的に貢献していく旨発言した。
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