平成18年12月
平成18年12月16日、北京において、馬凱(マーカイ)中国国家発展改革委員会主任の議長の下、五カ国エネルギー大臣会合が開催され、日本より甘利経済産業大臣、浅野外務副大臣が出席(米国:ボドマン・エネルギー長官、インド:デオラ石油天然ガス大臣、韓国:丁(チョン)産業資源部長官が出席)した。
我が国より、現在のエネルギー情勢を踏まえ、甘利経産大臣より、省エネ、エネルギー源の多様化、緊急時対応策の強化、投資環境の改善につき発言し、また浅野外務副大臣より、G8サンクトペテルブルク・サミットの成果を踏まえつつ、エネルギー分野における国際的な規範の形成及び遵守、エネルギー・インフラ保全の確保、エネルギー貧困への取組の重要性、イランの核開発問題と石油戦略備蓄の強化の重要性等について発言した。また、各国ともセッションを1つずつもって議事進行を担当した。
(1)エネルギー安全保障と石油緊急備蓄(米国)
(2)エネルギー源の多様化(韓国)
(3)投資とエネルギー市場(我が国)
(4)国際協力の主要な挑戦と課題(インド)
(5)省エネ、エネルギー効率(中国)
会合の結果、我が国の主張も取り込んだ共同声明(仮訳・英文)が採択され、次回会合は明年開催する方向で、事務レベルで調整して行くこととなった。
(1)中国、インド、日本、韓国、米国のエネルギー大臣は、エネルギー安全保障、安定、持続可能性の促進の方途について議論した。エネルギーは、持続可能な経済・社会厚生にとって重要である。五カ国共通の挑戦は、十分で信頼できる、環境に配慮した、適正価格によるエネルギーの供給確保、及び、効率的なエネルギーの利用である。
(2)我々は、エネルギーを取り巻く世界情勢等を分析、投資、省エネルギー及びエネルギー効率、代替エネルギー開発、原子力及びクリーンで効率的なエネルギー技術の利用、石油備蓄設立を促進するための共通の努力につき議論した。
(3)我々は、石油価格の脆弱性の背景には、石油需要の増加、石油生産能力、石油余剰生産能力、精製能力のボトルネック、いくつかの石油生産地域における長引く政治的不安定、市場投機等複雑かつ多面的と認識する。
(4)我々は、現在の石油価格の高騰は、エネルギー需要及び投資に影響を及ぼしていると認識する。市場原理に基づいた価格設定が、省エネ、投資に対し、正しいシグナルを送ることを確認する。また、エネルギー供給能力増加のため、市場原理に基づく投資を慫慂する。
(5)我々は、中国、インド、日本、韓国、米国がエネルギー分野における利益を共有すると認識し、以下の分野における協力を促進する。
i.エネルギー・ミックスの多様化
ii.省エネ及びエネルギー効率の向上
iii.戦略石油備蓄の強化に関する協力
iv.データの透明性を向上
v.ビジネス部門における広範かつ詳細な協力
(6)我々は、国際社会に対して、以下の措置を通じて、世界のエネルギー安全保障を強化することを呼びかける。
i.投資を促進するような開放的、透明、効率的で競争的なエネルギー市場
ii.エネルギー需給とエネルギー源の多様化
iii.持続可能なエネルギー技術開発、省エネとエネルギー効率の推進
iv.戦略石油備蓄を通じた協調的なエネルギー緊急時の対応
v.重要なエネルギー施設及び石油とガスの海上輸送路の保全
vi.エネルギー・データの整備