
五カ国エネルギー大臣会合共同声明
(仮訳)
平成18年12月16日
(英文はこちら)
- 世界の石油消費量のほぼ半分を占める中国、インド、日本、韓国、米国のエネルギー大臣は、2006年12月16日、中国北京市において、エネルギー安全保障、安定、持続可能性の促進の方途について議論を行った。エネルギーは、先進国及び途上国の持続可能な経済・社会厚生にとって重要である。我々の共通の挑戦は、十分で信頼できる、また、環境に配慮した、適正価格によるエネルギーの供給確保、及び、より効率的なエネルギーの利用である。
- 近年、国際的な石油価格の変動及び高騰は、世界経済、特に途上国に対し、負の影響を与えている。こうした状況下において、五ヵ国のエネルギー大臣は、エネルギーを取り巻く世界情勢、石油価格の高騰が世界経済にもたらす影響を検討し、エネルギーへの十分な投資、省エネルギー及びエネルギー効率、原子力及びクリーン・コールを含む代替エネルギーの開発とクリーンで効率的なエネルギー技術の利用、石油備蓄の設立を促進するための協力につき議論を行った。我々の共同の努力は、石油及びその他の国際エネルギー市場の安定及び世界のエネルギー安全保障を強化するために非常に重要な意義がある。
- 我々は、石油価格の変動性の背景には、石油需要の増加、長期の石油生産能力に対する投資の適切さに関する懸念、現在の石油余剰生産能力の低さ、精製能力のボトルネック、いくつかの石油生産地域において長引く政治的不安定、市場投機等、複雑かつ多面的な理由があると認識する。
- 我々は、現在の石油価格の高騰は、エネルギー需要及び投資に影響を及ぼしていると認識する。我々は、市場原理に基づいた価格設定が、省エネ及びエネルギー効率や在来型エネルギー及び代替エネルギーへの投資に対し、正しいシグナルを送ることに資することを確認する。我々は、石油とガスの供給能力の増加のため、石油とガスの開発・生産における市場原理に基づく投資を慫慂する。
- 我々は、中国、インド、日本、韓国、米国がエネルギー分野における利害を共有すると認識する。新しいエネルギー技術の開発と導入を加速化し、エネルギー効率の改善を促進する政策は、我々のエネルギー安全保障のみならず世界のエネルギー安全保障の強化に資する。集団的エネルギー安全保障の強化のため、我々は、以下の分野における協力を促進することに同意した。
- クリーン・コール、原子力及び再生可能なエネルギー等の代替エネルギーをより広範に使用することにより、輸送部門を含め、エネルギー・ミックスを多様化すること。そのため、我々は、クリーン・コール、原子力、再生可能なエネルギー、水素、バイオ燃料、ハイブリッド車技術、炭素隔離の研究、開発および導入に向けての協力を拡大する。
- 省エネ及びエネルギー効率を改善すること。それは、エネルギー安全保障の強化のための費用対効果の高い解決方法を提供し、温室効果ガスを削減し、また持続可能な発展に資する。
- 国際的なエネルギー安全保障を促進するため、戦略石油備蓄に関する協力を強化すること。深刻な石油供給途絶に対して、国際エネルギー機関(IEA)等を通じた国際協調を行っていくことが、国際エネルギー市場に便益をもたらすということを過去の経験が示している。
- 石油市場の安定強化のために情報共有を通じて、市場におけるデータの透明性を向上させること。その意味で、我々は、「共同石油データイニシアティブ(JODI:Joint Oil Data Initiative)」の実施を歓迎し、タイムリーな石油関連データを市場に供給し続ける。
- エネルギー効率、代替エネルギー及び輸送部門を含む五カ国のビジネス部門における広範かつ詳細な協力を慫慂すること。その意味で、我々はクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)が進展し、これを通じてエネルギー集約部門におけるベスト・プラクティス及びクリーンなエネルギー技術の普及における官民協力が促進されていることを歓迎する。
- 我々は、国際社会に対して、以下の措置を通じて、世界のエネルギー安全保障を強化することを呼びかける。
- エネルギー・サプライ・チェーン全体、特に石油及びガスの探鉱・開発における投資を促進するような、透明で効果的な法的・規制的枠組みを含む開放的、透明、効率的で競争的なエネルギー市場
- エネルギー需給とエネルギー源の多様化
- 環境にとって持続可能なエネルギー技術の開発・導入、及び、省エネとエネルギー効率の推進
- 戦略石油備蓄を通じたエネルギー緊急時における協調的対応
- 重要なエネルギー施設及び石油とガスの海上輸送路の保全
- 市場に提供されるエネルギー・データの質と迅速性の改善