
ボコバ・ユネスコ事務局長の訪日
(概要と評価)
平成24年2月17日
1.概要
- (1)ボコバ・ユネスコ事務局長は,2月12日~17日,平泉の世界遺産認定書授与式及び日本における世界遺産条約採択40周年記念の開幕式典(2月13日)への出席のため,外務省の招へいで訪日した。
- (2)本邦滞在中,東日本大震災の被災地である東北地方を訪問し,上記世界遺産条約関連行事に出席するとともに,被災した小学校の視察,東北大学における講演,仙台ユネスコ協会訪問等を行った。
- (3)玄葉外務大臣,平野文部科学大臣,奥田国土交通副大臣との会談を行った。また,日本ユネスコ国内委員会総会及び文化遺産国際協力コンソーシアムにおいてそれぞれ世界遺産に関する講演を行ったほか,ユネスコ・国連大学共催の津波に関する国際シンポジウムに出席した。さらに,日本ユネスコ協会連盟主催東日本大震災チャリティー・レセプション等にも出席した。
2.評価
- (1)ボコバ事務局長自らが,昨年世界遺産登録された平泉(仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群)の認定書を岩手県知事及び平泉町長に対し授与し,登録された遺跡群の視察を行うことで,被災地へのユネスコの支援と連帯を表明し,被災地を勇気づけることができた。また,ボコバ事務局長に対して,震災からの復興を印象づけるとともに,我が国の有形・無形遺産への理解を促進することができた。
- (2)ボコバ事務局長が世界遺産条約採択40周年記念の日本における開幕式典に参加し,開幕を宣言することを通じ,ユネスコ全体の40周年記念を締めくくる最終会合の京都開催(本年11月)に加えて,昨年11月以来世界遺産委員会委員国となった我が国の世界遺産条約への積極的な取組を印象づけることができた。
- (3)玄葉外務大臣をはじめ我が国政府関係者との会談を通じて,我が国とユネスコとの協力関係を一層強化していくことを確認することができた。特に,1)上記40周年記念最終会合に向けてユネスコと日本が緊密に協力していくこと,2)津波災害等の課題解決に係る科学分野での研究や取組の重要性及び継続的な協力,を確認できた。さらに,ボコバ事務局長から,日本のユネスコへの支援に対する謝意表明及び継続的な支援要請があり,日本としても協力関係を深めつつ可能な限り最大限の支援を継続していくことを表明した。
- (4)また,ボコバ事務局長が,民間ユネスコ運動発祥の地である仙台を訪問し,市民と交流し,日本ユネスコ協会連盟の行事に出席したことによって,市民レベルから出発した日本・ユネスコの歴史ある関係を改めて確認し,その関係を深めることができた。さらに,ユネスコが千玄室裏千家前家元をユネスコ親善大使に任命する決定をしたことに対し,玄葉大臣が謝意を表明した。これら民間を含めた多様な活動を通じて,今後日本・ユネスコ関係が一層緊密化することが期待される。