
化学兵器禁止機関(OPCW)第17回締約国会議(概要と評価)
平成24年12月
2012年11月26日~29日,化学兵器禁止条約(CWC)第17回締約国会議がオランダ・ハーグにおいて開催され,我が国を含む締約国132か国が参加しました。また,未締結国であるイスラエル,ミャンマー(以上署名済み)及びアンゴラ(未署名)がオブザーバーとして出席しました。我が国からは,長嶺安政駐オランダ大使を代表団長とし,宮原賢治外務省生物・化学兵器禁止条約室長等が出席しました。
1 概要
- (1)ウズムジュ化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長は,ステートメントにおいて,全世界の申告済ストックパイル(保有)化学兵器(CW)の78%の廃棄が完了した旨述べるとともに,条約の普遍化の重要性,各締約国による条約の国内実施強化の重要性等につき述べました。また,化学兵器の廃棄の進展に伴い,将来におけるOPCWの任務を検討していく必要性に言及し,2013年4月の第3回CWC運用検討会議(於:ハーグ)はその重要な機会である旨述べました。
- (2)長嶺駐オランダ大使は,一般演説において,条約の普遍化,国内実施強化,国際協力等の重要性を指摘するとともに,変化を続ける国際安全保障環境に適合し続けるため,CWCとOPCWの将来を考えるべき時期にあり,第3回運用検討会議はその好機である旨述べ,引き続き我が国としてOPCWの関連活動に積極的に参画していくことを表明しました。また,我が国がCWCに基づき実施している中国遺棄化学兵器の廃棄について,その成果を説明し,今後とも条約及び関連決定に基づき誠実に廃棄を実施していく旨を述べました。
- (3)ストックパイルCWについて,2011年の第16回締約国会議で採択された決議に基づいて保有国による廃棄の進展状況に関するブリーフィングが実施されました。
- (4)執行理事会理事国(2013年5月12日から2年間の任期)の選出が行われ,アジア地域からは我が国,中国,インド,韓国及びサウジアラビアが選出(再選)されました。
- (5)総額約6,980万ユーロ(対前年比-1.07%)の2013年予算が採択されました。
2 評価
- (1)今次会議は,CWに関する条約上の廃棄期限(2012年4月29日)の経過後初めて開催された締約国会議でした。同会議では,保有国が,今後ともCWC及び2011年の第16回締約国会議で採択された決定に基づきCWの廃棄を継続していくべき旨が想起されました。このことは,廃棄期限後においても上記決定に基づきCWの全廃に向けた作業が行われていくことにより,CWCの実効性及び信頼性が確保されていることを示すものです。
- (2)前年に引き続き,2013年OPCW予算が効率的なものとなったことは評価できます。
- (3)我が国は,今後もCWCの主要締約国(日本は米国に次ぎ第二位の分担金拠出国)として,引き続きOPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。
3 今後の予定
2013年においては,4回のOPCW執行理事会(2月19~22日,5月6~8日,7月16~19日,10月8~11日),第3回CWC運用検討会議(4月8~19日)及び第18回CWC締約国会議(12月2~6日)が開催される予定です。