軍縮・不拡散

2010年生物兵器禁止条約(BWC)専門家会合(概要と評価)

1.概要

  1. (1) 8月23日から27日,生物兵器禁止条約(BWC)専門家会合がジュネーブ(スイス)において開催され,我が国を含む締約国89か国が参加しました。また,署名国3か国(ブルンディ,コートジボワール,シリア),未署名国2か国(アンゴラ,イスラエル),国連(国連軍縮部(ODA),国連軍縮研究所(UNIDIR),国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI)を含む),欧州連合(EU),国際連合食糧農業機関(FAO),国際赤十字委員会(ICRC),国際刑事警察機構(INITERPOL),経済協力開発機構(OECD),化学兵器禁止機関(OPCW),国際保健機関(WHO),国際獣疫機関(OIE)がオブザーバーとして参加しました。
  2. (2) 今次会合では「生物・毒素兵器の使用疑惑に際した,締約国による要請に基づく,疾病サーベイランス・検知・診断及び公衆保健システムの国内能力向上を含む支援の提供と関係機関との調整」について締約国専門家,国際機関及び関連団体によるプレゼンテーションが行われたほか,研究成果等をポスターの形で貼り出して発表するポスター・セッションも開催されました。また,2011年に開催されるBWC第7回運用検討会議に向け,条約実施強化のための信頼醸成措置(CBM)等に関する種々のサイドイベントも行われました。
  3. (3) 我が国からは中山泰則軍縮代表部公使(臨時代理大使)を団長とし,専門家として谷口清州国立感染症研究所感染症情報センター第一室長及び浦島充佳東京慈恵医科大学准教授が参加しました。谷口室長は,バイオテロに際しての探知・診断における国立感染症研究所の取り組みについて,浦島准教授はNBCテロに際しての被害状況を分析・予測する危機管理ソフトについてのプレゼンテーションを行いました。また,浦島准教授と同大院生がポスター・セッションに参加し,バイオセキュリティに関する机上演習の成果を発表しました。更に,我が国は,バイオ脅威に対する準備状況をまとめた作業文書を提出したほか,CBMに関するワークショップではプレゼンテーションを実施するとともに,モデレーターも務め貢献しました。

  • 谷口室長

  • 浦島准教授

2.評価

  1. (1) 今次会合で,各国より政府関係者に加えて多数の専門家が参加し,バイオテロに際した支援と連携につき,活発かつ率直な議論が行われたことは,条約の実施強化に向けた各国の積極的な姿勢を示すものであり,12月の締約国会合において更に議論が深まることが期待されます。
  2. (2) 我が国は専門家によるプレゼンテーション実施やポスターセッション参加,作業文書提出により,バイオ脅威に対する支援と連携に関し各国が取り組むべき課題についての検討材料を提供することができました。また,CBMワークショップにおいては条約実施強化のためのCBM提出に関する我が国事例を紹介し,CBM提出率向上のための具体的貢献を行うことができました。

3.今後の予定

 今次会合の議論を踏まえ,12月(6日から10日)に締約国会合が開催される予定です。また,2011年12月には5年に一度条約の実施状況を検討する運用検討会議が開催される予定です。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る