軍縮・不拡散

BWC東京セミナー(概要と評価)

平成18年2月15日

1.概要

(1)BWC(生物兵器禁止条約)東京セミナーは、外務省及び日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センターの共催で、2月14日(火曜日)~15日(水曜日)、東京(外務省)で開催された。本セミナーは、11月に開催予定の第6回BWC運用検討会議に向けて、我が国の実質的貢献として関係者間の議論の場を提供するもので、1日半に亘り活発な議論が行われた。

(2)セミナーには、カーン第6回BWC運用検討会議議長(パキスタン軍縮代表部大使)の他、計26ヶ国の政府及び機関関係者、国内外専門家等、約70名が参加した(主な参加者リスト)。我が国からは、金田勝年外務副大臣が冒頭挨拶を行い、美根慶樹軍縮代表部大使、須藤隆也軍縮・不拡散促進センター所長が各セッションにおいて議長を務めた。また、中根猛軍縮不拡散・科学部長他が会議に参加した。(セミナーは金田副大臣による冒頭挨拶以外は非公開)

(3)セミナーの議題は、セッションA「BWCの現状」、セッションB「各条レビュー」及びセッションC「2006年及びその後の展望」で構成された。

参考:BWCは生物兵器を包括的に禁止する唯一の多国間の法的枠組みであるが、条約の遵守の検証手段に関する規定を欠くことから、条約の強化が課題とされている。これまで、条約の運用状況等を見直し、締約国が取るべき措置を議論し、決定するための運用検討会議が5年に一度開催されており、本年11月に、第6回BWC運用検討会議が開催される予定。)

2.評価

(1)セミナー冒頭、我が国は、金田副大臣より、現実の脅威として認識されるにいたった生物テロの脅威を今日の安全保障上の主要課題と位置づけ、また生物兵器を包括的に禁止する唯一の国際的枠組みであるBWCの強化の重要性を訴えた。また、第6回運用検討会議では最終宣言の発出を目指すべきであり、このために我が国は積極的に取り組んでいく旨を表明し、関係者の理解を得た。

(2)カーン議長をはじめとするBWC主要締約国政府関係者及び内外有識者等、次回運用検討会議を実質的にリードする立場にある者の間で、活発な意見交換が行われた。また、第6回BWC運用検討会議で実際に行われる作業(条文ごとに過去の運用状況及び今後取るべき措置等に関する締約国の共通理解を示す最終文書の取りまとめ作業)を想定した議題を本セミナーでは設定していたことから、特に主要な条文の運用状況の見直し(各条レビュー)及び今後の具体的なBWCの強化措置に関する提案につき、議論が集中した。なお我が国からは、「BWCの今後の強化に向けた考え方」の一案を提示した。

主な論点は以下の通り:

-BWC強化に関するこれまでの取組みの評価

-BWC強化のための今後の措置

-第7回BWC運用検討会議(2011年)までの取組み

(3)また、11月の運用検討会議までに各国が行うべき準備作業についても関係者の認識が共有され、具体的な道筋が明らかになったことから、今回のセミナーは、次回運用検討会議の成功に向けた関係者の本格的な準備作業の端緒を開く形となった。

(4)以上より、今回のセミナーでの議論が最終文書の取りまとめに向けたカーン議長の努力を後押し、第6回運用検討会議の成功、ひいては今後のBWCの実質的な強化につながっていくことが期待される。

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