外交青書・白書
第2章 地域別に見た外交

6 西部アフリカ地域

(1)ガーナ

1月、第2期マハマ政権が発足し、同月7日に総理特使として田中良生衆議院議員がマハマ大統領就任式に出席した。同政権は経済・財政状況の立て直しを最優先課題としている。7月、農業、製造業の生産性を高め、バリューチェーン全体の改善を図り、輸出主導型経済の確立を目指す「24時間経済及び輸出促進開発プログラム」を発表し、推進している。

8月のTICAD 9にはマハマ大統領が出席し、石破総理大臣と会談した。また、大統領に同行したアブラクワ外相が岩屋外務大臣と会談した。9月には、大阪・関西万博に際しオファス=アジャレ貿易・産業・アグリビジネス相が訪日した。

日本は、野口記念医学研究所を通じた感染症対策を含む幅広い分野で同国を引き続き後押ししている。

日・ガーナ首脳会談(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
日・ガーナ首脳会談
(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)

(2)カーボベルデ

カーボベルデは民主主義が定着しており、高い政治的安定を誇っている。

2月、アディスアベバ(エチオピア)で開催されたAU総会の機会に、ヴィエイラ外務・協力閣外相が英利外務大臣政務官と会談した。また、8月のTICAD 9にはコレイア・エ・シルヴァ首相が出席し、石破総理大臣と会談した。10月には、大阪・関西万博に際し、サントシュ海洋相が訪日した。

(3)ガンビア

ガンビアは、法の支配の強化や債務状況の改善に取り組んでいる。主要産業である農業は脆(ぜい)弱であり、日本は農業や官民連携を通じた支援を行っている。

8月には大阪・関西万博に際しジェフ通商相が訪日したほか、TICAD 9にはジャロウ副大統領が出席し、石破総理大臣を表敬した。

(4)ギニア

2021年9月に発足した暫定政府により、民政移管プロセスが進行中である。

1月、ナベ計画・国際協力相が訪日し、藤井外務副大臣と会談を行った。6月、大阪・関西万博に際しバー暫定政府首相が訪日し、林官房長官と会談を行った。6月には食糧援助、7月には消防関連機材の供与に係る無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。8月、TICAD 9の機会に訪日したナベ計画・国際協力相が岩屋外務大臣と会談を行った。9月、国民投票により可決された新憲法が公布され、12月の大統領選挙では、2021年9月より実権を握っていたドゥンブヤ暫定大統領が選出された。

(5)ギニアビサウ

5月、大阪・関西万博に際しエンバロ大統領が訪日し、石破総理大臣と会談した。また、8月のTICAD 9にはサンブ経済・計画・地域統合担当相が出席し、岩屋外務大臣と会談を行った。11月に大統領選挙が実施されたが、その暫定結果発表予定日の前日に同選挙に立候補したエンバロ大統領らが軍に拘束され、陸軍参謀総長が暫定大統領に就任するクーデターが発生した。

(6)コートジボワール

安定的な高い経済成長率を達成する同国との間では、経済関係の強化が進展した。1月には、日・コートジボワール官民インフラ会議がアビジャンで開催され、同会議には両国の民間企業も参加した。

6月、大阪・関西万博のコートジボワール・ナショナルデーにディアラスバ商業・産業相が参加した。8月、TICAD 9には、マンべ首相、カバ経済・計画・開発相、アドム外務・アフリカ統合・在外自国民相、クリバリ通信相兼政府報道官及びコナテ・デジタル移行・デジタル化相が参加した。また、同機会を捉え、マンべ首相が石破総理大臣と、アドム外相が岩屋外務大臣とそれぞれ会談を行った。10月には大統領選挙が実施され、ウワタラ大統領が通算4期目の再選を果たした。

日・コートジボワール首脳会談(8月22日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
日・コートジボワール首脳会談
(8月22日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)

(7)シエラレオネ

2023年に再選されたビオ大統領は、「2024年-2030年国家開発計画」の下、地方分権、地域開発、食料の輸入依存からの脱却、インフラの改善等に取り組んでいる。

6月、シエラレオネは西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の議長国に就任した。9月、日本は同国との間で食糧援助に係る無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。8月のTICAD 9にはセンゲ首席相が出席し、岩屋外務大臣と会談した。

(8)セネガル

3月、ジョップ国防相が訪日し、松本尚(ひさし)外務大臣政務官と会談を行った。

4月、岩屋外務大臣は、セネガルを訪問し、ファイ大統領及びソンコ首相を表敬するとともに、ファル・アフリカ統合・外相と会談を実施した。また、同機会に、岩屋外務大臣は、日本の支援で1984年に設立したセネガル日本職業訓練センターを視察するとともに、現地の日本企業関係者と意見交換を行った。

8月のTICAD 9には、ファイ大統領、ファル・アフリカ統合・外相、ジョップ産業・通商相及びサール経済・計画・協力相が参加した。同機会に、ファイ大統領は、石破総理大臣と会談を行った。また、ファイ大統領一行は、大阪・関西万博のセネガル・ナショナルデーに参加した。

10月、日本は同国との間で、セネガル職業訓練センターの分校建設及び農業機材供与に係る2件の無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。

日・セネガル首脳会談(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
日・セネガル首脳会談
(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)

(9)トーゴ

前年5月の憲法改正に伴い、5月、閣僚評議会議長の指名及び上下両院合同会議からの大統領の選出が行われた。この結果、ニャシンベ前大統領が初代閣僚評議会議長に、サビ=ド=ドベ氏が大統領にそれぞれ就任した。

8月のTICAD 9には、ニャシンベ閣僚評議会議長、ドュセ外務・地域統合・在外国民相が参加した。同機会に、ニャシンベ閣僚評議会議長は、石破総理大臣と首脳会談を行った。

また、8月、大阪・関西万博でトーゴ・ナショナルデーが開催され、サンビアニ商業・手工業・地方消費相が参加した。10月、日本は同国との間で、治安対策用警察車両等を供与する無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。

(10)ナイジェリア

2023年5月に就任したティヌブ大統領は、国内の経済発展を優先政策として掲げ、積極的に経済・財政改革の施策を推し進めている。

3月、アフリカ最大規模のダンゴテ精油所内でポリプロピレン生産が開始、また、5月末には米国の民間格付け会社ムーディーズがナイジェリアの格付けを上げるなど、外貨不足解消、現地通貨の価値の安定化の方向に進んでおり、ナイジェリア経済は回復基調にある。

8月のTICAD 9にはティヌブ大統領が出席し、同行したトゥガー外相が岩屋外務大臣と会談した。同会談で、両国は、経済分野やグローバルな課題に向け協力を深めていくことで一致した。

さらに、両国はナイジェリアに対するオファー型協力「スタートアップ支援による社会課題の解決と経済強靱(じん)化」を立ち上げることで一致し、日本はナイジェリアの産業発展のための取組を推進している。

(11)ニジェール

2023年7月の軍事的政権奪取以降、民政移管に向けた取組が注視されてきた同国は、3月、国家の再建を目指し、司法の独立の強化や新憲法の採択などを目的とする再建憲章を公布した。

日本は、ニジェールにおける憲法秩序の早期回復に向けた取組を求める一方、人道状況改善のため、国際機関を通じた支援などを継続している。

(12)ブルキナファソ

2022年1月及び同年9月に発生した軍事的政権奪取の後、暫定政府が発足し、民政移管に向けて取り組んでいる。地方でテロや襲撃が頻発するなど、治安の悪化が深刻であり、多数の国内避難民が発生している。

日本は、国内避難民の急増等による食料危機への対策に貢献するため、8月に無償資金協力「食糧援助」に関する書簡の署名・交換を行った。

(13)ベナン

サヘル地域のテロ組織の南下によりベナン北部の治安対策の強化が喫緊の課題になっている。また、12月には、軍の一部によるクーデター未遂が発生した。

日本は、インフラ整備、産業振興及び国民の生活環境改善を通じて、二国間関係を深化させている。また、ベナンの投資環境改善等のため、約30年ぶりとなる円借款を供与する方針を決定した。

6月、宮路外務副大臣は同国を訪問し、チャビ・タラタ副大統領、アジャディ・バカリ外相及びワダニ経済・財務相を表敬した。また、元国費留学生及び元JICA研修生、並びに在留邦人ともそれぞれ意見交換した。8月のTICAD 9にはチャビ・タラタ副大統領が出席し、同機会に石破総理大臣との会談を行った。また、大阪・関西万博のベナン・ナショナルデーにはアビンボラ観光・文化・芸術相が参加した。

(14)マリ

2020年8月及び2021年5月に発生した軍事的政権奪取を経て、暫定政府が発足し、民政移管に向けて取り組んでいる。国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)(9)の撤退後も、北部及び東部を中心に、テロや襲撃、衝突などが頻発しており、治安及び人道状況が深刻化している。

日本は、マリの平和と安定及び持続的成長を後押しするため、教育、食料安全保障のほか、治安や保健などの分野において協力を実施している。

(15)リベリア

リベリアは、法の支配の確立のため内戦時の戦争犯罪や汚職の解決のため法廷設置に着手している。また、1月には開発の優先課題であるインフラや保健等を柱とした5か年計画を策定した。

8月のTICAD 9にはボアカイ大統領が出席し、石破総理大臣と会談した。両首脳は開発協力や経済関係強化について議論した。また、同月、大阪・関西万博にはニャンティ外相が参加した。

(16)モーリタニア

政治・治安情勢が不安定化するサヘル地域に位置するも、2011年を最後にテロが発生しておらず、安定した政権運営を続けている。水産物、鉄鉱石や金、天然ガスなどの資源が豊富であり、2025年から大規模ガス田から採掘する天然ガスの液化、輸出が開始された。

4月、ブー経済・財務相が訪日し、松本外務大臣政務官と会談を行った。5月に、同国のタハ元財務相がアフリカ開発銀行(AfDB)総裁選で新総裁に選出された。また、8月、ガズワニ大統領がTICAD 9出席のため訪日し、石破総理大臣と会談を行った。

コラム日・カーボベルデ外交関係樹立50周年を迎えて
■大西洋に浮かぶ島国、カーボベルデ

カーボベルデは大西洋上に浮かぶ10の島々で構成される小島嶼(しょ)国です。首都プライアがあるサンティアゴ島、美しいビーチがありヨーロッパから観光客が多く訪れるサル島、漁業と文化の拠点でありカーボベルデを代表する歌手セザリア・エヴォラの出身地であるサン・ヴィンセント島、頻繁に噴火する火山があるフォゴ島など、個性豊かな島々が存在します。

面積は約4,033平方キロメートルで滋賀県とほぼ同じ、人口も50万人と小さな国ですが、その内実は多様です。民族は、ヨーロッパ(ポルトガル)系とアフリカ系の混血が約70%を占め、そのほかはアフリカ系住民で構成されています。公用語はポルトガル語で、宗教はキリスト教が80%を占めます。

近年は観光地として栄え、2023年には年間の訪問者数が100万人を超え、過去最多となりました。

■日本とカーボベルデの関係

1975年7月にポルトガルから独立して以来、日本とカーボベルデは良好な二国間関係を築いてきました。2025年にカーボベルデの独立50周年と、日・カーボベルデ外交関係樹立50周年という二つの節目を迎えました。

この記念すべき年に、両国の交流を一層深める事業が実施されました。3月には、カーボベルデを兼轄する在セネガル日本国大使館とカーボベルデ政府の共催で、日本文化紹介イベントが開催され、八丈島と青ヶ島から招かれた還住(かんじゅう)太鼓奏者の演奏とカーボベルデの伝統的な太鼓奏者による共演が披露されるなど、両国間の相互理解と文化交流が促進されました。8月には、横浜で開催されたTICAD 9にコレイア・エ・シルヴァ首相が訪日し、石破総理大臣と会談を行い、二国間関係の更なる深化に向けて、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。また、10月には、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)ナショナルデーへの出席のため、サントシュ海洋相が訪日しました。

カーボベルデで実施された日本文化紹介イベント(3月、カーボベルデ・ミンデロ)
カーボベルデで実施された日本文化紹介イベント(3月、カーボベルデ・ミンデロ)
TICAD 9の機会に実施された日・カーボベルデ首脳会談(8月21日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
TICAD 9の機会に実施された日・カーボベルデ首脳会談(8月21日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)

日本はカーボベルデに対して、無償資金協力による食糧援助や水産分野等の支援、有償資金協力による給水や電力分野の支援に加え、様々な分野での技術協力を実施してきました。最近では12月に、食糧援助のための1.5億円の無償資金協力の実施を決定しました。また、日本企業がカーボベルデ上下水道公社と契約し、サンティアゴ島における海水淡水化プラント及び送水網の建設工事も進めています。こうした取組により、民間レベルでも日・カーボベルデの関係構築が進んでいます。

カーボベルデは日本から飛行機で30時間もかかる遠い国ですが、第二の都市であるミンデロは独立前から50年以上にわたって日本のマグロ漁船の寄港地となっています。大西洋上で操業するマグロ漁船が年間約40艘(そう)寄港し、日本に向かう船舶に冷凍マグロを積み替えて運搬しています。このように、カーボベルデは日本の食卓も陰で支えてくれています。

日本と同様に海に囲まれた海洋国家であり、民主主義等の普遍的価値も共有するカーボベルデとの関係を、今後も一層強化していきます。

(9) MINUSMA:United Nations Multidimensional Integrated Stabilization Mission in Mali

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