3 地域機関などとの協力
(1)北大西洋条約機構(NATO)との協力
NATOは、北大西洋条約に基づき、加盟国の集団防衛を含め、加盟国の自由及び安全保障を政治面・軍事面での保障を目的とする組織であり、加盟国の「抑止と防衛」のほか、治安維持活動やテロ対策など、加盟国の安全保障上の直接の脅威となり得る域外の「危機予防・管理」、パートナー国・機関との協力による「協調的安全保障」に取り組んでいる。ロシアによるウクライナ侵略を受け、NATOは、ウクライナ支援や欧州の防衛に注力している。2025年6月のNATO首脳会合では、NATO加盟国は2035年までに、中核的国防支出は少なくとも対GDP比3.5%、国防・安保関連支出は上限対GDP比1.5%の合わせて対GDP比5.0%とする目標に合意した。
2022年に採択されたNATOの「戦略概念」では、インド太平洋パートナー(IP4:日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国)との対話・協力の強化の指針が示され、日・NATO間の協力の重要性が高まっている。こうした状況を背景に、日・NATO関係を更に強化・発展させるため、2025年1月、NATO日本政府代表部が在ベルギー日本国大使館から独立し、実館として開設された。
IP4は、2022年に初めてNATO首脳会合及びNATO外相会合に招待され、2025年4月のNATO外相会合には岩屋外務大臣が出席し、日本の外務大臣の出席は4年連続となった。同月、ルッテNATO事務総長が就任後初めてのインド太平洋地域への訪問先として日本を訪れ、石破総理大臣と会談するとともに、共同声明を発出し、日本とNATOのパートナーシップが欧州・大西洋及びインド太平洋地域の双方にとって戦略的に重要であることを確認した。また、6月のNATO首脳会合においては、岩屋外務大臣がルッテNATO事務総長と会談し、日・NATO間の防衛装備・産業対話の立ち上げを含め、様々な分野で日・NATO協力を更なる高みに押し上げるため連携していくことで一致した。併せて行われたルッテ事務総長とIP4の会合では、NATOのインド太平洋への関与拡大及びNATOとIP4との具体的協力の重要性が確認された。9月、ドラゴーネNATO軍事委員長が訪日し、中谷元防衛大臣及び藤井外務副大臣と会談した。10月に石破総理大臣が、12月に高市総理大臣がそれぞれとルッテ事務総長との電話会談を実施し、日・NATO及びNATO・IP4間の協力関係の重要性及び地域を越えた安全保障課題に引き続き連携して取り組んでいくことを確認した。

(4月9日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ)
(2)欧州安全保障協力機構(OSCE)(13)との協力
OSCEは、欧州、中央アジア・コーカサス、北米地域の57か国が参加する世界最大の地域安全保障機構であり、冷戦期に設立された欧州安全保障協力会議(CSCE)を前身に持つ。政治・軍事のみならず経済・環境、人権・人道の観点を含めた包括的アプローチにより紛争予防、危機管理、紛争後の復興・再建などを行い、幅広い安全保障課題の政治的対話を行う場の提供を通じて参加国間の相違を橋渡しし、信頼醸成を図っている。2025年は「ヘルシンキ最終文書」(14)採択50周年となる節目の年であり、様々な機会において、同文書が掲げる主権平等、領土保全、紛争の平和的解決等の主要原則及びOSCEの役割の重要性が改めて確認された。
日本は1992年以降、最初のパートナー国としてOSCEと協力しており、アフガニスタン及び中央アジア諸国の国境管理強化によるテロ防止や税関職員の能力強化、ウクライナ及びその周辺国での紛争における人身売買防止の能力強化や女性のリーダーシップ能力強化などへの支援を行っている。また、2022年のロシアによるウクライナ侵略以前から、OSCEはウクライナの状況改善のため重要な役割を果たしており、日本はOSCE特別監視団(SMM)に財政支援及び専門家の派遣を行ってきた(専門家は2015年8月から断続的に派遣、2022年2月に派遣終了)。
日本はOSCEの外相理事会に毎年出席してきており、2025年12月にウィーンで開催された同理事会には島田智明外務大臣政務官が参加した。同理事会において島田外務大臣政務官は、包括的なアプローチで課題に取り組むOSCEとの間で、一層の連携を強化していくと述べた。また、島田外務大臣政務官は、アジア・パートナー5か国及び参加国48か国を代表し、OSCEとアジア・パートナーとの関係強化に関する合同ステートメントを発出した。

(12月4日及び5日、オーストリア・ウィーン 写真提供:OSCE/Ministry of Foreign Affairs of Finland)
(3)欧州評議会(CoE)(15)との協力
CoEは、民主主義、人権、法の支配の分野での国際基準の策定に重要な役割を果たす、欧州46か国が加盟する国際機関である。日本は、1996年以来アジア唯一のオブザーバー国として専門的知見の提供及び会合開催協力により貢献しており、ロシアによるウクライナ侵略により生じた損害を登録する機関(損害登録機関)に準加盟国として参加しているほか、11月には「世界民主主義フォーラム」で政策発信を行った。また、日本は、2月にはAIを主題とする初めての国際約束である「人工知能と人権、民主主義及び法の支配に関する欧州評議会枠組条約」に署名した。
(4)アジア欧州会合(ASEM)(16)における協力
ASEMは、アジアと欧州との対話と協力を深める唯一のフォーラムとして、1996年に設立され、51か国・2機関を参加メンバーとして首脳会合と外相会合を始めとする各種閣僚会合及び各種セミナーの開催などを通じて、(ア)政治、(イ)経済及び(ウ)社会・文化その他を活動の3本柱としている。
ASEMにおける唯一の常設機関であるアジア欧州財団(ASEF)(17)はシンガポールにあり、柱の一つである社会・文化分野の活動を担っている。
日本はASEFの感染症対策のための医療用個人防護具(PPE)及び抗ウイルス剤などの備蓄事業を支援し、ASEM参加国への備蓄物資の緊急輸送や、緊急対応能力の構築のためのワークショップ及び公衆衛生ネットワーク事業の実施に協力している。この一環で、11月にはシンガポールで「気候変動と公衆衛生セミナー」を、12月にはベルリンで「公衆衛生の緊急時のためのリスク・コミュニケーションに関するハイレベル会合」を開催した。また、日本は、日本の拠出金によるASEFの「新型コロナ等感染症の拡大防止のための支援事業」の一環として、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)によるアジア諸国(バングラデシュ、インドネシア、マレーシア、パキスタン、フィリピン)における備蓄事業、世界保健機関(WHO)によるウクライナ及びウクライナ避難民を受け入れている周辺国(ASEM参加国のブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア及び非ASEM参加国モルドバ)におけるウクライナ避難民などの感染症対策を支援している。
さらに、2025年、日本政府は、9月にストチンスカASEF事務局長を日本に招へいしたほか、大阪・関西万博のサイドラインで開催されたASEF主催第6回ヤングリーダーズ・サミットの後援、ASEFとの共催によるクラスルーム・ネットワーク事業の実施、及びASEFへの拠出金の支出などを通じて、ASEMの活動に貢献した。

【北欧諸国】
アイスランド:5月、大阪・関西万博アイスランド・ナショナルデーの機会にトーマスドッティル大統領が来日し、石破総理大臣と会談を行った。同会談では、2026年の日・アイスランド外交関係樹立70周年を機に、安全保障、北極、経済、科学技術、文化・人的交流など幅広い分野で具体的な協力を進め、両国関係を一層発展させていくことで一致した。
スウェーデン:4月、NATO外相会合出席のためベルギーを訪問した岩屋外務大臣は、ステーネルガード外相と外相会談を行った。10月、岩屋外務大臣は、訪日したステーネルガード外相と再度外相会談を行った。それぞれの会談において、両外相は、安全保障面での連携に加え、原子力、グリーン・トランスフォーメーション、デジタル、ライフサイエンス分野といった幅広い分野での協力を一層深化させていくことを確認した。
デンマーク:4月、訪日したラスムセン外相が林官房長官を表敬し、両者は、クリーン・エネルギー、量子科学技術を含む幅広い分野での協力を一層深化させていくことを確認した。また、9月、藤井外務副大臣が、訪日したステンベア・フェロー諸島副首相兼外相と会談し、日・フェロー諸島間の経済関係を始めとする幅広い意見交換を行い、更なる協力に向けて引き続き緊密に意思疎通していくことで一致した。
ノルウェー:2025年、日・ノルウェー関係は外交関係樹立120周年を迎えた。6月、岩屋外務大臣は、大阪・関西万博ノルウェー・ナショナルデーに参加するために訪日したアイデ外相と会談を行った。8月から9月にかけては、英国の空母打撃群(CSG25)の一員として、ノルウェー海軍フリゲート艦「ロアール・アムンセン」が、横須賀及び東京に寄港した。これはノルウェー海軍として初めての日本寄港となった。9月8日、議会総選挙が行われ、労働党を始めとする左派勢力が勝利し、10月以降もストーレ労働党党首を首班とする左派政権が継続した。
フィンランド:4月、NATO外相会合出席のためベルギーを訪問した岩屋外務大臣は、ヴァルトネン外相と外相会談を行い、安全保障や先端科学技術等の分野での協力を着実に積み重ねていくことで一致した。6月、石破総理大臣は大阪・関西万博フィンランド・ナショナルデーに参加するため訪日したストゥッブ大統領と会談を行い、「日本国とフィンランド共和国との間の将来における協力強化に関する共同声明」を発表した。石破総理大臣とストゥッブ大統領は、9月の国連総会の機会にも首脳会談を行った。
【ベネルクス諸国】
オランダ:2025年、日・オランダ交流425周年を迎えた。2月、ミュンヘン安全保障会議の機会に、岩屋外務大臣はフェルドカンプ外相と会談を行い、インド太平洋地域の安全保障の確保のための防衛協力を深化させることで一致した。4月、スホーフ首相が訪日し、石破総理大臣との首脳会談及び会談を実施し、「持続的な平和と繁栄のための戦略的パートナーシップの設立に関する共同声明に基づく、日・オランダ・アクション・プラン2025」を公表した。5月、ウィレム・アレキサンダー国王が大阪・関西万博オランダ・ナショナルデー公式行事への参加のため訪日した。6月、与党第一党の「自由党(PVV)」が連立離脱を表明し、スホーフ首相は内閣崩壊を宣言し、新政権が発足するまでスホーフ暫定内閣として政権運営することとなった。同月、岩屋外務大臣はNATO首脳会合関連行事等の機会にスホーフ首相との会談を実施し、両者は、物品役務相互提供協定(ACSA)の交渉を開始することで一致した。8月、与党「新しい社会契約(NSC)」が連立離脱を表明し、フェルドカンプ外相含む同党の閣僚が辞任した。その後、9月に、ファン・ヴェール外相兼難民・移民相が新たに就任した。同月、石破総理大臣は国連総会の機会にスホーフ首相と日・オランダ首脳会談を実施した。また、同月、外務省は日・オランダ平和交流事業を実施し、第二次世界大戦時に日本軍に抑留された民間オランダ人6人を日本に招へいした。10月、下院議員選挙が実施され、「民主66(D66)」が第一党となった。今後、連立交渉が行われ、連立合意に基づき、新しい内閣が発足する予定である。12月、オランダ・ハーグにおいて、日・オランダ物品役務相互提供協定(日蘭ACSA)の署名が行われた。
ベルギー:4月、NATO外相会合の機会に、岩屋外務大臣とプレヴォ副首相兼外務・欧州問題・開発協力相との間で会談を行った。また、6月には、アストリッド王女と夫君であるロレンツ王子が訪日し、大阪・関西万博を訪問した。9月には、クラランヴァル副首相兼雇用・経済・農業相、プレヴォ副首相兼外務・欧州問題・開発協力相及びマッツ行政現代化・公営企業・行政・建築・デジタル化・科学施設担当相が訪日し、大阪・関西万博を訪問したほか、林官房長官表敬を行った。また、岩屋外務大臣は、プレヴォ副首相兼外務・欧州問題・開発協力相と会談を行った。
ルクセンブルク:4月、ベッテル副首相兼外務・対外通商相兼開発協力・人道問題担当相が訪日し、大阪・関西万博の開会式に出席したほか、林官房長官への表敬、岩屋外務大臣との外相会談を実施した。同月、フリーデン首相が訪日し、石破総理大臣との首脳会談を実施したほか、大阪・関西万博を訪問した。同月、エッチェン国民議会副議長一行が訪日し、藤井外務副大臣への表敬を行い、大阪・関西万博を訪問した。5月から6月にかけて、アンリ大公、ベッテル副首相兼外務・対外通商相兼開発協力・人道問題担当相及びバッケス防衛相兼交通・公共事業相兼ジェンダー平等・多様性相が訪日し、大阪・関西万博を訪問したほか、石破総理大臣は、アンリ大公と会談を行った。10月3日、アンリ大公からギヨーム皇太子への譲位が行われ、ギヨーム大公が即位した。
【バルト3国】
エストニア:3月、社会民主党との連立を解消し、改革党及びエストニア200党から成る第2期ミッハル政権が発足した。4月、NATO外相会合に出席するためベルギーを訪問中の岩屋外務大臣が、ツァフクナ外相と会談を行った。
ラトビア:5月、訪日したリンケービッチ大統領と石破総理大臣との間で会談が行われ、両首脳は、二国関係を戦略的パートナーシップとする共同声明を発出した。9月、訪日したブラジェ外相と岩屋外務大臣との間で会談が行われた。
リトアニア:6月、ナウセーダ大統領が訪日し、石破総理大臣と会談を行った。7月、パルツカス首相が辞任し、9月にルギニエネ首相が就任、社会民主党、ネムナスの夜明け及び農民・グリーン会派による連立政権が発足した。10月には、ウクライナ地雷対策会議2025出席のためブドリース外相が訪日し、茂木外務大臣と外相会談を実施した。
アイルランド:7月、石破総理大臣は、訪日したマーティン首相との間で首脳会談を実施し、2027年の外交関係樹立70周年に向けて、サイバー分野を含む安全保障、経済、農業、デジタル、文化・人的交流など幅広い分野で具体的な協力を進め、両国関係を一層発展させていくことで一致した。同月、アイルランド政府が東京に新たな拠点を建設し、大使館、貿易・観光推進機関、イベント会場が集約されている複合施設である「アイルランドハウス・東京」が正式に開館した。
サンマリノ:サンマリノの国家元首として、4月にブロンゼッティ執政とリーギ執政が就任し、5月3日の大阪・関西万博サンマリノ・ナショナルデーの際には、両執政が訪日した。
バチカン:4月21日にフランシスコ教皇が崩御し、同月26日にバチカン市国において執り行われた葬儀ミサには日本政府を代表して岩屋外務大臣が参列した。その後、コンクラーベ(教皇選挙)の結果、5月8日にレオ14世が第267代ローマ教皇に選出され、同月18日にバチカン市国で新教皇就任式が執り行われ、日本政府を代表して麻生太郎衆議院議員が特派大使として参列した。
6月29日の大阪・関西万博バチカン・ナショナルデーの際、パロリン国務長官(首相に相当)が訪日し、石破総理大臣との間で2022年以来となる日・バチカン首脳会談を実施した。
ポルトガル:3月、政府はモンテネグロ政権に対する信任動議を議会に否決され総辞職し、レベロ・デ・ソウザ大統領は議会を解散した。5月の共和国議会総選挙では、与党・社会民主党(PSD)率いる民主同盟(AD)が第一党を維持したものの、右派勢力が躍進した。6月、PSD党首のモンテネグロ氏が首相に再任され、第2期モンテネグロ政権が発足した。5月5日、ロドリゲス文化相が大阪・関西万博ポルトガル・ナショナルデーに出席した。9月、10年ぶりのポルトガル首相訪日として、モンテネグロ首相が訪日した。石破総理大臣との首脳会談では、二国間関係を一層発展させていくことで一致するとともに、両国関係を戦略的パートナーシップとする共同声明を発出した。また、同首相に同行したランジェル外相は岩屋外務大臣と会談を行い、二国間関係のみならず、地域情勢や国際社会の諸課題についても連携していくことを確認した。
マルタ:2025年、日・マルタ外交関係樹立60周年を迎えた。7月、ボージュ副首相兼外務・観光相は、大阪・関西万博マルタ・ナショナルデー公式行事のために訪日し、林官房長官を表敬するとともに、藤井外務副大臣と会談した。ボージュ副首相及び藤井外務副大臣は、日・マルタ間のワーキング・ホリデー制度導入に係る口上書の交換を歓迎した。同制度は2026年1月1日から開始された。
モナコ:6月、藤井外務副大臣は、アルベール二世公及び同公妃と共に大阪・関西万博モナコ・ナショナルデー行事に参加するため訪日していたベロ=アマデイ国務相代行兼対外関係・協力相と会談した。

【V4】
日本とV4各国(スロバキア、チェコ、ポーランド、ハンガリー)との二国間関係は長い歴史があり、伝統的に良好である。ウクライナの近隣国であり、同国を引き続き支援していく日本にとってV4との連携は重要である。2003年8月に「V4+日本」対話・協力を立ち上げて以降、同枠組みを通じて、幅広い分野で連携してきている。
スロバキア:9月に訪日したラシ国会議長は、関口昌一参議院議長及び額賀福志郎衆議院議長と会談した。同月の大阪・関西万博スロバキア・ナショナルデーの機会を捉えて訪日したペレグリニ大統領は石破総理大臣と会談した。
チェコ:2月、ヴィストゥルチル上院議長が参議院による招待で訪日し、関口参議院議長ら及び額賀衆議院議長と懇談を行ったほか、林官房長官と会談した。7月、パヴェル大統領が大阪・関西万博チェコ・ナショナルデー行事に出席するために訪日し、石破総理大臣との会談を実施した。また、10月、ウクライナ地雷対策会議に出席するためマリアン外務副相が訪日し、国光あやの外務副大臣と会談を行った。
ポーランド:※127ページ 2(7)参照
ハンガリー:5月の大阪・関西万博ハンガリー・ナショナルデーの機会を捉えて訪日したシュヨク大統領は、石破総理大臣と会談した。9月、岩屋外務大臣は、3年連続で来日したシーヤールトー外務貿易相と外相会談を実施した。

【西バルカン諸国】
西バルカン地域では、ボスニア・ヘルツェゴビナを構成する二つの主体(エンティティ)の一つであるスルプスカ共和国の分離主義的行動や、セルビア・コソボ間の関係正常化に向けた対話の停滞など、和平履行や民族間の対立についての懸念が依然として残っているものの、各国はEU加盟に向けた改革に取り組むなど、全体として、安定と発展に向けて進展した。このほか、2018年から日本が主導して取り組んでいる「西バルカン協力イニシアティブ」(18)の下、二国間協力としての西バルカン各国との二国間対話の促進、政府開発援助(ODA)による開発協力、日本企業進出支援や地域協力の促進・第三国との協力としての地域共通課題に対する知見共有や招へい事業を通じて、EU加盟を目指す西バルカン諸国の経済改革の支援、諸民族間の和解・協力を推進している。
北マケドニア:5月、ムツンスキ外務・貿易相が、大阪・関西万博に際し訪日し、藤井外務副大臣と会談した。
コソボ:6月、オスマニ大統領が大阪・関西万博に際し訪日し、石破総理大臣と会談した。
セルビア:8月、ジューリッチ外相が訪日し、岩屋外務大臣と会談した。また、9月、ブチッチ大統領が大阪・関西万博に際し訪日し、石破総理大臣と会談した。さらに同月、日・セルビア投資協定の実質合意に至ったのち、12月に同協定に署名した。
モンテネグロ:5月、スパイッチ首相は、大阪・関西万博に際し訪日し、石破総理大臣と会談した。
キプロス:8月、玄葉光一郎衆議院副議長がキプロスを訪問し、ディミトリウ国会議長及びラウナ欧州担当相と会談を行った。
ギリシャ:10月、ウクライナ地雷対策会議に際し、スカルコス国際経済担当外務次官が訪日し、同会議で登壇した。また、12月、デンディアス国防相が訪日し、小泉進次郎防衛大臣及び国光外務副大臣と会談した。
クロアチア:7月、グルリッチ=ラドマン外務・欧州相が、大阪・関西万博に際して訪日し、藤井外務副大臣と会談したほか、10月にはウクライナ地雷対策会議出席のため再度訪日し、茂木外務大臣と会談した。9月、プレンコビッチ首相が大阪・関西万博に際して訪日し、石破総理大臣と会談した。
スロベニア:6月、岩屋外務大臣は、訪日したファヨン副首相兼外務欧州相と会談を実施した。また、10月、ウクライナ地雷対策会議に際して訪日したガブリッチ外務欧州副相は、国光外務副大臣と会談を実施した。
ルーマニア:6月、額賀衆議院議長及び生稲晃子外務大臣政務官は、大阪・関西万博のルーマニア・ナショナルデー行事に参加するため訪日したアブルデアン上院議長とそれぞれ会談を実施した。
ブルガリア:4月、ドンチェフ副首相兼革新成長相が訪日し、大阪・関西万博の開会式に出席した。また、5月、石破総理大臣は、大阪・関西万博ブルガリア・ナショナルデー行事に参加するために訪日したラデフ大統領と会談を行い、両国関係を新たに「戦略的パートナーシップ」に格上げする「日・ブルガリア戦略的パートナーシップ構築に関する共同声明」に署名した。
オーストリア:2024年9月の国民議会選挙を受け、累次にわたる連立交渉を経て、2025年3月、国民党(中道右派)・社民党(中道左派)・NEOS(リベラル)による3党連立政権が発足した。二国間関係については、5月、ファン・デア・ベレン大統領が訪日し、石破総理大臣との会談を通じ、両国間の150年以上にわたる友好関係を再確認する機会となった。10月、兵庫県姫路市で「将来の課題のための日・オーストリア委員会」第27回会合が開催され、AIや次世代エネルギーが地方創生に果たす役割について、両国間の有識者が率直な情報・意見交換が行われた。12月、「日・オーストリア社会保障協定」が発効し、両国間の人的交流や経済交流が一層促進されることが期待される。
スイス:大阪・関西万博を通じて要人往来が活性化した。4月にはリニカー国民議会(下院)議長が、8月にはカローニ全州議会(上院)議長が訪日し、衆・参両院との議員間交流が促進された。さらに、大阪・関西万博スイス・ナショナルデーを迎えた4月には、カシス外相が訪日し、外相会談を通じて、科学技術分野を始めとする二国間関係の多角的な発展及びウクライナ情勢を含む国際場裡における連携を強化することで一致した。
モルドバ:9月、石破総理大臣は、大阪・関西万博におけるモルドバ・ナショナルデーに参加するために訪日したレチェアン首相と会談し、モルドバの民主主義が守られることはかつてなく重要であり、日本としてモルドバの発展をできる限り支援すると表明するとともに、両首脳間で、同国の選挙の民主的な実施が地域の安定にとって重要との認識で一致した。
教皇フランシスコは、3月、肺炎を患い入院していたローマ市内の病院を退院され、キリストの復活を祝う4月20日、復活祭(イースター)のミサで信者を祝福するため公に姿を見せましたが、翌21日朝、容態が急変し崩御しました。
バチカンは、世界一面積が小さな国として知られていますが、4月26日にサンピエトロ広場で開催された葬儀には、世界中から、トランプ米国大統領を始め、カトリック教国であるスペインのフェリペ6世国王、教皇の出身国であるアルゼンチンのミレイ大統領、イタリアのマッタレッラ大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領等の国家元首65人を含む160以上の代表団が参集しました。日本からは岩屋外務大臣が参列し、ルーラ・ブラジル大統領、タヤーニ・イタリア外務・国際協力相、グテーレス国連事務総長、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長ほかとの間で弔問外交が行われました。
5月7日から新教皇を選出するための教皇選挙(コンクラーベ)が、12年ぶりにシスティーナ礼拝堂で開催されました。翌8日、プレヴォスト枢機卿(きょう)(司教省長官)が米国出身初の教皇として選出され、教皇レオ14世と名乗りました。

(5月9日、バチカン 写真提供:©Vatican Media)
5月18日、教皇レオ14世の就任式ミサがサンピエトロ広場で開催され、32人の国家元首を含む140以上の代表団が参集しました。日本からは麻生太郎元総理大臣(衆議院議員)が特派大使として参列し、新教皇となったレオ14世に謁見し、直接祝意を述べたほか、マッタレッラ・イタリア大統領、ヴァンス米国副大統領、メルツ・ドイツ首相、カーニー・カナダ首相等と懇談しました。教皇崩御から新教皇の就任に際する一連のバチカン行事において、日本のプレゼンスを示すことができました。

(5月18日、バチカン)
このように、バチカンを舞台とする教皇の交代劇と各国の代表がバチカンにはせ参じる姿は、世界に14億人と言われるカトリック教徒を始め、世界中のメディアの注目の的となり、バチカンが世界最小国というだけではない存在感を示す国であることが改めて認識されました。
教皇レオ14世は、改革派と言われた前教皇フランシスコの対外政策を引き継ぐ意向を示しつつも、カトリック教会の伝統にも配慮する姿勢も見せており、カトリック教会内の一致を重要な使命と捉えています。
バチカンは、人の命を守る、人権を尊重するというカトリック教義から、人工中絶反対、死刑反対、移民への人道的な扱いなどを主張しています。また、争いのあるところには和平を呼びかける、AI倫理の策定やアフリカを中心とする開発途上国支援にも積極的であるなど、日本の外交政策と考えが共通する部分もあります。日本は、今後、教皇レオ14世率いる新体制のバチカンと協働し、国際社会の平和と安定に貢献していきます。
(13) OSCE:Organization for Security and Co-operation in Europe
(14) ヘルシンキ最終文書:1975年の欧州安全保障協力会議(CSCE、OSCEの前身)設立の際に採択された文書
(15) CoE:Council of Europe
(16) ASEM:Asia-Europe Meeting
(17) ASEF:Asia-Europe Foundation
(18) 2018年1月、安倍総理大臣が日本の総理大臣として初めてセルビアを訪問し、EU加盟を目指す西バルカン諸国(アルバニア、北マケドニア、コソボ、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ及びモンテネグロ)との協力を進める「西バルカン協力イニシアティブ」を発表し、青年交流、経済交流などの分野で西バルカン地域全体との協力を促進した。
