3 外交における有識者等の役割
変動著しい世界における国際秩序の構築に当たっては、民間有識者が前面に立って、各国の政府の公式見解に捉われない国際的政策論議を行い、それが国際世論や各国政府の政策決定に影響力を及ぼすという状況が顕著となっている。
各国の対外経済政策に大きな影響を持つダボス会議、各国の著名有識者や閣僚がアジアの安全保障について議論する場となっているシャングリラ・ダイアローグなどはその代表例である。主要国において、このような協議の場に参画できるようなシンクタンク(調査研究機関)の人材の育成や大学等の有識者の活用の重要性がこれまで以上に高まっている。
外務省は、日本の外交・安全保障についての知的基盤を広げ、国民の幅広い参画を得た外交を推進することが中長期的な外交力の強化につながるとの考えの下、日本の外交・安全保障関係シンクタンクの活動への支援を通じ、これらシンクタンクの情報収集・分析・発信・政策提言能力を高めることを目的として、外交・安全保障調査研究事業費補助金制度を2013年度に立ち上げた。その調査・研究成果は外交政策の企画・立案にも役立てられており、2016年度も同補助金制度は継続して実施されている。
また、2016年には、5月にG7伊勢志摩サミットに向けた有識者会合などが開催され、日本議長下でのG7伊勢志摩サミットを前に有識者間で活発な議論が行われた。

G7伊勢志摩サミットに向けた有識者会合(5月12日、東京)