昭和59年版「わが外交の近況」の刊行に当たって
「外交青書」は,1957年の創刊以来,今年で第28号を数えます。今日,我が国の国際的地位の向上に伴い国際社会における我が国の責任はますます大きくなっており,世界の平和と繁栄のために我が国が積極的に貢献することが強く求められております。
私自身,諸外国訪問や外国要人の訪日,国際会議などの度ごとに,日本に寄せられる各国の期待が一段と強まっていることを強く感じている次第であります。本年6月,英国ロンドンで開かれた主要国首脳会議では,我が国はその成功に積極的に貢献しましたが,その際も,私は日本の国際的責任の重さを痛感いたしました。我が国としては,今後とも各国の期待にこたえて国際政治・経済・社会等の各分野にわたって一層の役割を果たしていかねばなりません。このことこそが,我が国自らが平和で豊かな国家であり得るゆえんであります。
外務大臣就任以来,私は,外交も対人関係と同様であり,「誠」のないところに信頼は生まれない,誠心誠意「誠」を尽くすことにより,相手に不信を与えずその信頼を得られれば,我が国の発言に何よりも大きな力を与えることになる,また,真の国益追求のためには,国民の理解と支持の上に立ち,国民と一体になり,民間の創意も最大限に生かしたいわゆる国民外交の展開が重要との信条に基づき努力してまいりました。
世界の平和と繁栄を目指して我が国がより積極的に国際的役割を果たしていくに当たり,今後とも国民の英知を結集して日本外交を推進することが重要であります。本書が我が国外交に対する国民各位の御理解を得る一助となれば幸いです。
昭和59年10月
外務大臣 安倍晋太郎
本書は,世界の情勢と我が国が行った外交活動の概要を1983年1月から84年3月に至る期間を中心に取りまとめたものである。本書は,第1部総説,第2部各説及び第3部資料編から成り,資料編には資料,統計類及び年表を収録している。
第1部総説では,第1章において我が外交の基本課題について述べ,第2章では1983年を中心とした世界の主要な動きを概観し,さらに,第3章では同時期において我が国が行った主要な外交努力を説明している。
第2部各説では,まず世界の諸地域ないし諸国の情勢及び我が国とこれらの諸地域・諸国との関係について述べ,次に我が国の関係する重要な国際的問題について事項別に具体的に説明している。
第1部 総説
第3章 1983年の我が国の主要な外交活動
第2部 各説
第1章 各国の情勢及び我が国とこれら諸国との関係
第2章 国際経済関係
第3章 経済協力の現況
第4章 国連における活動とその他の国際協力
第5章 文化交流及び報道・広報活動
第6章 邦人の渡航と保護・援助
第3部 資料編