第5節 高度情報社会における国際相互理解の増進

今日の国際社会は,年々相互依存関係を深め,高度情報社会の急速な進展とともに,世界はますます緊密な情報の網の目で結ばれつつある。

特に,我が国は,その国際社会における地位が近年目覚ましく向上したことに伴い,我が国自身が世界の動きについて十分に認識し,正確な情報を迅速に得ることが必要であるのみならず,我が国の実情・動向について諸外国に正しい情報,知識を与えることが極めて重要となっている。このため,我が国としては,海外広報活動を通じて,諸外国に対し,我が国の国情及び政策について正確な情報を提供し,我が国に関する正しい認識及び理解が深まるよう努力を重ねている。

さらに,諸外国との関係を長期的,かつ,より安定した基盤の上に維持・発展させるためには,相互の文化交流の増進を図り,広く国民間の相互理解及び友好親善を深めることが肝要である。

こうした観点から,我が国は,これまで33か国に上る諸国との間に文化交流に関する協定及び取極を締結し,83年度には,8か国との間で文化交流に関する協議を実施した。また,外務省所管の特殊法人である国際交流基金を通じる人物交流,日本語普及事業など各種の文化交流事業及び開発途上国における文化,教育の振興に協力する文化無償協力,遺跡保存のための協力等を実施した。

また,外務省は,民主主義国における真の外交は国民の外交に対する幅広い理解と支持があって初めて可能となるとの認識のもと,国民に常に正確な情報を適切に提供し,国民が国際情勢及び我が国外交についての正しい認識と理解を深め得るよう広報活動や報道機関への協力を活発に行っている。

このように諸外国との間の相互理解を増進し,また我が国民から,我が国外交についての幅広い理解と支持を得るための広報文化活動の強化は,我が国外交を強力に推進するための基盤を一段と強固なものとするゆえんである。

このような観点から,外務省では,例えば,広く民間のアイデアを取り入れるため,83年3月から民間の有識者で構成される「広報・文化活動に関する懇談会」を随時開催し,また都道府県の行う各種国際交流を外務省として積極的に支援することを目的として83年から「国際交流推進連絡会」を開催するなど,民間及び地方自治体等との協力の強化,国内広報活動の強化・拡充等広報文化活動及びその実施体制の一層の強化を図っている。

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