軍縮・不拡散・原子力の平和的利用

原子力関連条約

平成30年8月2日

1 多国間条約

 1986年のチェルノブイリ原発事故を契機として原子力安全に対する国際社会の関心は急速に高まり,原子力安全関連4条約(原子力事故早期通報条約,原子力事故援助条約,原子力安全条約,放射性廃棄物等安全条約)が策定されるなど,その強化に向けて様々な取組が実施されました。

原子力事故の早期通報に関する条約(原子力事故早期通報条約)

 本条約は,国境を越える影響を伴う,又は伴う可能性のある原子力事故が発生した場合において,その影響を受け,又は受ける可能性のある国が事故に関する情報を早期に入手できる制度を設けることにより,事故の拡大を防止し,またその影響を最小限にとどめること等を目的としています。本条約は1986年に発効し,日本は1987年に締結しました。

原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約(原子力事故援助条約)

 本条約は,原子力事故又は放射線緊急事態が発生した国への援助の提供を容易にするための国際的枠組みを定めることにより,原子力事故等の影響の拡大を防止し,その影響を最小限にとどめることを目的としています。本条約は1987年に発効し,日本は同年に締結しました。

原子力の安全に関する条約(原子力安全条約)

 民生用の原子力発電所を対象とし,原子力の高い水準の安全を世界的に達成・維持すること,原子力施設に起因する放射線による潜在的な危険に対する効果的な防護を確立・維持すること,放射線による影響を伴う事故を防止すること等を目的としています。本条約は1996年に発効し,日本は同年に締結しました。

使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約(放射性廃棄物等安全条約)

 原子力発電所や研究用原子炉等の使用済燃料及び放射性廃棄物の管理の高い水準の安全を世界的に達成し維持すること等を目的としています。本条約は2001年に発効し,日本は2003年に締結しました。

原子力損害の補完的な補償に関する条約(原子力損害補完的補償条約:CSC)

 原子力事故の賠償責任は過失の有無を問わず事故発生国の原子力事業者が負うこと,一定額を国内事故賠償のために確保すべきこと,一定額を超える損害が発生した場合には各締約国による拠出金から補完し補償すること等を定めるものです。日本は2015年1月に締結しました。それにより本条約は発効要件を満たし,同年4月に発効しました。

 また,核セキュリティの分野では,核物質や放射線源がテロリスト等の手に渡り悪用された場合,人の生命,身体,財産に対し甚大な損害がもたらされることが予想されることから,核セキュリティの国際的なレベルでの強化に向け,IAEAや国連を中心とした取り組みとして「核物質防護条約」及びその改正並びに「核テロ防止条約」が策定されています。

核物質の防護に関する条約の改正(核物質防護条約改正)

 核物質防護条約は,国際輸送中の核物質の不法な取得・使用を防止するための防護措置をとること,核物質の窃取等の行為を犯罪化することを主な内容とする条約です。同条約は,1979年に採択され,1982年に発効し,日本は,1988年10月に締結しました。
 その後,核テロ等の脅威に対する認識の高まりから,同条約の強化が認識され,(1)国際輸送中の核物質のみならず,締約国の管轄下にある核物質及び原子力施設の防護の制度を確立すること,(2)既存の条約により犯罪化が義務づけられている行為に加え,法律に基づく権限なしに行う核物質のある国への又はある国からの移動,原子力施設に対して行われる不法な行為等を自国の国内法により犯罪とすること等を新たな義務とする改正が2005年に7月に採択されました。我が国は,核物質防護条約改正を2014年に締結し,同条約は2016年5月に発効しました。

核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約(核テロ防止条約)

放射性物質又は核爆発装置等を所持,使用する行為等を犯罪とし,その犯人の処罰,引渡し等について定めることを目的としたものです。国連において1997年に交渉が開始され,2001年の9.11同時多発テロ事件以降,早期採択のモメンタムが高まり,2005年4月に国連総会で採択されました。核テロ防止条約は2007年7月に発効し,日本は2007年8月に締結し,同年9月に発効しました。

2 二国間原子力協定

 二国間原子力協定は,原子力の平和的利用の促進と核不拡散の観点から,原子炉のような主要な原子力関連資機材等を移転するに当たり,移転先の国からこれらの平和的利用等に関する法的な保証を取り付けるために締結するものです。
 また,日本は,「3S」(注)を重視する観点から,最近の原子力協定においては,原子力安全面に関する規定も設けており,原子力安全に関する国際条約の遵守について,相互に確認するとともに,同協定下での原子力安全分野の協力を促進することとしています。日本の原子力技術に対する期待は,福島第一原発事故後も引き続き諸外国から表明されており,二国間の原子力協力においても,福島第一原発事故に関する経験と教訓を世界と共有し,相手国の原子力安全の向上に協力していくことが求められています。また,相手国の事情や意向を踏まえつつ,世界最高水準の安全性を有する原子力関連資機材・技術を提供していくことも可能です。原子力協定の枠組みを整備するかどうかについては,核不拡散の観点,相手国の原子力政策,相手国の日本への信頼と期待,二国間関係等を総合的に勘案し,個別具体的に検討していくこととなります。
 日本は,これまでにカナダ,オーストラリア,中国,米国,フランス,英国,欧州原子力共同体(EURATOM),カザフスタン,韓国,ベトナム,ヨルダン,ロシア,トルコ,アラブ首長国連邦及びインドとの間で原子力協定を締結しています。

(注)原子力の平和的利用の基本原則であるIAEAの保障措置(Safeguards),原子力安全(Safety)及び核セキュリティ(Security)の頭文字を取って「3S」と称されています。


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