軍縮・不拡散

国際原子力機関(IAEA)第52回総会の結果概要

平成20年10月10日

1.概要

(1)9月29日より10月4日まで、ウィーンにおいてIAEA(国際原子力機関)第52回総会が開催され、我が国政府代表として、松田元内閣府科学技術担当大臣が出席した。

(2)松田政府代表は、総会初日に一般演説(仮訳英文)を行い、原子力の平和的利用及び核不拡散に関する我が国の政策や取組みを包括的に表明するとともに、我が国が次期IAEA事務局長選挙に天野之弥ウィーン代表部大使を擁立することを決定したことをIAEAの場で初めて表明し、天野大使に対する支持を要請した。

(3)また、松田政府代表は、ボドマン米国エネルギー省長官をはじめとする主要国代表との会談などを行った。

(4)新規加盟国としてレソト、オマーン及びパプアニューギニアが承認された。

2.主要な議題

(1)北朝鮮

(イ)「IAEAと北朝鮮との間のNPT保障措置協定の実施」に関する決議がコンセンサスで採択された。

(ロ)本決議は、我が国を含む8か国(豪州、カナダ、フランス、ドイツ、韓国、英国、米国)が提案国となり、これにその他44か国が共同提案国に加わり採択に至ったものである。

(ハ)本決議においては、六者会合プロセスへの支持、無能力化の現状に対する懸念とその早期再開及び完了の重要性、検証体制の早期設立への期待等について言及された。

(2)中東におけるIAEA保障措置の適用

 すべての域内国に対してNPTへの加入を求めるとともに、IAEA保障措置に関連する国際的な義務の遵守を求める内容の決議が、我が国を含む賛成多数で採択された。

(3)保障措置の強化

 包括的保障措置協定及び追加議定書を締結していない国に対して、可及的速やかに署名・締結を行うよう求めること等を内容とする決議が採択された。包括的保障措置の締結をすべての国に求める部分の分割投票に加え、決議全体も投票に付されたが、賛成多数(含む我が方)で採択された。

(4)原子力安全

 原子力、放射線及び輸送の安全と廃棄物の処理に関する国際協力を強化するための方策に関する決議が採択された。この決議には、我が国による 1)柏崎刈羽原発へのIAEA調査団受入、2)耐震安全に関する会合のホスト、3)IAEA国際耐震安全センター設置の提案及び 4)特別拠出を評価するとの記述も盛り込まれている。

(5)核セキュリティ

 昨年発効した核テロ防止条約の未締結国に早期締結を要請するとともに、核物質防護条約の普遍化及びその改正の締結を促進すること等を内容とする決議が採択された。

(6)原子力技術

 原子力発電分野として、原発導入等に際しての核不拡散、原子力安全及び核セキュリティ確保の重要性に言及し、非発電分野として、マラリア蚊制御のための不妊虫放飼技術(SIT)の開発、アフリカ連合ツェツェ蠅及び眠り病撲滅キャンペーン(AU-PATTEC)、中小型炉を利用した飲料水生産及び食料・農業分野における支援強化に関して、IAEAの活動の重要性等を謳った決議が採択された。

(7)技術協力

 IAEA技術協力活動を強化する必要性を強調し、すべての加盟国に対して技術協力基金へ完全かつ遅滞なく拠出するよう求めること等を内容とする決議が採択された。

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