軍縮・不拡散

国際原子力機関(IAEA)第51回総会の結果概要

平成19年10月4日

1.概要

(1)9月17日より21日まで、ウィーンにおいてIAEA(国際原子力機関)第51回総会が開催され、我が国政府代表として、中川内閣府副大臣が出席した。

(2)中川副大臣は、総会初日に一般演説(和文仮訳)を行ったほか、エルバラダイIAEA事務局長及びビュガ仏原子力庁長官との会談などを行った。

(3)新規加盟国としてバレーン、ブルンジ、コンゴ、ネパール及びカーボ・ベルデが承認された。

2.主要な議題

(1)北朝鮮

(イ)「IAEAと北朝鮮との間のNPT保障措置協定の実施に関するIAEA総会決議」がコンセンサスで採択された。

(ロ)本決議は、我が国を含む8か国(豪州、カナダ、フランス、ドイツ、韓国、英国、米国)が提案国となり、これにその他53か国(昨年は47か国)が共同提案国に加わり採択に至ったものである。

(ハ)本決議は、昨年10月9日、北朝鮮による地下核実験実施発表後、IAEA総会にて採択された初めての決議であり、同核実験に対する深い懸念、国連安全保障理事会決議1718号の実施の重要性、六者会合プロセスへの支持及び北朝鮮の核放棄に向けた期待等について言及された。

(2)中東

(イ)「中東におけるIAEA保障措置の適用」

 すべての関係国に対して中東非核化地帯の実現に向けた措置をとるよう求めるとともに、関係国に対してNPTを含む国際的な不拡散体制の遵守を慫慂する内容の決議。本年は、昨年に続き投票に付され、賛成多数(含む我が方)で採択された。

(ロ)「イスラエルの核能力及び脅威」

 イスラエルに対しNPTへの加入を求める等の決議案は提出されず、また、議長声明等も発出されなかった。

(3)保障措置の強化

 いまだ包括的保障措置協定及び追加議定書を締結していない国に対して、可及的速やかに署名・締結を行うよう求めること等を内容とする決議が採択された。昨年は、包括的保障措置の締結をすべての国に求める部分が分割投票となった他は、決議全体はコンセンサスで採択された。本年は、昨年同様の分割投票に加え、決議全体も投票に付され、賛成多数(含む我が方)で採択された。

(4)核セキュリティ

 本年の核テロ防止条約の発効に満足の意を表明すると共に、同条約の未締結国に早期締結を要請すること等を内容とする決議が採択された。(:我が国は、8月に核テロ防止条約を締結。)

(5)原子力安全

 原子力、放射線及び輸送の安全と廃棄物の処理に関する国際協力を強化するための方策に関する決議が採択された。この決議には、我が国による柏崎刈羽原発へのIAEA調査団受入を推賞するとともに、加盟国間における経験の共有を奨励するとの記述も盛り込まれている。

(6)原子力技術

 非発電分野の原子力技術応用として、ガン治療、ツェツェ蝿撲滅、水資源管理へのアイソトープ利用、飲料水の経済的生産の分野における中小型炉の利用の促進、原子力発電分野として、原発導入等に際しての核不拡散、原子力安全、核セキュリティ確保の重要性、原子力発電の国際協力におけるIAEAの役割、中小型炉開発及び革新的原子力技術開発の促進におけるIAEAの活動の重要性等を謳った決議が採択された。

(7)技術協力

 IAEA技術協力活動を強化する必要性を強調し、すべての加盟国に対して技術協力基金への完全かつ遅滞なく拠出するよう求めるとともに、すべての加盟国は技術協力活動の向上及び資金供与への責任を共有していることを強調すること等を内容とする決議が採択された。

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