軍縮・不拡散

IAEA(国際原子力機関)第49回総会の概要

平成17年10月

1.概要

(1)9月26日より30日まで、ウィーンにおいてIAEA(国際原子力機関)第49回総会が開催され、我が国政府代表として、七条内閣府副大臣が出席した。七条副大臣には、近藤原子力委員長、松浦原子力安全委員長、町原子力委員、中根外務省軍縮不拡散・科学部長、塩沢内閣府審議官等が随行した。

(2)七条副大臣は、総会初日に一般演説を行ったほか、エルバラダイIAEA事務局長、ビュガ仏原子力庁長官との会談、及び主要国の代表を招いた昼食会を行い、北朝鮮やイランの核問題、IAEA保障措置等に関する意見交換を行った。

(3)今次総会は、北朝鮮における保障措置の実施に関する決議や中東に関する決議の調整等に時間を要したため、最終日の午後の会議時間が若干延長されたが、全般的には円滑に進行した。

2.主要な議題

(1)北朝鮮
 本年9月19日に発出された第4回六者協議の共同声明を歓迎するとともに、北朝鮮が包括的IAEA保障措置を完全かつ効果的に実施する上でIAEAと協力することを求め、朝鮮半島の非核化に向け、北朝鮮の核問題を対話を通じて平和的に解決する希望を強調し、北朝鮮の核問題を解決するための可能かつ適切な形での国際社会の平和的な努力を支持する内容の決議が採択された。

(2)中東
 すべての加盟国に対して中東非核化地帯の実現に向けた努力の継続を求めるとともに、関係国に対してNPTを含む国際的な不拡散体制の遵守を慫慂する内容の決議が採択された。

(3)保障措置の強化
 いまだ包括的保障措置協定及び追加議定書を締結していない国に対して、可及的速やかに署名・締結を行うよう求めること等を内容とする決議が採択された。

(4)核セキュリティ
 核物質防護条約の改正及び核テロ防止条約の採択を歓迎し、すべての国に早期の発効を求めること等を内容とする決議が採択された。

(5)原子力安全
 原子力、放射線及び輸送の安全と廃棄物の処理に関する国際協力を強化するための方策に関する決議が採択された。

(6)原子力科学技術
 原子力科学技術応用の強化を訴え、水資源開発、ガン治療、ツェツェ蠅撲滅、飲料水製造等の分野における原子力利用等を謳った決議が採択された。

(7)技術協力
 IAEAの技術協力活動を強化する必要性を強調し、すべての加盟国に対して技術協力基金への満額かつ遅滞なき拠出を求めるとともに、援助国と被援助国との間の責任分担等を内容とする決議が採択された。

(8)予算
 総額274百万ユーロの2006年度通常予算案が承認された(うち保障措置予算は83百万ユーロ)。また、通常予算とは別に、IAEAの所在するウィーン国際センターの警備体制強化のための総額2.5百万ドルの2005年補正予算案も承認された。

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