軍縮・不拡散

「アジア諸国における核セキュリティ強化に関する国際会議」概要

平成22年1月25日

1.21日(木曜日)及び22日(金曜日)、外務省は、国際原子力機関(IAEA)との共催で、「アジア諸国における核セキュリティ強化に関する国際会議」を東京で開催した。本会議は、2006年11月に東京で開催された会議(同名)の成果を踏まえ、同会議以降のアジア諸国における核セキュリティ強化の進展状況を検討することを目的に開催されたもの。

2.同会議は、財団法人核物質管理センターの内藤香専務理事が議長を務め、アジア諸国の計16ヶ国の政府関係者が出席した他、我が国及び韓国の電気事業関係者、豪州及び米国の専門家、世界核セキュリティ協会(WINS)の代表がプレゼンターとして出席した(参加者数65名)。
我が国からは佐野利男外務省軍縮不拡散・科学部長、新井勉国際原子力協力室長、IAEAから谷口富裕事務次長(原子力安全・核セキュリティ担当)他が出席した。

3.福山哲郎外務副大臣は、開会挨拶の中で、①核セキュリティは喫緊の課題であり、原子力の平和利用を行うすべての国が核セキュリティの措置を講じる責任がある、②この点に関連し、各国において核セキュリティを十分に確保するすための国際協力が重要である、③我が国は、キャパシティ・ビルディング、特に人材育成の分野において今後とも国際協力を行っていく、旨述べた。

4.各国関係者から、各国が2006年以降に実施した核セキュリティ強化のための措置に関する現状について発表されたほか、IAEAのスピーカーからは、核セキュリティ強化のための地域的な活動に対してIAEAが実施している支援の現状について、発表が行われた。

5.本件国際会議で作成された議長総括(英文)(別添参照)(PDF)PDFの概要は、以下のとおり。

  1. (1) 2006年以降、アジア地域の核セキュリティ分野で、依然進展の余地はあるも、大きな前進がみられることがテークノートされた。
  2. (2) 核物質や放射性物質を用いた悪意ある活動は引き続き国際平和と安全保障にとって重大な脅威であることが認識された。
  3. (3) 核セキュリティの責任は各国に委ねられているが、各国が協力することの必要性が認識された。
  4. (4) 2006年以降、アジア地域の各国が改正核物質防護条約等の核セキュリティに関する国際的な法的文書の署名等を行っていること、放射線源の核セキュリティを強化する新しい任意の措置をとることを決定したことを留意した。
  5. (5) IAEAの核セキュリティ基金を通じた支援、及び、二国間のプログラムによる核セキュリティに関する支援を歓迎した。
  6. (6) 核セキュリティにおいて産業界を関与させることの重要性が強調されるとともに、世界核セキュリティ協会(WINS)の役割が留意された。
  7. (7) オバマ大統領による核セキュリティ・サミット(2010年4月)の開催を歓迎するとともに、核セキュリティ、原子力安全及び保障措置を確保しつつ原子力平和利用を推進する上で、アジア地域が他の地域の良いモデルとなるようにするため、参加国が協力するようコミットすることが表明された。
  8. (8) 本件セミナーに参加した各国、特に原子力技術を有する先進国は、地域での核セキュリティに係る地域協力、ネットワークを構築・推進することが慫慂された。また、アジア地域の国は、核セキュリティに係る地域協力、情報の共有並びに教育及び訓練を含むキャパシティ・ビルディングを強化すべく共に尽力するよう慫慂された。

(参考)
「核セキュリティ(nuclear security)」は、国際原子力機関(IAEA)などにおいて議論されている概念であり、IAEAでは「盗取、妨害破壊行為、不法アクセス、不法移転その他の悪意を持った行為であって、核物質その他の放射性物質又はそれらの関連施設を巻き込むものに対する予防、検知及び対応」と定義されています。すなわち、「核セキュリティ」はいわゆる核テロ対策等を指すもの。


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