軍縮・不拡散

小型武器東京ワークショップ(概要と評価)

平成19年3月15日

1.概要

(1)3月12日及び13日、外務省の主催で、小型武器東京ワークショップが開催された。「平和なコミュニティの保護・育成の観点からの小型武器問題」と題する今回のワークショップには、18カ国より計26名の政府関係者に加え、国会議員(下記参照)、国際機関関係者、国内外NGO関係者、有識者計29名が参加し、二日間に亘り活発な議論が行われた。

(注)我が国からは、伊藤信太郎衆議院議員(前外務大臣政務官、今回のワークショップは昨年の国連小型武器行動計画履行検討会議で同政務官が提唱したもの)、寺田稔衆議院議員(国際軍縮促進議員連盟事務局次長)、猪口邦子衆議院議員(前内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画))、犬塚直史参議院議員(「地球規模問題に取り組む国際議員連盟(PGA)」事務局長)が出席。また、PGA事務局の推薦により、アフリカより国会議員2名(ムシラ・ケニア国会副議長及びハジャイジ南ア議会外交委員長)が参加した。

(2)我が国外務省からは、松島みどり外務大臣政務官が冒頭挨拶を行い、国際社会が引き続き小型武器問題に取り組むことの必要性につき訴えた。また、美根慶樹外務省アフガニスタン復興支援・NGO担当大使(前軍縮代表部大使)が全セッションを通して議長を務めた。

(3)今回のワークショップでは、人間の安全保障の観点から、非合法な小型武器の脅威から人々を保護し個人やコミュニティが自立するための能力を育成することに焦点を当てた議論が行われた。具体的には、武器所持の背景に存在する需要要因の分析や小型武器関連プロジェクトの効果的な推進、武器輸出国による責任ある武器の移譲管理、国際社会における小型武器問題への取組の今後の方向性等につき活発な意見交換がなされた。

(4)会議での議論の結果を反映した議長サマリー(英文仮訳)が発出された。

2.評価

(1)小型武器問題への取り組みは、核軍縮の推進と共に、我が国軍縮外交の重要な柱であり、今回のワークショップを通じ、小型武器問題への我が国の積極的姿勢を改めて内外に印象づけることができた。

(2)我が国は、小型武器の分野においては従来より国連の枠組みでのルール・メーキングを重視してきたところ、今回のワークショップで国際社会が引き続き国連小型武器行動計画に基づき取組を進めていくことの必要性が確認されたことは有意義であった。

(3)国連小型武器行動計画の記述をはじめ、小型武器問題についての従来の議論は、武器の供給面からの規制の取組が中心であったが、今回のワークショップでは、小型武器プロジェクトのベスト・プラクティスや武器所持の背景に存在する需要要因について特に充実した議論が行われ、参加者より各種プロジェクト(武器回収及びコミュニティーベースの開発支援等)の現場で得られた経験に基づき多くの示唆に富んだ指摘がなされた。また、武器の移譲管理の分野でのグローバルレベル及び地域レベルでの取組の必要性が述べられるとともに、武器貿易条約(ATT)構想の進展のための協力の必要性が確認された。ATT構想は一定の国際基準の下に通常兵器の移譲に関する管理の強化を目指すものであり、今後、通常兵器分野における主要事項となるものと予想されることから、アジア地域では初めてとなる同構想についての政府主催のワークショップとなったという意味でも有意義であった。

(4)今回のワークショップでは、政府や国際機関関係者のみならず国会議員、NGO関係者、有識者も一堂に会して議論に参加し、小型武器問題における市民社会との連携を深める契機とすることができた。

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