軍縮・不拡散

国連小型武器行動計画第4回隔年会合
(概要と評価)

平成22年6月21日


 6月14日~18日、ニューヨーク国連本部において、「国連小型武器行動計画」(以下「行動計画」)(参考1)に関する第4回隔年会合(参考2)が開催され、各国による「行動計画」の実施状況の確認と今後の実施強化に向けた議論が行われたところ、概要と評価は以下のとおり。

1. 概要

 約170か国が参加し(議長はメキシコ外務省国連機関局長)、小型武器問題の様々な側面、特に国境管理、国際協力と支援、関連会合のフォローアップ・メカニズム及び小型武器非合法取引に対するトレーシング(追跡)について意見交換が行われた。その結果は、成果文書として取りまとめられ、今次会合の報告書に組み入れられる形で最終日にコンセンサス採択された。また、小型武器問題に取り組む国際機関やNGOなども多数参加し、各種サイドイベントも行われた。

2. 評価

(1)今次会合の最大の成果は、「行動計画」の実施強化に向けた行動指向的な成果文書がコンセンサスで採択されたこと。情報交換を含む国家間協力の強化の重要性、非合法小型武器の問題解決の主たる責任は各国にあるとしつつも、キャパビル等への国際的支援の必要性、国別実施報告書の提出と内容の強化、啓発プログラムの重要性等が確認され、各分野における具体的取組が「今後の道筋(The Way Forward)」として示された。

(2)今次会合では新たな議題として「フォローアップ・メカニズム」が取り上げられ、国連の枠組みで実施される小型武器関連会合のあり方について活発な議論が行われた。その結果、各関連会合をリンクさせ継続性を持たせることが重要であるとして、6年サイクルで履行検討会議(1回)(参考2)と隔年会合(2回)を開催することの有用性が認識され、また、政府専門家会合の開催についても今後検討することとなった。また、明年が行動計画作成10周年であることから、各国の実施状況を包括的に評価することの必要性も共有された。今回、機構面から「行動計画」の実施強化を検討する機会が設けられたことは大いに評価される。

(3)我が国は、国別実施報告書の強化の観点から、我が国が支援してきた国連事務局の開発によるウェブサイトを利用した実施支援システム(PoA-ISS)の活用を呼びかけるとともに、各議題の下で、我が国の取組について紹介した。さらに、アジア地域選出の副議長として議長をサポートするとともに、国連小型武器決議案の提出国(参考3)として、各議題の成果文書の作成を行った議長フレンズと緊密な協力を行うなど実質面でも貢献した。

(4)今後の関連会合として2011年1月に政府専門家会合及び2012年に履行検討会議が予定されており、今次会合での成果文書の採択は、国際社会における小型武器問題への機運を高め、今後の取り組みの前進に大きく貢献するものと考えられる。



【参考】 

  1. 国連小型武器行動計画は、2001年の国連小型武器会議において採択され、あらゆる側面における小型武器の非合法取引の防止、除去、撲滅のための具体的措置を定めたもので、前文、非合法取引に係る具体的措置、履行・国際協力と支援、フォローアップの4章から構成されている。
  2. 隔年会合は、国連小型武器行動計画において二年に一度開催することとされている(前回は2008年開催)。また、履行検討会議は、国連小型武器行動計画の履行における進展を検討するため2006年に開催され、次回は2012年に開催予定。
  3. 我が国は、南アフリカ、コロンビアと共に、毎年国連総会に小型武器決議を提出するなど、この分野において中心的な役割を果たしている。
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