平成19年6月12日
(1)「小型武器の非合法ブローカリングの防止、除去および撲滅における国際協力のための更なる措置」を議論するため、以下の日程で、非合法小型武器ブローカリング政府専門家会合(Group of Governmental Experts: GGE)が開催された。
第1回:2006年11月27日~12月1日(ジュネーブ欧州国連本部)
第2回:2007年3月19日~23日(ニューヨーク国連本部)
第3回:2007年6月4日~8日(ニューヨーク国連本部)
(2)本GGEは、ダニエル・プリンツ(在ジュネーブ・オランダ代表部次席)が議長を務め、我が国の他、アルゼンチン、ブラジル、ブルガリア、中国、エジプト、フィンランド、フランス、イスラエル、ジャマイカ、ジョルダン、ケニア、韓国、リトアニア、ニカラグア、ノルウェー、パキスタン、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セネガル、南アフリカ、英国、米国の計25ヶ国より専門家が出席した。我が国からは政府専門家として柳井啓子・不拡散・科学原子力課課長補佐及びアドバイザーとして安仁屋賢・通常兵器室課長補佐が出席した。
(3)本GGEは、「非合法ブローカリング規制に関する国内法体制の要素(模範例)」(第3章)、「国際協力促進のための更なる措置」(第4章)及び「勧告」(第5章)を含む報告書をとりまとめ、国連事務総長に提出した(同報告書は第62回国連総会に提出される)。
(1)非合法ブローカリングは、仲介者(ブローカー)が法的な管理措置が手薄な国に移動し、武器の売り手と買い手を結びつけることにより非合法な武器の輸出・輸入・移譲を行うものである。2001年に作成された小型武器行動計画(PoA)では、トレーシングと共に小型武器問題への対応の具体的フォローアップ事項として言及されており、PoAにおいて重要な位置を占めている。
(2)各国国内法等によるブローカリング管理及びこれを達成するための国際協力のあり方が今回のGGEにおける議論の中心であったところ、報告書においては中核的な部分として第3章「非合法ブローカリング規制に関する既存の国内法令体制の要素(模範例)」、第4章「国際協力促進のための更なる措置」及び第5章「勧告」がとりまとめられた。
(3)この中、第3章はライセンシング等、各国が国内措置を採る際に活用できる法体制・手続きの肝要な要素(模範例)を列挙している。第4章は第5章を導く現状を記述している。第5章「勧告」は、「法的・行政手続きの実施」、「情報共有における国際協力」「国際支援とキャパシティー・ビルディング」、「効果的な報告の促進」、「国連安保理武器禁輸措置及び制裁」の5分野において、各国が国内法措置を採るに当たって必要な国際協力及び国内措置が採られた後の実際のオペレーションに必要な情報交換における国際協力につき言及されており、各国、地域、国際機関等が今後必要な措置を採っていく上で有用なベースを提供している。
(4)今回打ち出された模範例及び勧告は、各国の立場の相違はあったものの、可能な限り具体的かつ行動志向(action-oriented)のものとなるよう工夫された。これをとりまとめたGGE報告書の作成においては、その案文作成及び会合における采配等、議長の貢献が大きかったと言える。また、本件会合に参加した政府専門家は、単に自国の立場を代弁するだけでなく、より良い報告書の作成という観点から議論に貢献し、会合は全体として円滑に進められた。我が国も、各国専門家と連携しながら、コンセンサス形成に積極的に貢献した。
(5)報告書では、今後も小型武器ブローカリングに関する各国報告の定期的な検討を、国連小型武器行動計画関連会合の中で行うよう言及しており、我が国としても右実現に向けて貢献していく考えである。