
国連軍事支出報告制度に関する政府専門家会合の結果概要
平成23年5月
2010年11月,2011年2月及び同5月,ジュネーブ及びニューヨークにおいて,国連軍事支出報告制度(注1)を見直すため,我が国を含む15か国(注2)の政府専門家が出席し,標記会合が開催されたところ,概要以下のとおり。
1.会合の目的
発足から30年を経た本制度の運用状況をレビューし,近年の国際情勢に適ったものとする観点から報告フォーマットの改訂も含め検討を行い,その結果を国連事務総長に提出する。
2.議論の概要と成果
- (1)各国専門家は,本制度が軍事支出の透明性向上を通じた信頼醸成措置として有効な手段であると結論し,本制度の効果的な運用の促進と参加国を増やすための努力を加速する必要性を指摘した。
- (2)具体的措置として,国内コンタクト・ポイントの指定,国内当局者の能力向上,国際的・地域的機関との協力,データ・ベースの構築,国連事務局への支援等を挙げ,さらに,各国が報告の際使用するフォーマットについても見直しを行い,これまで使用率の低かった項目の整理・統合を含む改善策を取りまとめた。
- (3)本専門家会合は,これらを「勧告」として含む報告書を作成して,国連事務総長に提出した。
その後,2011年の国連総会決議を通じて,加盟国に勧告の実施が呼びかけられた。
3.我が国の対応
我が国は,軍事費の透明性を高める観点から,報告フォーマットにできるだけ有用な情報が多く含まれ,かつ,各国の異なる慣行にも対応しうる柔軟性を備えたものとなるよう努めるとともに,各国専門家の異なる意見を調整するなどして報告書のコンセンサス採択に貢献した。
- (注1)1980年に軍事支出の削減手段として国連総会決議により設置。国連加盟国は,年1回,定型フォーマット等を使用して自国の軍事支出を任意で国連に報告することが奨励されている。2011年は我が国を含む68か国が報告。(英語:"United Nations Report on Military Expenditures")
- (注2)ブラジル,ブルキナファソ,中国,コスタリカ,仏,独(議長),インド,日本,モロッコ,
ペルー,ルーマニア,ロシア,タイ,英国,米国。