平成23年7月
7月11日~15日,ニューヨーク国連本部において,2012年に開催予定の武器貿易条約国連会議(交渉会議)の第3回準備委員会が開催されたところ,概要以下のとおり。
昨年の国連決議(我が国共同提案国)に基づき,2012年国連会議に対し,「通常兵器の移譲について高い国際共通基準を設定する条約に必要な要素について勧告すること」を目的に開催された(議長:モリタン・アルゼンチン大使)。
これまでの準備委員会では条約の原則と目的,対象範囲,移譲基準及び国際協力・支援について議論したが,今回は条約の実施メカニズムと最終規定について議論した。これにより,条約の主要な要素の全体像が明らかにされた。また,主要な武器輸出国でもある安全保障理事会常任理事国の5か国(注)が共同ステートメントを発出し,武器貿易条約の作成に向けた努力を支持する旨表明したことも条約作成プロセスの進展に寄与したと評価される。
(注:フランス,中国,ロシア,英国,米国)
我が国は武藤軍縮不拡散・科学部審議官を代表団長とし,各セッションで積極的に発言を行い,副議長として議長を補佐するとともに,国際NGOとの意見交換も積極的に行った。
明年2月に第4回準備委員会が開催され,主に国連会議の手続事項について話し合われる予定。
【参考】武器貿易条約(ATT:Arms Trade Treaty)構想
ATT構想とは,通常兵器の国際的な移譲を管理するための国際的共通基準を定める条約を作成しようという構想で,通常兵器の移譲に関する管理の強化を目指すもの。我が国は,国際紛争等の助長を回避し,かつ,幅広い国の参加も得られるような実効的な国際約束の作成を目指すべきとの立場から,ATTに関する作業に積極的に参画している。