軍縮・不拡散

武器貿易条約(ATT)国連会議準備委員会の結果概要

平成22年7月


 7月12日~23日、ニューヨーク国連本部において、2012年に開催予定の武器貿易条約国連会議の準備委員会が開催されたところ、概要以下のとおり。

1.本会合の位置付け

 昨年の国連決議(我が国共同提案国)に基づき、2012年国連会議に対し、通常兵器の移譲について高い国際共通基準を設定する条約に必要な要素について勧告することを目的に開催された(議長:モリタン・アルゼンチン大使)。

2.議論の概要

 条約の構成要素、原則及び目標について議論を行い、結果は議長ペーパーとして纏められた。また、条約の中核を成す対象範囲(スコープ)、移譲基準(パラメーター)、実施メカニズムの3つの要素について、3名の議長フレンズの下で議論が行われ、その結果を取り纏めたサマリーが作成された。

3.成果

 ATTは90年代後半から長年に亘って有識者やNGOによりその作成が求められてきた「責任ある武器貿易」を実現する条約である。今次会合は、次の二つの点から、ATT作成に向けた大きなステップとなったと言える。第一に、ATTの実現可能性についてATT推進国と慎重国との間の議論の応酬に集中していた昨年までの関連会合から大きな前進を見せ、これまで発言のなかった国々もATTの作成を念頭に自国の問題として条約の様々な要素について積極的に議論に参加した。第二に、具体的な成果として、各国が重視する条約の要素を網羅的に記載した上述の文書が作成されたことで、明年の準備委員会に向けた各国の準備作業の有用なベースが提供された。

4.我が国の対応

 今次会合において我が国は、ATTは主要輸出国を含む数多くの国が参加するものとなる必要があること、条約の原則として、紛争の平和的解決の要素を盛り込むことが重要であること等を訴えた。また、ATTプロセスに早い段階から関与してきた我が国は、その知見を生かし各セッションで議論をリードするとともに、副議長として議事進行において議長を補佐した。また、アジア各国及びNGOとの意見交換も積極的に行い、武器移譲について高い国際共通基準を定める条約作成を強く支持する我が国の立場について説明した。

5.今後の取り進め方

 明年2月28日~3月4日及び7月11日~15日に準備委員会が開催される予定。具体的な取り進め方については、今後議長が各国と協議し決定されることとなるが、各国は今回作成された各種文書に含まれる要素についてそれぞれの立場を検討し、準備委員会において意見の調整を行い、ATTの実現に向けてのプロセスを進めていくこととなる。


【参考】武器貿易条約(ATT: Arms Trade Treaty)構想

 ATT構想とは、通常兵器の国際的な移譲を管理するための国際的共通基準を定める条約を作成しようという構想で、通常兵器の移譲に関する管理の強化を目指すもの。「武器輸出三原則」等の下、原則として武器を輸出していない我が国は、国連等の場において小型武器を含む通常兵器の問題への対処に積極的な役割を果たしてきており、ATT構想についても高い関心を持ち、関連する取組に積極的に参画している。


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