国連外交

平成27年10月5日
  • 岸田外務大臣は、9月28日(月曜日)から10月1日(木曜日)まで、第70回国連総会出席のためニューヨークを訪問した。
  • 岸田大臣は、第9回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議、エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第23回会合、難民への人道支援に関するG7関連会合、核兵器の全面的廃絶のための国際の日に関する国連総会非公式閣僚級会合、「新たな開発アジェンダの下での移民及び難民に関する協力の強化」会合、中東和平に関する拡大カルテット会合の計6の多国間会合に出席し、これらのうち、CTBT発効促進会議の共同議長を務めた。
  • また、岸田大臣は、3か国(韓国、豪州、サウジアラビア)と外相会談を実施した他、日米印、日米韓の3か国外相会合にも出席した。これらの機会を通じ、各国の外務大臣との間で相互の信頼関係を強化した。

1 主要行事等の結果概要

(1)二国間会談等

岸田大臣は、日韓、日豪及び日サウジアラビア外相会談、並びに日米印及び日米韓外相会合を行い、各国との二国間関係等に関する意見交換に加え、地域情勢やグローバルな課題についても、日本の立場を説明し、国際場裏での協力についても議論した。

ア) 日米韓外相会合

岸田大臣は、日米韓外相会合に出席し、3か国が北朝鮮問題や安全保障分野を始めとする幅広い分野で一層緊密に協力していくことの重要性を再確認した。三外相は、北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念を共有し、北朝鮮に挑発行動の自制、安保理決議や六者会合共同声明の遵守を強く求めていくことを確認した。また、岸田大臣から、日朝関係の現状について説明し、拉致問題を始めとする人道上の問題に向けて、引き続き3か国で緊密に協力していくことを確認した。さらに、三外相は、グローバルな協力や地域情勢についても意見交換を行い、日米韓が引き続き緊密に連携していくことを確認した。

イ) 日米印外相会合

岸田大臣は、初の日米印外相会合に参加し、海洋安全保障、アジア太平洋地域における地域枠組、日米印協力という三国が共通の関心を有する議題について意見交換を行った。日米印外相は、南シナ海を含め、国際法及び紛争の平和的解決等の重要性を強調し、海上安全保障維持のために共に取り組むことで一致した。また、人道支援・災害救援、地域連携について専門家レベルの会合を開催すること、女性の能力強化及び経済的なエンパワーメントについて協力を模索することで一致した。

ウ) 日韓外相会談

率直かつ建設的な意見交換を実施。両外相は、様々なレベルや分野で対話を積み重ね、関係前進に向け、引き続き共に努力していくことを確認するとともに、日韓中サミットの成功に向け、日韓で緊密に協力することで一致した。両外相は、日韓間の懸案について、双方の関心事項を提起した。

エ) 日豪外相会談

ターンブル新政権の下でも、基本的価値と戦略的利益を共有する日豪の特別な戦略的パートナーシップを引き続き強化していくことで一致。

オ) 日サウジアラビア外相会談

本年で国交樹立60周年を迎える二国間関係を包括的パートナーシップにより更に深化させていくことを確認するとともに、暴力的過激主義をはじめとする安全保障上の脅威に直面する中東地域の大国であり我が国の対中東政策上の最重要国の一つであるサウジアラビアとの間で、暴力的過激主義対策、イラン核問題、イエメン情勢等の中東地域の懸案について議論を行った。

(2)軍縮・不拡散

(ア)岸田大臣は、カザフスタン外相とともに、第9回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議の共同議長を務め、そのステートメントの中で、(1)発効要件国を中心に未署名・未批准国への政治的働きかけの促進、(2)核実験検知のための国際監視制度の構築の促進、(3)核兵器使用の惨禍を市民社会に一層広めていくことを呼びかけた。同会議には、潘基文国連事務総長、ゼルボCTBTO事務局長、モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表等が出席し、最終宣言が採択された。
(イ)また、岸田大臣は、核兵器の完全廃絶のための国際の日に関する国連総会会合に参加し、そのステートメントにおいて、NPTは困難に直面しているが、その体制の更なる強化に向けて努力し、次回のNPT運用検討会議の成功につなげることが重要であり日本が最大限努力していくことや、被爆者の平均年齢が80歳を超える中で、被爆者の強い思いを世代と国境を越えて継承し、「核兵器のない世界」の実現に向けて新たな決意で取り組むこと等を述べた。

(3)気候変動

岸田大臣は、エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第23回会合外務大臣セッションに出席し、本年末のパリで開催されるCOP21で採択される気候変動に関する新たな国際枠組みは全ての国に適用される公平かつ実効的なものであるべきであり、その採択の成功に向けて日本として積極的に貢献していく旨述べた。
また、新たな国際枠組みにおいては、各国が、長期的視野に立って公平で野心的な目標を示すとともに、その実施が有効に担保されるレビュー制度を構築し、継続的に削減に向けた野心を向上させていく仕組みを作る必要がある、COP21の成功を目指す上でも、途上国、特に脆弱国への支援は重要であり、日本は、2013年から2014年末までの2年間で、官民合わせて約200億ドルの支援を実施したほか、GCF(緑の気候基金)に対する15億ドルの拠出決定など貢献してきている旨等述べた。

(4)移民・難民

(ア)岸田大臣は9月29日に開催された難民への人道支援に関するG7関連会合に出席した。会合では、難民・避難民に対する支援等を強化することを呼びかけ、国際社会が連携して人道的対応及び根本原因の解決を行っていくことで一致した。岸田大臣からは基本的価値を共有するパートナーとして、欧州に対して連帯を表明し、こうした問題に対処すべく支援を実施していく旨説明した。会合終了後、議長声明が発出された。
(イ)岸田大臣は、「新たな開発アジェンダの下での移民及び難民に関する協力の強化」会合に出席し、世界の人道危機に対する日本の支援を紹介すると共に、難民問題に対応するため、人道支援と開発支援の連携を一層強化し、2016年5月にトルコで開催予定の世界人道サミットに向けて、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連開発計画(UNDP)等の国際機関と協力していくことを表明した。

(5)中東外交

中東和平に関する拡大カルテット会合では、中東和平問題が最優先課題の一つであることを強調した上で、中東和平問題の解決のためには経済・社会的な開発が必要である旨、また和平プロセス推進のため幅広い国々を動員する必要性を指摘し、この観点から日本は新たに約1、200万ドル規模の支援を行う意向を表明した。

2 日程

9月28日(月曜日)
午後 ニューヨーク着

9月29日(火曜日)
午前 日米韓外相会合
 第9回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議

午後 エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第23回会合
 日米印外相会合
 難民への人道支援に関するG7関連会合

9月30日(水曜日)
午前 日韓外相会談
 核兵器の全面的廃絶のための国際の日に関する国連総会非公式閣僚級会合
 日豪外相会談

午後 「新たな開発アジェンダの下での移民及び難民に関する協力の強化」会合
 中東和平に関する拡大カルテット会合
 日サウジアラビア外相会談

10月1日(木曜日)
午前 ニューヨーク発
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