外交シンクタンクとの連携
令和2年度「外交・安全保障調査研究事業費補助金」に関する審査結果
令和2年4月9日
標記補助金(発展型総合事業,総合事業及び調査研究事業)について,総計48企画の応募がありました。「外交・安全保障調査研究事業費補助金審査・評価委員会」における審査結果を踏まえ,以下のとおり採択企画を決定しました。
1 令和2年度外交・安全保障調査研究事業費補助金(発展型総合事業)
以下の3分野に計11企画の応募がありました。
採択企画 | 国際秩序の転換期における日本の秩序形成戦略 台頭する中国と日米欧の新たな協調 |
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概要 | 中国が著しい台頭を見せる中,「ルールに基づくリベラルな国際秩序」は挑戦に直面している。既存の国際秩序を支えてきた米国,欧州,そして日本はこの転換期において,それぞれ異なった姿勢を見せており,日本は一層の戦略的な対応が求められている。本事業は,このような国際情勢認識の下,中国・米国・欧州のそれぞれの情勢と外交戦略を総合的に分析し,国際社会における日本の秩序形成戦略の確立に向けた調査研究を行う。 |
事業者名 | 公益財団法人 日本国際問題研究所 |
採択企画 | 大国間競争時代の日本の安全保障 |
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概要 | 米中ロの大国間競争・北朝鮮情勢など,グローバル/地域の両面で秩序が流動化する中,本事業は,日本の安全保障に最も大きな影響を与える米中の動向に加えて,同じく重要な影響を与える朝鮮半島およびロシアの動向に焦点を当てた3つの研究会を,主に政策シミュレーションの手法を通じて連携させ,内外の環境変化を反映した新たな政策的方向性を研究・提言する。 |
事業者名 | 公益財団法人 日本国際問題研究所 |
採択企画 | 「多元的グローバリズム」時代の世界の多極化と日本の総合外交戦略 「インド太平洋」を拓く |
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概要 | 近年,既存の国際秩序の基調たるリベラル・グローバリズムが,中国等が推進する「非リベラル」なグローバリズムの挑戦を受けるようになり,他方,世界の主要国が経済的手段を通じて地政学的目標を追求する「地経学」的対外戦略を多様しつつある中,日本の「自由で開かれたインド太平洋」構想を,国際経済秩序の安定の基軸たるべく発展させるビジョンを提示する。その際,高水準の研究と若手オピニオンリーダー養成を両立させる。 |
事業者名 | 公益財団法人 日本国際フォーラム |
2 令和2年度外交・安全保障調査研究事業費補助金(総合事業)
以下の5分野に計23企画の応募がありました。
採択企画 | 体制間競争の時代における日本の選択肢:国際秩序創発に積極的関与を行うための政策提言・情報発信とそれを支える長期シナリオプランニング |
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概要 | 既存の国際秩序が大きく動揺し,異なる価値観・文明圏に基づく秩序観を掲げる勢力が競合する「体制間競争」の時代に入ったという認識の上で,日本が新たな秩序の創発を主体的,主導的に担っていくための国際的な中核基盤を,東京大学内にシンクタンクを形成して提供する。 |
事業者名 | 国立大学法人東京大学 先端科学技術研究センター |
採択企画 | 領域横断的な安全保障ガバナンス確立へ向けた戦略 |
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概要 | 現在,日本の安全保障環境は不安定化している。インド太平洋の「自由で開かれた海洋」への中国の挑戦,北朝鮮の核開発,宇宙・サイバー空間等の新領域での脅威も拡大している。本事業では領域横断的(クロスドメイン)な安全保障ガバナンス強化のため,多層・多角的な調査研究を行う。価値を共有する国とのネットワーク構築と対外発信能力含め若手研究者の育成にも努める。 |
事業者名 | 公益財団法人 中曽根康弘世界平和研究所 |
採択企画 | 国際秩序変容期の競争と連携 グローバルガバナンス再構築に向けた日本外交への提言 |
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概要 | 本事業は,国際秩序変容期における,地政学的競争を背景とする経済と安全保障のリンケージ,気候変動・伝染病・SDGs等の地球規模課題に関する国際的な連携の在り方,地政学的競争と地球規模課題が連動する中東・アフリカ情勢について調査分析を行い,グローバルガバナンス再構築に向けた日本外交への提言を行う。 |
事業者名 | 公益財団法人 日本国際問題研究所 |
採択企画 | 米中関係を超えて:自由で開かれた地域秩序構築の「機軸国家日本」のインド太平洋戦略 |
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概要 | 世界経済の重心であり,大国間の権力政治が激化しているインド太平洋は,日本の平和と繁栄ひいては今後の国際秩序の帰趨を決し得る。日本はそのインド太平洋の新しい地域秩序構築の主導的役割を担える「機軸国家」である。米中関係を軸に地域の将来を展望する議論が多い中,インド太平洋の地域秩序形成への日本の創造的役割を提言する。 |
事業者名 | 公益財団法人 日本国際問題研究所 |
採択企画 | 先端技術による安全保障リスクの多面的分析 |
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概要 | 本事業は,諸外国が先端技術を宇宙及びサイバーの両ドメインでいかに利活用しようとしているのか,そしてデジタル技術を経済・社会及び国際金融システムでいかに利活用しようとしているのかを調査し,そこから日本にいかなるリスクが及んでいるのかを分析し,これに対して我が国がとるべき施策について提言をまとめる。 |
事業者名 | 公益財団法人 中曽根康弘世界平和研究所 |
3 令和2年度外交・安全保障調査研究事業費補助金(調査研究事業)
以下の4分野に計14企画の応募がありました。
採択企画 | 変わりゆく国際秩序における日本の外交戦略 中国の対外行動分析枠組みの構築を踏まえて |
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概要 | 経済成長によって中国の国力が増大し,「パクス・シニカ」到来を視野に入れた国際秩序の変化に注目が集まっているが,中国の対外行動決定の構造やそれに影響を与える国内要因,外交戦略に対する理解は十分ではない。本事業は,それらを理解するための分析枠組みを構築し,日本がとるべき総合的な外交戦略の指針を探る。 |
事業者名 | 公益財団法人 日本国際フォーラム |
採択企画 | 我が国の経済安全保障・国家安全保障の未来を左右する新興技術 |
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概要 | 本事業では安全保障を支える新興技術のうち,将来の数十年間に社会に普及し自宅でも容易に技術を利用・活用することが予測ないし期待される技術として「合成生物学」「ニューロテクノロジー」を対象に,(1)特性を整理し,(2)米欧中日の技術動向を整理し,(3)将来の科学技術力を展望した上で我が国の経済安全保障/国家安全保障への影響を分析し,(4)我が国の取るべき安全保障戦略に対し政策提言を行う。 |
事業者名 | 公益財団法人 未来工学研究所 |
採択企画 | 海洋秩序構築の多面的展開 海洋「世論」の創成と拡大に向けて |
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概要 | 中国の積極的な海外進出に伴う既存の海洋秩序の動揺に対して,国際社会が有効に対処しきれていない中,従来のいわゆる「国際法アプローチ」に加え,「沿岸国の能力構築支援」,「海洋経済連携」,「海洋グローバル・イシューへの取組」などの新たな切り口から,国際的な海洋「世論」の醸成,海洋秩序維持への自発的協力を促すインセンティブの共有に向けた我が国及び国際社会全体にとって望ましい海洋空間創出の糸口を探る。 |
事業者名 | 公益財団法人 日本国際フォーラム |
採択企画 | 宇宙・サイバーリスクガバナンス:新たな脅威に対する官民連携・国際協力による秩序形成及び持続可能な利用に向けた技術外交戦略の研究 |
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概要 | 本事業は,宇宙・サイバー空間という国際公共財における外交・安全保障上の脅威に対し,我が国の国益(特にこれら空間の安全利用と技術覇権の獲得)を確保可能な国際秩序を形成するため,先端技術を有し同空間への展開が拡大する国内外民間企業等と連携し「技術外交戦略」の検討を行う。 |
事業者名 | 株式会社 三菱総合研究所 |