G7/G8
G7ルッカ外相会合



1 地域情勢
(1)シリア
緊迫するシリア情勢については,化学兵器による被害が二度と起きないよう連携を強化していくことで一致するとともに,この困難な状況からいかに政治プロセスの進展につなげていくかにつき活発な議論を行った。
岸田大臣からは,化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国の決意を支持する,米国の行動は,これ以上の事態の深刻化を食い止めるための措置と理解している,日本は,政治プロセスの進展につなげる観点からも,困難に直面する全てのシリア人に対する人道支援を最大限行っていく旨説明した。G7としてロシアに強く協力を促していくことで一致した。
(2)イラク,ISIL
G7は,ISILによって行われている攻撃及び人権侵害を強く非難し,ISIL対策が中東における最優先課題との認識で一致した。その上で,中東各国の情勢につき議論が及び,イラクについては,改革と国民融和,解放地域の安定化に向けた努力を呼びかけていくことで一致した。
(3)アジア情勢・海洋安全保障
岸田大臣から,厳しさを増すアジアの安全保障環境等について説明した。特に北朝鮮については,各国とも,核実験や劇的に増加している弾道ミサイル発射等の挑発行動を最も強い表現で非難し,北朝鮮による挑戦が新たな段階に至ったとの認識を共有した。また,岸田大臣から拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を呼びかけ,賛同を得た。
さらに,岸田大臣から,東シナ海や南シナ海の情勢について議論し,引き続き情勢を懸念するとの点で一致した。また,法の支配を重視するG7の立場を再確認するとともに,法の支配の貫徹に向け,引き続き連携してG7として声を上げていくことを確認した。
(4)ウクライナ,ロシア
ウクライナについては,情勢改善には全ての当事者がミンスク合意を遅滞なく完全に履行することが必要である点につき改めて確認した。また,ウクライナ情勢の解決という観点も含め,ロシアとの対話及び関与の必要性についても議論した。
2 地球規模課題
(1)テロ対策
あらゆる形態のテロ行為に対する強い非難を改めて表明し,テロ及び暴力的過激主義に対処することは,引き続き,国際社会にとっての最重要課題であるとの認識を共有した。その上で,国連の取組を始めとするテロとの戦いにおける国際協力を支持していくこと及び民間セクター等との協力の重要性につき一致した。
国際組織犯罪防止条約(UNTOC)の締約国となるために日本が現在行っている努力をG7として歓迎することで一致した。
(2)軍縮・不拡散
シリアにおいて化学兵器により多くの一般人が犠牲となったことを受け,化学兵器の使用は絶対にあってはならないとの認識を共有した。また,G7として,シリアに対し,OPCWによる事実関係調査ミッションへの協力を求めることで一致した。
岸田大臣から「核兵器のない世界」の希求はG7が共有する変わらぬ目標であり,しっかり守っていくべき旨強調した。その上で,北朝鮮情勢など厳しさを増す安全保障環境を踏まえ,核兵器国及び非核兵器国双方の協力を得て,包摂的,段階的かつ進歩的なアプローチを重ねていく以外の道はないとの認識を改めてG7で確認した。
(3)サイバー
アクセス可能で,開かれた,相互運用が可能な,信頼できる,安全なサイバー空間の実現の重要性につき認識を共有し,既存の国際法の適用に関する議論を更に深めた。
3 その他
このほか,アフリカ情勢,人の移動等を含む多岐にわたる分野について議論が行われた。