アメリカ合衆国
イージス・システムに係るソフトウェア及び部品等の米国への移転
平成27年7月23日
内閣官房
外務省
経済産業省
防衛省
外務省
経済産業省
防衛省
1 本日、イージス・システムの製造等に係る国内企業の参画に伴って必要となるイージス艦用ディスプレイシステムのソフトウェア及び部品(関連する技術情報を含む。以下「部品等」という。)の米国への移転(以下、「本件海外移転」)について、「防衛装備移転三原則」(平成26年4月1日閣議決定)及び「防衛装備移転三原則の運用指針」(平成26年4月1日国家安全保障会議決定)に従い、国家安全保障会議で審議した結果、海外移転を認め得る案件に該当することを確認した。
2 防衛省は、次期イージス・システム搭載護衛艦に搭載するイージス・システムを米国政府から調達する計画であるが、このうち、イージス艦用ディスプレイシステム(イージス艦内で作戦に必要な情報を表示させるシステム)について米国国防省より国内企業の製造参画の提案を受けている。国内企業が製造参画する同システムのソフトウェア及び部品等は、我が国企業の民生技術を活用するものであるが、そのうちソフトウェアについては、米国国防省管理下のデータベースに登録し、米国等のイージス・システム保有国間で活用可能な状態とすることが製造参画の条件となっている。また、部品等については、現時点では、他のイージス・システム保有国間で共有されることはなく、我が国が調達するイージス艦に用いられるのみであるものの、将来的にはイージス・システム保有国間で共有される可能性がある。
3 米国国防省からの国内企業による製造参画の提案に応え、米国等のイージス・システム保有国との間でソフトウェア及び部品等を融通し、供給の安定化を図ることは、同盟国たる米国との安全保障・防衛協力の強化に資するほか、民生技術の活用を通じた我が国にとっての調達コストの低減、我が国の防衛生産・技術基盤の維持・強化、ひいては我が国の防衛力の確保に資するため、我が国の安全保障の観点から積極的な意義を有する。さらに、本件海外移転の仕向先は米国であり、最終需要者はイージス・システムを製造する米国企業であることから、適正管理の確実性は高い。加えて、ソフトウェア及び部品等は表示機能に係るものであってイージス・システムの中の一部であること等を考慮すれば、係る移転について我が国の安全保障上の問題はないと認められる。
4 本件海外移転は、部品等を融通し合う国際的なシステムに参加するものであると共に、我が国から移転する部品及び技術の、相手国への貢献が相当程度小さいと判断できる場合に当たるため、仕向先の管理体制の確認をもって、適正な管理を確保することが可能である。そのため、最終需要者である米国企業からソフトウェア及び部品等の管理体制を確認する。加えて、ソフトウェア及び部品等は米国以外のイージス・システム保有国に移転される可能性があることから、イージス・システムを一元的に管理する米国国防省からイージス・システム保有国以外への移転が厳しく制限されること等その管理体制についても確認する。これらにより、ソフトウェア及び部品等の米国への移転後の適正な管理が確保されると認められる。
5 経済産業省においては、上記の国家安全保障会議での審議の結果を踏まえ、本件海外移転に関する許可申請があった場合には、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)に基づき、適切に対応することとする。
【参考】イージス・システム及び国内企業が製造参画するイージス艦用ディスプレイシステムのソフトウェア及び部品の概要
イージス・システムは、多数の対空目標を探知・追尾、目標情報を処理し、これらを同時に対処することを目的に米国で開発されたシステムであり、我が国においては、昭和63年度より対外有償軍事援助(FMS)により取得を開始し、現在「こんごう」型護衛艦及び「あたご」型護衛艦に搭載し運用を行っている。
今般、海外移転を認め得る案件に該当することを確認したソフトウェア及び部品等は、イージス・システムから出力されるデータを艦内の戦闘指揮所等に設置される表示機器上に表示させるためのものであり、イージス・システム向けの作り込みはされるが、民生品で使用されている汎用的な技術を用いて設計、製造を行うものである。