日本の国際テロ対策協力

(テロリストや暴力的過激主義者のナラティブへの戦略的対策)
結果概要

令和元年9月24日
  1.  9月23日(月曜日)16時30分から18時25分(日本時間24日5時30分から7時25分)まで,ニューヨークにおいてリーダーズ・ダイアログが開催された。
  2.  インターネット上のテロ関連コンテンツ,暴力的過激主義やテロリストのナラティブ等への対策や,インターネット関連企業との連携・協力強化について,各国首脳がステートメントの形式で発表。
  3.  共催者であるアブドッラー・ヨルダン国王,マクロン仏大統領,アーデーンNZ首相,ヴォロンコフ国連事務次長の他,各国首脳レベルを含めて約40か国が参加(我が国からは清水総合外交政策局国際安全・治安対策協力室長が出席)。また,Facebook,Microsoft,Twitter,Google,Amazon等のインターネット関連企業や市民社会の代表も参加。
  4.  今次会合では,民間企業によって構成される「テロ対策に関するグローバル・インターネット・フォーラム(Global Internet Forum to Counter Terrorism)」が,各国政府や市民社会からの要請に応えられるよう,体制を強化し,企業のコンソーシアムから専門のスタッフを有する独立組織へ改組することを発表した。
【参考】
1 リーダーズ・ダイアログ(背景・経緯)
  • (1)本年3月のクライストチャーチ・テロ事件では,実行犯により,テロ映像がSNSで生中継され,拡散。テロ目的のインターネット悪用問題は国際社会においても喫緊の課題とされ,G7や我が国がホストしたG20でも議論。
  • (2)これを受け,本年5月,仏大統領及びニュージーランド首相が「テロリスト及び暴力的過激主義者のオンラインコンテンツ対策会合」を立ち上げ,「クライストチャーチ・コール宣言(CCA)」をとりまとめた。我が国を含む17か国+EU+8企業が支持。
  • (3)ヨルダン政府は,2015年,アブドッラー・ヨルダン国王の発意によりテロ及び暴力的過激主義対策の枠組みタスクフォース「アカバ・プロセス」を設立。日本は,2016年以降参加。2018年4月の「アカバ・プロセス東南アジア版」では,河野外務大臣(当時)が共同議長として参加。
  • (4)こうした関連の取組をとりまとめる形で,今回の国連総会ハイレベルウィークにおいて,首脳級を含む各国,IT企業及び市民社会との対話が実現された。
2 参加した国(首脳級),企業,国際機関,市民団体は以下のとおり。
  • (1)英国,ケニア,インド,オランダ,オーストラリア,セネガル,ノルウェー,コスタリカ,アイルランド,モルジブ,スペイン,インドネシアの首脳級が発言し,合計約40か国が参加(我が国から清水総合外交政策局国際安全・治安対策協力室長が出席)。
  • (2)企業からは,Facebook,Microsoft,Twitter,Google,Amazon,Qwantから代表が参加。
  • (3)国際機関からは,インターポール,NATO,OECD,UNODC,UNCTED,UNESCO。
  • (4)市民社会からは,ニュージーランドから参加した団体を含む3市民団体から発言があった。
3 「テロ対策に関するグローバル・インターネット・フォーラム(Global Internet Forum to Counter Terrorism:GIFCT)」
  • (1)インターネット上のテロリズムや暴力的過激主義の拡散を共同で防止する目的で設立されたIT企業によるフォーラム。2017年に,Facebook, Microsoft, Twitter, YouTube(Google)の4社で立ち上げ。共有ハッシュデータベース作成・運用の効率化,テロ関連情報検知技術に関するベストプラクティスの共有等,テロリストによるサイバー空間の悪用への対応を議論。中小事業者への技術支援も実施している。
  • (2)クライストチャーチ・コール宣言(CCA)やG20での議論を踏まえ,GIFCTは,活動強化のため組織改革や活動の見直しを行うこととし,23日に開催されたリーダーズ・フォーラムにおいて,各国政府や市民社会からの要請に応えられるよう,企業のコンソーシアムから,専門のスタッフを有する独立組織に改組することを発表した。
  • (3)組織改革の一環として,近く,各国政府・国際機関及び市民社会からの代表から成る「Advisory Committee(諮問委員会)」の結成が予定されており,9月23日時点で我が国, 米国,英国,フランス,カナダ,ニュージーランドや国連,EUが参加する旨,GIFCTが発表している。

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