日本の国際テロ対策協力

平成27年1月8日
 12月19日(金曜日)(NY時間),同月の安保理議長国チャドのムーサ・ファキ・マハマット外務大臣を議長として,テロリストの活動に起因する国際の平和と安全に対する脅威についてハイレベル公開討議が開催された。
 同討議において,テロ防止のために,資金の提供等テロを支援する行為やテロへの資金供給源となっていることの多い国際組織犯罪や資金洗浄等への対処を含め幅広く,関連の既存の国際法的枠組みも活用する等して,各国,国連機関等が協力することを求めること等を内容とする安保理決議第2195号が,全会一致で採択された。
 同決議の概要は以下のとおり。

決議の概要

 安全保障理事会は,

前文
テロリズムの根絶には,継続された包括的なアプローチが不可欠であることを強調【前文4】
テロリストへの資金提供及びテロリストの資金源について深刻に憂慮し,また,こうした資金源は将来のテロ活動の温床となることを確認【前文5】
アル・カイダに関連する個人や集団が国際組織犯罪から資金を得ているケースがあることを深刻に憂慮【前文10】
国際組織犯罪から資金を得ているテロ組織が,国の安全,安定,統治及び社会・経済発展を妨げることに繋がりうることを深刻に憂慮【前文13】
主文
国際組織犯罪から資金を得ているものを含め,あらゆる形態のテロリズムの防止に,協同して取り組むことの必要性を強調【主文1】。
加盟国に対して,テロリストの移動を効果的に防止するために,国境管理を強化することを求める【主文2】
加盟国に対して,1961年麻薬単一条約,1971年向精神薬条約,1988年麻薬新条約,国際組織犯罪防止条約及び同議定書,国連腐敗防止条約並びにテロ防止関連条約・議定書等の関連国際条約を,優先的に締結し履行することを要請 【主文3】
関連国連機関に対して,テロ防止関連条約の履行及びテロ活動の捜査,訴追等のための能力強化のために,加盟国を支援することを要請【主文4】
加盟国に対して,特に国連腐敗防止条約並びに資金洗浄及びテロ資金対策に関する包括的な国際基準である40のFATF勧告を,必要な法制を整えこれを効果的に執行することを含め,締結,履行することを通じて,腐敗,資金洗浄及び不正資金の流れと闘うことの重要性を強調【主文5】
加盟国及び関連機関に対して,テロリストが国際組織犯罪から資金を得ることを防ぎ,また,国境管理能力や,テロリスト及び国際犯罪組織に対する捜査・訴追能力を構築するための協力と戦略を強化することを奨励【主文8】
こうした観点から,アフリカの関連地域協力機構に対して,アフリカにおける治安,国境の管理を強化することを推奨【主文9】
さらに,北アフリカ及びサヘル・サハラ地域の治安,国境管理強化の各種イニシアティブを推奨【主文10】
すべての加盟国,特にサヘル,マグレブ地域の国に対して,テロ・グループのサヘル地域における国境通過及び潜伏が,地域等の安全に対する脅威となることを防ぐ努力を協調させることを要請【主文11】,
加盟国に対して,他の加盟国の要請がある等する場合には,国際組織犯罪から資金を得ているテロリズムによる脅威に対処するための能力構築を支援することを求める【主文14】

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