平和構築

平成27年9月28日
写真提供:内閣広報室
写真提供:内閣広報室
9月28日,ニューヨークの国連本部において第2回PKOサミットが開催されたところ,概要及び評価は以下のとおり。

1 概要

(1)本会合は,オバマ米大統領の呼びかけで開催され,我が国や米国,国連等の9か国・1機関の共催者を含む合計49か国4機関の代表が出席しました。

(2)会議では,国連PKOが,その規模拡大や任務の多様化に伴い多くの課題に直面し,より効果的に活動するための変革が求められている中で,特に,能力ギャップを埋める方途,PKO要員の能力・パフォーマンス向上,グローバル・地域レベルのパートナーシップの再強化の重要性等について議論されました。多くの参加国・機関から,国連平和活動について現在進行中の戦略的レビューの中でも,特に,文民の保護の重要性に加え,コミュニティとの関係構築や女性の参加を取り込んだ包括的アプローチを支持するとともに,PKOの機能強化のための具体的な貢献策が表明され,会合を総括して共同声明(日本語(PDF)英語(PDF))が発出されました。

2 安倍総理のスピーチ概要(日本語(PDF)英語(PDF)

(1)安倍総理からは,「積極的平和主義」に基づき,PKOへの貢献を更に拡充させていくことを表明しました。

(2)具体的には,(ア)法制整備を通じた態勢整備として,今般の国際平和協力法の改正により我が国が従事可能な業務が広がったことを踏まえ,今後,国連PKOへの貢献を更に拡充する用意があること,(イ)日本・国連・アフリカの三角パートナーシップとして,ケニアで試行訓練が始まった「国連・アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト」を引き合いに,多様なパートナー間の協力を拡大すべきこと,(ウ)国連PKO要員の能力向上等のために各種訓練を通じた支援を行うことや,平和構築人材育成と女性のPKO参加の推進,性的搾取・虐待の被害者支援に向けた貢献等について,表明しました。

3 評価

(1)本件会合では,国際の平和と安全の維持のための重要な取組でありながら,多くの課題に直面している国連PKOを支援していくため,多くの参加国から,要員の新規派遣や能力構築の実施,地域機関への支援等の具体的な貢献策が表明されました。

(2)潘基文国連事務総長が進める国連PKOの改革については,多くの参加国から支持が表明され,今後具体的な改革案について活発に議論が行われることとなりました。

【参考】
(1)参加した49か国・4機関(この他オブザーバー40か国)
共催国・機関:米,国連,日本,ルワンダ,ウルグアイ,バングラデシュ,オランダ,パキスタン,インドネシア,エチオピア
その他の参加国・機関:中,英,コロンビア,印,伊,仏,スリランカ,韓,チリ,ガーナ,フィンランド,越,メキシコ,ウガンダ,シエラレオネ,アルメニア,セネガル,クロアチア,マレーシア,ノルウェー,ジョージア,チェコ,タイ,ウクライナ,トルコ,フィジー,NATO,EU,AU,カンボジア,ネパール,セルビア,アゼルバイジャン,スペイン,豪,独,エルサルバドル,スウェーデン,デンマーク,南アフリカ,ブラジル,ペルー,ルーマニア等

(2)本件会合の共同声明のポイントは以下のとおり。
  • 事務総長報告書及びハイレベル独立パネル報告書による国連PKOの改革の大義を前進させる努力を歓迎。
  • 国連PKO要員によるあらゆる形態の性的搾取・虐待(SEA)に係る国連の不寛容(ゼロ・トレランス)政策への支持を再確認。事務総長に対し,国連組織による予防,遵守,是正の努力の強化を継続するよう求める。
  • 文民の保護は我々がすべからく共有する厳粛な責任であることを強調。キガリ原則において提示されたベスト・プラクティスを確立しようとする加盟国のイニシアチブに留意。
  • 国連PKO要員の安全確保に対する断固たるコミットメントを表明。
  • 準地域機構及び地域機構の重要な役割を認め,国際社会の平和と安全に対する脅威に対応するために国連と地域機関のパートナーシップと協力の深化を支援するとのコミットメントを強調。

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