外務大臣演説

令和3年2月23日
第46回人権理事会ハイレベルセグメントにおける茂木外務大臣ビデオステートメント
2月23日、第46回人権理事会ハイレベルセグメントにおいて、茂木外務大臣がビデオメッセージの形でステートメントを実施しました。

人権理議長、人権高等弁務官、御列席の皆様、

新型コロナの世界的拡大は、まさに、人間の安全保障に対する危機と呼ぶべき事態です。「誰一人取り残さない」との理念の下、国際社会が一致団結して対応する必要があります。日本は、人権の観点を重視しつつ、各国における強靱な医療・保健システムの構築を支援していきます。

議長、
日本は3月に、国際社会における法の支配の推進を後押しすることを目的に、京都コングレスを開催します。

夏には、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、そして、今年で10周年を迎える東日本大震災からの復興を発信する機会として、東京オリンピック・パラリンピックを開催する決意です。この大会を通じ、多様性と調和への理解促進、人権に配慮した共生社会を目指し、SDGsの達成にも貢献します。

議長、
日本は、アジア太平洋地域の人権理事会理事国として、この地域及び国際社会の人権状況の改善に貢献します。人権状況の改善への道筋や速度は国ごとに異なりますが、多くの国々と基本的価値と目指すべき方向性を共有し、進んでいくことはできます。日本は、「対話」と「協力」を重視した取組を進めます。例えば、日本はイランを含む国々と様々な人権対話を実施しています。また、カンボジアにおいて、国連人権高等弁務官事務所と連携し、人権についての教育や意識啓発を行うなど、各国の人権改善に向けた協力を行ってきています。引き続きこういった取組を進めます。

アジア太平洋地域では、経済発展の陰で、民主化や人権の保護に課題が残されています。

ミャンマーでクーデターにより生じた事態に重大な懸念を有しています。アウン・サン・スーチー国家最高顧問を含む関係者の解放と民主的な政治体制が早期に回復されることを改めて強く求めます。

国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配は、香港や新疆ウイグル自治区を始め、中国においても保障されるべきです。昨今の情勢を深刻に懸念しており、中国に対し、建設的で具体的な行動を強く求めます。

北朝鮮による拉致問題は、日本の最重要課題です。拉致被害者の御家族も御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。昨年の国連総会で北朝鮮人権状況決議が16年連続で採択されたことを歓迎します。日本は、各国政府及び国際社会と緊密に連携し、北朝鮮に対し、拉致問題の早期解決に向けた具体的な行動を取ることを引き続き強く求めていきます。

議長、
日本の最近の取組を紹介します。

日本は、昨年10月、「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定しました。日本は、この着実な実施を通じて、責任ある企業行動を促進していきます。

また、日本は、国内外で、子どもに対する暴力根絶に取り組んでいます。日本政府は、「子どもに対する暴力撲滅基金」に約140万ドルを拠出します。

ハンセン病差別撤廃も重要課題です。昨年の人権理事会で、関連決議が全会一致で採択されました。引き続き、各国の理解と協力に期待します。

日本は、先住民族であるアイヌの人々が民族としての誇りを持って生活でき、その誇りが尊重される社会の実現に取り組んでいます。

さらに、日本は、世界における女性活躍、女性の人権の保護を推進します。その一環として、紛争下での女性の弱い立場を深く懸念し、2020年に「紛争関連の性的暴力生存者のためのグローバル基金に200万ユーロを拠出しました。

議長、
日本は、国際社会と緊密に連携して、引き続き、人権の保護・促進に貢献していくとの決意を述べて、ステートメントを終えます。

ありがとうございました。

外務大臣演説へ戻る