女性
WAW!2022コンセプトノート
「女性の健康と経済」
参加者(随時更新)
- 塚原 月子 株式会社カレイディスト代表取締役/G20 EMPOWER 日本共同代表(モデレーター)
- 今村 優子 日本医療政策機構 マネージャー
- 小野 美智代 公益財団法人ジョイセフ事務局次長兼デザイン戦略室長/ローカルSDGsネットワーク理事/静岡県立大学非常勤講師
- 宋 美玄 産婦人科医
- 杉本 亜美奈 fermata株式会社 CEO兼代表取締役
- 高倉 麻子 プロサッカー指導者
- シモーネ・トムセン 日本イーライリリー株式会社代表取締役社長
- 福田 和子 SRHRアクティビスト(ラポラトゥール)
- 自見 はなこ 内閣府大臣政務官(リソースパーソン)
現状・課題
女性の健康を考えることは、なぜ社会や経済にとって有益なのでしょうか。
国連人口基金(UNFPA)によると、アジア太平洋地域では、2050年までに4人に1人が60歳以上となり、その大半は女性となることが見込まれています。(注1)日本では、女性の半数は90歳以上まで生きるとされ、まさに「人生100年時代」といえる状況です。(注2)
他方で、日本では、月経等に伴う体調不良による労働損失や医薬品・通院にかかる費用などの1年間の経済的負担は約7,000億円にのぼるとされています(注3)。また、不妊治療と仕事の両立が難しいと考えている女性の数は非常に多く(注4)、少子高齢化の現状を踏まえると、不妊治療を諦めても、仕事を諦めても、社会・経済の発展に負の影響を与えかねません。妊娠・出産や更年期障害により幹部職員への道を諦める女性たちも少なからずいます。
こうした中で、近年、世界各国において、フェムテックが注目されています。フェムテックとは、「female(女性)」と「technology(技術)」を組み合わせた造語です。世界の人口の半数を占める女性特有の健康問題を解決するという点で、投資も徐々に増加している分野です(注5)。また、女性の健康課題を解決するには、企業や自治体等による支援も欠かせません。
女性が直面するライフイベントや心身の健康課題は、女性だけの話ではありません。女性の更年期やホルモンの研究が進むにつれ、男性にも更年期症状が生じうることがわかっています。また、前立腺癌の治療に女性ホルモンが有効であるとされ、使用され始めています。また、女性の健康課題を知り、気遣うことで、職場全体のマネジメントが多様性に配慮したものに改善することも期待されます。
このように、女性の健康を考えることは、女性のみならず、誰もが健康で、生きやすく、また、働きやすい社会づくりに繋がります。女性の権利を含む人権の問題は、経済の発展にも貢献する重要な課題なのです。
女性の健康と経済を巡る現状と課題については、こちら(PDF)もご参照ください。
論点
- 世界的に少子高齢化が進み、女性特有の健康問題も浮き彫りになっている中で、社会で活躍したい女性たちが十分に社会や経済に貢献できるようにするために、どのような取り組みが有効か。各国の好事例は何か。
- 女性に特有の健康課題を女性自身が意識し、一人で抱え込まないようにするために、どのような環境が必要か。そのために政府、企業やコミュニティにできることは何か。
- 女性の健康に配慮したどのような技術が開発されてきているか。その成果は、女性の健康のみならず、社会全体や経済にどのような影響を与えているか。
- (注1)朝日新聞DIGITAL、“高齢化対応に必要なのは女性の人生のあらゆるステージへの支援だ 国際高齢者デーに寄せて”
- (注2)内閣府男女共同参画局、“令和4年版男女共同参画白書”(PDF)
- (注3)Tanaka E, et al (2013) “Burden of menstrual symptoms in Japanese women: results from a survey-based study” Journal of Medical Economics, 16(11), 1255-66
- (注4)厚生労働省、“不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査”(PDF)
- (注5)経済産業省、“政策特集フェムテックで企業が変わる、社会が変わる。vol.1 一人ひとりが輝ける社会をいかにつくっていくか そのための条件とは”