女性
WAW!2022コンセプトノート
「総論:新しい資本主義に向けたジェンダー主流化」
参加者(随時更新)

- 森 まさこ 内閣総理大臣補佐官(女性活躍担当)(モデレーター)
- マイア・サンドゥ モルドバ共和国大統領
- バトムンフ・バトツェツェグ モンゴル国外務大臣
- マサゴス・ズルキフリ シンガポール社会・家庭振興大臣(兼)第二保健大臣(兼)ムスリム問題担当大臣
- 小倉 將信 国務大臣(こども政策担当、共生社会担当、女性活躍担当、孤独・孤立対策担当)、内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)
- 山田 賢司 外務副大臣
- 林 伴子 内閣府経済社会総合研究所次長(リソースパーソン)
現状・課題
国際社会では、ジェンダー平等の観点をあらゆる政策や制度に反映しようという「ジェンダー主流化」が重要視されています。例えば、G7やG20では、環境、気候変動、エネルギー、金融、治安等、様々な分野において、女性が意思決定の場に参画し、ジェンダーに配慮することが常に議論されています。また、企業活動においても、女性の権利を含めた人権への侵害リスクを特定し、防止・軽減する試みである「人権デュー・ディリジェンス」が世界的な潮流となってきています。なぜそうした視点が必要なのでしょうか。
まず、今、私たちが抱えている問題について考えてみましょう。例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響について考えてみると、課題の1つとして、「影のパンデミック」とも呼ばれるジェンダーに基づく暴力の増加が、幅広い国々で報告されています。また、サービス業が大きな打撃を受けたことで、女性の雇用にも大きな影響を与えました。医療や介護等の現場で働くエッセンシャル・ワーカーの女性たちの感染リスクの高さや健康不安の問題も取り上げられました。さらに、ロシアのウクライナへの侵略について言えば、ロシア兵による数え切れない蛮行は、侵略下の女性に対する暴力に改めて焦点を当てた他、9割が女性と子供であるとされる多くのウクライナ避難民を発生させました。(注1)
女性はこうした脆弱な部分をもつ一方で、そうした女性の立場からの視点を政策や制度に反映することが、ポスト・コロナ社会において「誰もが生きやすい社会」を実現するためには不可欠です。企業活動においても、働き方を含め、多様な視点を取り入れることで成果を上げる事例が多く報告されています。そうした意味で、ジェンダーの視点に立脚して問題を解決することは、社会全体の諸問題を解決する鍵ともなるのです。
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」は、「成長と分配の好循環」を基軸としています。つまり、成長により原資を稼ぎ出すことで分配を可能とし、分配により需要が増加するとともに、成長力が強化されることで次なる成長力に繋げることができます(注2)。また、「女性の経済的自立」は、「新しい資本主義」の中核です。女性が経済的に自立できる基盤なくして、成長と分配の好循環が生み出せないからです。「ジェンダー主流化」を通じて、多様性が一層の「成長」を生み出し、また、成長から得た原資を、女性を含むすべての人の権利に配慮して「分配」することで成長へとつなげる。こうした好循環が生み出されれば、誰しもが生きがいを感じられる平和で安定した社会の実現に寄与することになります。
国際女性会議WAW!2022では、「新しい資本主義と女性」に焦点を当て、「成長と分配の好循環」の観点から、女性とデジタル・STEM教育との関係、女性が起業することの意味、男女間の賃金格差の是正、脱炭素社会での女性の参画、女性の尊厳と誇りを守る社会の実現に向けた方策、女性と防災の関係等について議論します。さらに、これらを貫く意思決定プロセスへの女性の参画については、ジェンダー平等の実現に向けた男性や若者の関心・関与の拡大や、女性の平和・安全保障への参画も議論することで深掘りします。
多岐にわたるように見えるこれらの問題は、いずれも「女性とはこうあるべき」、「男性とはかくあるべき」といった固定観念に私たちが未だ縛られていることに根本的な原因があります。また、こうした固定観念は地方においても根強く残っており、経済的に自立したい女性の選択肢が狭まる現状も指摘されています。
「ジェンダー主流化」をあらゆる場面で推進し、固定観念に捉われない「新しい資本主義」に基づく社会は世界をどのように変えるのか、女性のみならず男性も含めた全ての人にとってどのようなメリットがもたらされるのか。WAW!2022では、未来を担う若者世代の視点を交えながら、また、地方における諸問題にも目を向けながら、東京から日本各地、そして世界海外を繋いで私たちの新たな未来図を描きたいと思います。
論点
- ジェンダーの問題は女性だけの問題ではなく、より良い社会づくりのために不可欠であるということの認識を社会共通のものとし、また女性のなかの多様性や異なる脆弱性に配慮しながら、「ジェンダー主流化」を推進していくために、どのような取り組みが必要か。
- 地方において、どのような問題が生じているか。都市と地方の格差を是正するために、どのような取り組みが有効か。
- 「新しい資本主義」に基づく平和で安定した社会を作るにあたり、次世代を担う若者たちの声をどう反映すべきか。